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あなたの言葉はゴミ?お宝?|裕子の艶言葉 #80

酒が入れば心も開く。金沢屈指の名門クラブに在籍し、現在は木倉町でワインバーを経営する裕子さんの酸いも甘いも知り尽くした人生談義。酒席で老若男女の心の声に耳を傾けてきた夜の蝶ならではの言葉は、まるで美酒のごとく身体の奥まで沁みわたります。

 

時おり相談を受ける事があるのですが、いつも気をつけている事があります。それは「求められていないアドバイスはしない」ということです。

 

つい正義感やおせっかい心から「◯◯しない方がいいよ」「◯◯した方がいい」と、自分の経験や知識をもとに口を挟みたくなることがあります。ですが、相手が望んでいないアドバイスは多くの場合“ゴミ”になってしまいます。逆に、相手から求められたアドバイスは“お宝”として受け取ってもらえるでしょう。

 

仏教にこんなお話があります。ある日、ブッダが弟子から仏教について厳しい言葉を投げかけられました。しかしブッダは最後まで反論せずに聞いています。その理由を問われると、「贈り物をもらったけれど、私が受け取らなければどうなるか。それは相手に戻っていく」と答えました。不要なアドバイスや注意も同じで、相手が受け取らなければ結局は自分に返ってきます。

 

相手が望んでいれば「いいことを聞いた!」とお宝になりますが、求められていなければそのアドバイスや注意は相手にとって“ゴミ”となり、結局はこちらに戻ってきます。せっかくのお宝も、受け取られなければただのゴミになってしまうのです。

 

そもそも、常に「教えて!注意して!」と待っている人ばかりではありません。過度なアドバイスや注意は、結局は発した側の自己満足で終わることが少なくありません。それどころか「あれほど伝えたのに相手は行動しない!せっかく教えてあげたのに!」と、かえって苦い思いをすることの方が多いのではないでしょうか。

 

大切なのは「アドバイスを求められる存在になること」です。先生と呼ばれる人のもとには、生徒が自然と集まり、アドバイスを求めてきます。このコラムも同じで、「ここに何かヒントがあるのでは?」と感じてページを開いてくださった方が読んでくださっています。本当にありがたいことだと思います。

 

一方、インターネットでは特定の分野で過剰に注意したり非難したりする人を「◯◯ポリス」「◯◯警察」と揶揄することがありますが、もし本気で伝えたいなら専門家になればいいと思います。マナーを語りたいならマナー講師に、着物の着方を教えたいなら着付け師に。資格がなくても実績があれば「着付け歴◯年」と名乗ってしまえばいいのです。看板があれば、学びたい人の方からノックしてくれるはずです。

 

ただし、専門家になったからといって通りすがりの人にまで口を出してはいけません。文化が違えば、常識、ルール、モラルは変わります。たとえ隣の家だとしても…。

 

そんなあたしも酔うと時おり求められていないかもしれない「裕子節」を語るらしいです。

 

気をつけて、今日もお客様達と美味しいワインをいただこうかと思います。

 

艶小噺

先日、初めて東京のワインスクールのセミナーを受講。まさしく先に述べた「教えて下さい‼」と、お宝を頂戴すべく自ら生徒になりに行きました。

 

そのスクールはワイン通なら泣く子も黙る名門校「アカデミー・デュ・ヴァン」。講師を務めるのはソムリエの紫貴あきさん(@aki.shidaka_wine)です。

 

すごい。教室も講師も豊富にそろっていて、まさに「ワインのための専門学校」という雰囲気。専門スクールならではの強みは、体系的でロジカルな学び方を教えてもらえることですが、まさに講義の内容は自信を持たせてくれるものでした。

 

ワインに限らず、何事も大切なのは継続。毎日テイスティングを積み重ねれば必ず力は伸びるし、試験に落ちたり上達しないのは「努力がまだ足りないから」と、あき先生が可愛らしい姿でありながらピシャリと伝えてくださいます。

 

そして胸に響いた言葉がこちらです。

“Good Tasters are made, not born.”
― 素晴らしいテイスターは、先天的ではなく、後天的に作られるもの。

 

きっと、テイスターだけでは無くたくさんの技術に通じる言葉なのではないでしょうか。

 

 

 

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