Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】第63回:オンとオフ
金沢市出身のキーボーディスト/プロデューサー・Kan Sanoが綴るエッセイ。新世代のトラックメーカーとして支持されるアーティストの音楽的ライフを覗いてみよう!
先月からすっかり曲作りモードに突入して脳みその勢いが凄い。脳みその扉が開いた状態と言えばいいのだろうか。久々の感覚だ。
「どういう時に曲が思いつくのですか?」
「どうやって曲を作るのですか?」
ミュージシャンなら一度は聞かれたことがある質問だと思う。自分の場合、曲を作る時はまず脳みその奥にある曲作りモードのスイッチを入れないといけない。このスイッチがオンになると、四六時中曲のことで頭がいっぱいになる。食事中やシャワーを浴びてる時、夜寝る前など、休みたい時でも突然フレーズやアイデアが浮かんだりする。脳みその休憩時間がほぼ無くなって、曲が完成するまでずっとオンのままで過ごすことになる。
アルバムを制作する時は同時進行で何曲も進めていくので、数ヶ月の間ずっとこのオンの状態が続く。結構疲れる作業ではあるけれど、逆にオンとオフの切り替えを細かく繰り返すのもそれはそれでしんどい気がする。オフの時は突然何か浮かぶようなことはない。次のアイデアについてぼんやり考えたりはするし、思考は続いているけど脳みそは穏やかだ。
最近改めて思うけど、曲作りってほんとに時間がかかる。作詞作曲からアレンジや演奏まですべて一人でやるので当然なのかもしれないが。オンの状態だと一日があっという間に終わる。毎日時間が足りないと感じるほど夢中になれるものって音楽以外にはなかなか無い。音楽はやっぱりありがたい。