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PEOPLE

#78 猪苗代 昭順

人と猫とを繋ぐ縁結びの寺として命の大切さを伝えたい


猪苗代 昭順

これまでに多くの捨て猫や迷い猫の世話をしてきたことから「猫寺」の愛称で親しまれている福井県越前市の『御誕生寺(ごたんじょうじ)』。境内には数十匹の猫がのんびりと暮らし、今では県内外から年間3万人近くもの参拝者が訪れる福井の新しい名所となっている。
平成になってから建立されたこの新しいお寺が「猫寺」と呼ばれるようになったのは、寺の工事中に段ボールに捨てられていた4匹の子猫を不憫に思った住職が、水やエサを与え始めたのがきっかけ。その後も心なき人たちによる捨て猫が後を絶たず、一時はその数が80匹にもなったそうだ。エサ代や治療費など猫の世話にかかる費用がかさむ一方で、現副住職の猪苗代昭順さんが考えたのが、SNSやブログなどに猫の写真付き記事を投稿する里親募集だった。「このままでは猫の世話をしきれず、参拝者にも迷惑をかけてしまう。お寺らしい対応は何かと考えたときに、猫と人とのご縁を結んであげるのが一番ではないかと思ったんです」と猪苗代さん。今ではフェイスブックのフォロワー数が1万5千人を超すなど、その強い発信力で多くの猫を命を救っている。また「ひとつでも多くの命を繋ぎたい」という理由から、2014年より春と秋の年に2回、県内7カ所の健康福祉センターで保護された健康な子猫の飼い主を探す譲渡会を開催。毎回抽選になるほど人気が高く、これまで300匹以上の猫が里親に引き取られていったという。
三毛猫のミケランジェロにその後輩のニセランジェロ、そして太田君、佐藤君など。境内に暮らす猫の全てに名前があり、首輪も付けられている。命名するのは雲水と呼ばれる修行僧たち。これも一匹一匹への愛着を深めるためだ。もちろん、朝昼の餌やりや薬の投与、猫が汚した境内の掃除も彼らが行っている。動物愛護に関する法律が整備されていくなかで、犬猫の殺処分数は10年前と比べて3分の1に減少。しかし、いまだに年間7万頭近くの猫が殺処分されており、捨て猫を拾っても自分で何とかせず誰かに押し付けようとする人たちが多いのも現状だ。猪苗代さんは「子供たちに命の大切さを伝えるためには、私たち人間の意識をもっと変えていかないと」と、切実に訴えている。


猪苗代 昭順(イナワシロ ショウジュン)
宮城県出身。1974年生まれ。高校卒業後、留学先のイギリスで道元禅師の教えに感銘を受け、僧侶になることを決意。2000年に大本山總持寺の貫首であった板橋興宗禅師の下で出家得度する。現在は福井県越前市にある曹洞宗の寺院『御誕生寺』で副住職を務めている。

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