Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】第25回:南木曽
新世代のトラックメーカーとして注目を集める金沢市出身アーティストKan Sanoの音楽的ライフをちょっと覗き見。
音楽の仕事をしていると、「そんな仕事があるんだ…!」と驚くようなオファーを頂くことが稀にある。
先日長野の南木曽という町にあるリゾートホテル「Zenagi」に泊まってきた。カーナビで住所を調べても出てこないのでおかしいなと思っていたら、南木曽は「みなみきそ」ではなく「なぎそ」と読むらしい。「Zenagi」は1日1組限定のプライベートホテル。ここのレストランで食事をし、妻籠宿を観光し、南木曽のろくろ細工職人さんや無農薬の野菜を作る農家さんを取材したり、木曽川をカヤックで川下りするのが今回の僕の仕事だった。
すべての体験を終えた2日目の夕方、Zenagiのレストランの外にある広いテラスにキーボードをセッティングし、南木曽で過ごした1泊2日の体験をテーマに即興演奏した。つまりこれが今回僕が招かれた一番の理由であり、メインイベントだった。目の前に広がる雄大な自然やサンセットを眺めながらの演奏はとても気持ちよかったが、即興演奏はやり直しが一切できないので、他の出演者やホテルのスタッフさん達が自分たちの仕事を終えリラックスしている中、僕と音声さんは重すぎる緊張に押し潰されそうだった。演奏後、録音データを確認してようやくすべての仕事を終えた。
帰りは駒ヶ岳SAでひとり、醤油ラーメンを食べた。20時以降の外食は随分久しぶりのこと。夕食難民にならずに済んだので有り難かった。
◯Kan Sanoの音楽的ライフコラム【観ずる日々】
執筆者プロフィール
Kan Sano
石川県金沢市生まれ。キーボーディスト/トラックメイカー/プロデューサー 。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。FUJI ROCK FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、ジャイルス・ピーターソン主催 World Wide Festival(フランス)など世界中の大型フェスに出演。 2019年アルバム『Ghost Notes』をリリース。テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」への出演でも注目を集めている。