Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】第30回:花粉症の話
新世代のトラックメーカーとして注目を集める金沢市出身アーティストKan Sanoの音楽的ライフをちょっと覗き見。
花粉の季節が来てしまった。僕の花粉症は毎年2月上旬から徐々に始まり、3月〜4月にピークを迎え、5月以降は次第に落ち着きながらも6月上旬まで微妙なムズムズ状態が続く。毎年3月下旬頃になると「来年の春こそは絶対に北海道に移住しよう!」とかなり本気で考えるのに、一年経つとその気持ちはすっかり落ち着いてしまう。今年も多分そうなるのだろう。いつもその繰り返しだ。1年というのは物事を忘れるのにちょうどいい長さのようだ。1年が365日というのは良くできてるルールだと思う。
幼少期の頃からずっと花粉症に悩まされ続けているが、当時は花粉症の友人がまわりにほとんどいなかったから、辛さが理解してもらえないことも辛かった。花粉症患者は年々増え続けているらしい。友人や知り合いに花粉症の人がいるとちょっとだけ嬉しくなってしまう。
花粉症の薬は症状が酷くなる前から毎日飲み始めると効果的らしいが、毎年症状がはっきりと出る3月から飲み始めてしまいがちだ。今年こそはと思い例年より早く2月1日から飲み始めてちょうど1ヶ月が経つ。今年の春は穏やかに過ごせるのだろうか。
一番好きな季節を聞かれたらいつも「秋」と答えている。夏は暑い、冬は寒い、春は花粉症が辛い。となると一番良いのは秋ということになる。花粉症がなければ春が一番好きな季節になっていたかもしれない。そんな人生を経験してみたかった。
花粉症のピーク時はライブで歌うのが困難になるほど鼻水、鼻詰まり、目の痒みが止まらないので、ツアーの予定があるととてもナーバスになる。幸い今年の春はライブの予定が少ないし、制作中のアルバムのボーカルはすでに録り終えているので、だいぶ気持ちが楽だ。
前作「Susanna」を制作していた2020年の春はボーカルのレコーディングがたまたま続いてしまい、鼻声で思うように歌えず何度も録り直すことになってしまった。あれは辛かったしとても効率が悪かった。
花粉症は英語で「Hay Fever」と言う。試しにSpotifyで「Hay Fever」と検索してみると、膨大な数の同タイトルの曲が出てくる。花粉症に悩むミュージシャンは世界中にいるみたいだ。
◯Kan Sanoの音楽的ライフコラム【観ずる日々】
執筆者プロフィール
Kan Sano
石川県金沢市生まれ。キーボーディスト/トラックメイカー/プロデューサー 。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。FUJI ROCK FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、ジャイルス・ピーターソン主催 World Wide Festival(フランス)など世界中の大型フェスに出演。 2019年アルバム『Ghost Notes』をリリース。テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」への出演でも注目を集めている。