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理想の人間像|裕子の艶言葉 #82

酒が入れば心も開く。金沢屈指の名門クラブに在籍し、現在は木倉町でワインバーを経営する裕子さんの酸いも甘いも知り尽くした人生談義。酒席で老若男女の心の声に耳を傾けてきた夜の蝶ならではの言葉は、まるで美酒のごとく身体の奥まで沁みわたります。

 
先日、「裕子にとっての良い男って?」と聞かれて、考えていました。「好きなタイプは?」と聞かれるたびに困るんですが、「良い男」や「理想の人間像」なら、まだ言葉にしやすいかもしれない──そう改めて思いました。
 

難しかったですが、その中で出た答えのひとつが「自立しており、自分より強い人」です。ここで言う“自立している”とは、負に偏る依存心で物事を選択しない人のこと。負に偏る依存で選択する人とは、例えば恋愛でセクシャルなだけの関係に依存し、家族や大切な人・大切な事すら無視して麻薬級にのめり込んでしまう人。ギャンブルや必要のない買い物も然りです。

 

子どもに依存してしまうと、手を離れたときに「自分には何も無くなった」と感じて虚しくなる。仕事に依存すると、「自分が辞めたら会社が困る」と錯覚して、実は自分が会社に依存していることに気づけなくなる。別れた恋人に依存し、すでに関係が終わっているのに「自分がいちばん知っている」と振る舞い、煙たがられる──そんなケースもあります。

 

いずれの選択も、行動や心が“依存した対象”に支配されてしまう。自分でコントロールできなくなるんです。そこが、いちばんのポイントです。あたしの場合、何かの手綱を握るのは、あくまでも自分でありたい。それこそが「自立」だと思っています。

 

そして、これらの依存的な選択は「信頼する・頼る・甘える」とはまったく違います。自立しているけれども、自分だけではどうにもならないトラブルが起きたときに、信頼する相手に“頼る・甘える”。それが本来の関係性。自立心のないまま依存心で他人に任せると、「あの人がこう言ったのに」「あの人がやったことだ」と、責任を人のせいにしてしまうんです。

 

人間関係ではなく、事柄や物に関して言えば、依存心ではなく“自分でコントロールして選択”すれば、すべてを「嗜む」ことができます。何に関しても、ほど良く・適度に切り上げて、心身を蝕むことがない。「嗜好品」とはまさに“嗜んで好む品”。「好きで嗜む」と「無いと困る(心身に影響をきたす)」は別物です。後者に至っては中毒。嗜めば薬になるものが、毒にもなるのです。

 

そして、自分が所属する場所を複数にすること。ひとつに固執せず、いくつかに所属していると風通しが良くなります。子育てしながら習い事をする。仕事をしながら、趣味の仲間と食事会を開く──そんなふうに。今まで依存心どっぷりで他人任せの選択をしていた人でも、出会う人・関わる人・所属するコミュニティによって確実に変化します。

 

自己研鑽は一生できます。気づいて、行動する人は必ず変われる。そのためには、“どんな人・どんなコミュニティに関わるか”がとても大切です。

 

ただし──このくらいの仙人級の強い人間なんて、そうそういませんよね。「そんな人間いるわけない!」と、ここまで読んでくださった方々は突っ込んでいるかもしれません。が、しかし。居るんです。確実に。

 

あたしくらい年齢を重ね、人間関係で失敗もして、嗜好品にズブズブ支配されながら生きてくると、このくらいの仙人級の方をゴロゴロ知っています。そしてそんな方々も、たくさんの失敗や支配を経験してきた人が多いんです。

 

「類は友を呼ぶ」。ありふれた言葉ですが、ものすごく奥が深い。真理です。側にいる人の文句や愚痴を言いふらしているということは、自分も同じ世界の住人だと宣言しているようなもの。

 

あたしは将来的に、そんな“全てから自立した生活”を目指しています。だからどうしても、そんな仙人級の方々にフォーカスしてしまうし、そんな人たちと時間を過ごしたくなってしまうんです。

 

そんなあたしにとっての「良い男」とは、そんな人です。良い男だけでなく、“良い人間”という括りでもあります。ちなみに、マニアックに何かを突き詰める人は大好きです。自分でコントロールをして、楽しめている限りは。

 

共に過ごす人たちとは、依存ではなく“共存”を目指しています。色々申しましたが、依存心どっぷりの方も、それはそれで人間くさくて好きなんですよ。

 

さて──今夜も、あたしは大好きなワインに飲まれながら、ポテチとアイスクリームにどっぷりと浸かりますね。

 

艶小噺

4年ぶりに試験に落ちるという大きなショックから、ふんわりと立ち直れないまま時間が過ぎております。なんとなく重なるもので、疲れる出来事が続いておりました。ぐっと寒くなってきたことも、関係しているのかもしれません。

 

そんな中、楽しみにしていた能登・和倉への一泊旅行。まだまだ震災の爪痕は残っているものの、地元の方々が強くたくましく生き抜こうと、復興に力を注ぐ姿を垣間見ました。

 

リフレッシュになった和倉旅行。また年が明けたら、行こうと思います。

 

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