Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】第11回：レコードについて

コロナ自粛が始まって以来、自分の中で数年に一度のレコードブームが再び来ている。新たに購入したターンテーブルをリビングに置き、食事中は必ずレコードをかけるようになった。今回は一時的なブームではなくこのまま日常になりそうだ。

レコードの音が部屋に流れるとちょっと優雅な気分になる。iPhoneで音楽を聴くのとは明らかに耳が経験する音の密度が違う。レコードの時代の音楽はレコードで聴くのがベストだと思う。

緊急事態宣言が解除されてからたまにレコードショップやリサイクルショップに出掛けている。ほとんど外出していないので、今唯一の娯楽かもしれない。基本は500円以下のLPを探す。1000円以上のものも稀に買うがそれでも2000円まで。ある程度の金額を払えば良いレコードは簡単に手に入るが、時間をかけて苦労してでも安く良いものを手に入れたい。手に入れるまでのプロセスを楽しむこともレコードの醍醐味だ。ツアーで全国を旅してた頃は、ライブハウスやホテル周辺を散歩してレコードショップを見つけると必ず立ち寄っていた。レコードと一緒にショップや街の記憶も持ち帰る感じが楽しかった。

アメリカに留学していた頃は日本よりも簡単にジャズやソウルのレコードが安く手に入った。日本でもハードオフに行けば古い演歌やフォークのLPが100円で売られているように、アメリカではジャズのLPが１ドルで買える。当時１ドルで買ったAhmad JamalのレアなLP「Ahmad Jamal with strings / Rhapsody」は今でも大好きな一枚。

最近はGeorge Shearingにハマっている。この人の音楽はレコードで聴いてこそ魅力が最大限に発揮されるので、CDやサブスクではほとんど聴いていない。

リサイクルショップにて格安で発掘した「Michael Franks / The Art Of Tree」。これもレコードで聴くと最高です。

とはいえ、サブスクは購入前の試聴に使えるから便利。音楽の聴き方は多様化しているが、便利なものだけで終わらず手間をかけてでも本当に良いものもちゃんと取り入れる。新譜はサブスクでチェックし、気に入った曲はプレイリストに入れて車の運転中に繰り返し聴く。80年代以前の作品は部屋でゆっくりレコードで聴く。今の自分にとってはこれが一番良いバランスだ。