人間関係に悩む人達へ|裕子の艶言葉 #64
酒が入れば心も開く。金沢屈指の名門クラブに在籍し、現在は木倉町でワインバーを経営する裕子さんの酸いも甘いも知り尽くした人生談義。酒席で老若男女の心の声に耳を傾けてきた夜の蝶ならではの言葉は、まるで美酒のごとく身体の奥まで沁みわたります。
心理学の世界では「全ての悩みの根源は人間関係」と言われております。友達や恋人がいないと言う悩みはもちろん相手あってこその事ですが、自分自身の容姿のコンプレックスも他人が存在するが故の他人との比較、お金が無い悩みも他人との比較や誰かを養う為の不安、孤独という悩みですら世の中に他人が存在するからこその悩みだ、と言われております。
表向きは人間関係が関わらなそうな事柄ですら人間関係が関わってくるのに、直接の人付き合いに悩むなんて、それはそれは根っこが深い気がします。どうやら「人付き合いに悩む」というのはだいたいの場合、距離感が近い気がします。ちょっと近いとかでは無く、ものすごく近い気がします。スープの冷めない距離ならぬ、鼻息のかかる距離なくらい…。
「なんだかウマが合わない」のに「タイミングが合わない」のに「古い付き合いだから」「お世話になったから」と、無理矢理にでもお付き合いをしてしまう。こちらから強引に距離を詰めてしまうし、向こうから詰められた距離を受け入れてしまう。本当は嫌なのに。本当はその人が苦手なのに。本当はその人と居る時間はめちゃくちゃ疲れるのに。本当はその日のその時間は1人で過ごしたいのに。本当は疲れているし、本当は楽しい人達とだけ遊びたいのに。
ググッと相手に圧力的に距離感を詰める人はだいたいの場合、支配的で依存心が強い事が多いです。もともとその人がそうだったわけでは無く、強いストレスがあったり心が壊れそうな悲しさを抱えていたり…。その時のその人の環境や精神状態がそうさせている事がほとんどです。
他人をコントロールする事により自分の存在が確認できて安心する、他人に依存してもらう事により自分の依存心を満たす。分かりにくいかもしれませんが、誰かに何かしてあげた時に「こんなにもしてあげたのに!」「お礼が無い!」「感謝されなかった!」は、愛情ではありません。してあげた相手への期待と依存。お母さんは、泣いている赤ちゃんを抱っこして「泣き止ませたのにお礼が無い!」だなんて思いません。
はい、分かります。もちろん大人の人間関係は無償の愛が存在する親子関係とは違いますよね。大人としての相手への気遣い、礼儀や思いやり、愛情深く接する気持ちが無いと成り立ちません。だとしたら「自分が相手にしてあげた体験に満足する」「相手が喜んでくれたらとにかく自分が嬉しくなる」。そもそもその人とはそんな人間関係では無いから、不満が出るのでは無いでしょうか? 誰かに何かをしてあげた、と言う事ですら他人の目を気にしての事では無いでしょうか?
そもそも他人をコントロールするなんて不可能。礼儀作法を教えるのは、教えてもらいたい!と本人が望まない関係ならばただただ、うるさくて迷惑で距離を取られるだけ。人生に満足して生きている人は、まず他人と比べません。自分が「してあげたい」と思う人にだけ、手を差し伸べます。そもそも好きでは無い他人の事に考える時間、体力もお金も使いません。自分の気持ち良さや心地良さをよく知っており、それを最優先します。食べたく無いモノは食べず、遠慮なく1人の時間を大切にします。
言うなればそれは俗に言う「ワガママ」かもしれません。でもなぜかそれは嫌なワガママには見えません。なぜならその人達はいつだって機嫌が良くて、爽やかな自信の風が吹いているから。そんな人ですら万が一機嫌が悪くなる事があっても、キチンと自分でご機嫌を取れる。そうでは無い人からしたら信じられないかもしれませんが、本当にそんな人は存在します。そんな人と過ごす時間は宝物です。
長年、スーパーサービス業の頂点ホステス業をしていたので「そんなワガママな!それじゃあ仕事にならない!」と、思う人の気持ちもよく分かります。しかし、そんな無理矢理に繕ったお客様との関係や、金銭だけで繋がっていたり相手や自分の欲求を満たすだけの仕事の関係は必ず縁が途切れます。金の切れ目が〜とはよく言いますが、金銭のみならず、色恋から覚めた時も縁の切れ目になります。 その度にもの凄くドス黒くて不穏な気持ちになります。
そんなドス黒い関係よりも、優しく楽しい関係で繋がっている方達とは今でも良い関係を続けられております。淋しさや欲求不満に任せて、所属するコミュニティを増やし過ぎないでください。楽しいと思える人たちと、好きなモノを好きな順番に食べて、好きなお酒を好きな量だけ嗜んで、好きな時間に好きなだけ1人を楽しんでください。 もちろん足並みを合わせる事は大切です。しかし「足並みを合わせたい」と思える人と、リズムを合わせてください。
こちら40歳を過ぎて、初めて人生を逆算するようになりました。人生の折り返し地点、限られた残りの時間。なるべくご機嫌で、みんなで楽しく生きていきたいと思っております。今のところ、最高で、わりとご機嫌です。
艶小噺
移動の多かったここ最近。沖縄へ行ってきました。十何年ぶり?の沖縄。
地元の人達が優しくて明るくて、お天気も最高でたくさん食べて呑んで。自分にとっての旅行とは、その土地の歴史や文化を感じる事。買い物はほとんどがその土地の調味料やお酒。
今回の戦利品はハブ酒。滋養強壮、血行が良くなり、パワーが湧く漢方のお酒。ハーブがブレンドされており香り良くて美味しい。今後、お店の看板になりそうです。ふるまいハブ酒、まだ受け取っていない方は飲みにいらしてくださいませね。