【観ずる日々】第5回:Last Electroについて
新世代のトラックメーカーとして注目を集める金沢市出身アーティストKan Sanoの音楽的ライフをちょっと覗き見。
あっという間に2月だ。30歳を過ぎてから月日の経過がどんどん早くなってる気がする。それにしてもこのスピード感は異常だ。それだけ仕事が充実しているということか。仕事がなかった頃の悔しさや焦りが忘れられないので「忙しいのは有難いこと」という気持ちが常にある。忙しくなればなるほどいかに効率的に時間を使うかが重要になるが、着想や閃きはそう簡単に都合良くはやって来ない。創作行為を仕事にするのは本当に難しいなあと思う。たくさんの仕事をシステマティックにこなす中でクリエイティビティをどう保っていくか。はっきりした答えはまだ見つからないが、僕の場合作曲期間中はずっと思考が止まらないので、テレビを観たりコーヒーを飲んだり、部屋でダラダラ過ごす時間の確保が結構大事だったりする。何かを生み出すことは常に緊張を伴う。「緊張」に向かっていくための「緩和」の時間が必要なのかもしれない。
そんな日々の成果。去年の仕事のまとめです。
一昨年からLast Electroというバンドを始めた。
日々LINEのやり取りを繰り返し、少しずつ作り溜めた楽曲たちをようやくミニアルバムにという形でリリースした。今月はいよいよ初のワンマンライブ。ここまでの道のりは長かった。バンドを継続する難しさを改めて感じている。同じ目標を持ちながら絶えずお互い成長し続け、音楽をアップデートし続けなければならない。小さなズレも積もれば山となりバランスはすぐに崩れてしまう。これを書いてる間にもKIRINJIのニュースが飛び込んできた。
僕は通常アレンジ、演奏、ミックスまですべて自分で行う。元々コントロールフリークな性分なのだと思う。せっかくバンドを始めるなら普段とは違うやり方にしたいと思い、Last Electroではアレンジ、ミックスの大半をメンバーのYusuke Nakamuraに任せている。人に任せるのは勇気がいるが、上手くいった時の喜びは大きい。ひとりでは生み出せないものに到達できるから。
昨年リリースした「Stars In Your Eyes」は昔のバンドメンバーとの再会をテーマに書いた曲。
当たり前だけど、バンドって永遠じゃないんだよなと。このメンバーで音を鳴らせる奇跡。その瞬間に立ち会うオーディエンスとの出会いも奇跡。
2月15日、代官山UNITで待ってます。
◯Kan Sanoの音楽的ライフコラム【観ずる日々】
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執筆者プロフィール
Kan Sano
石川県金沢市生まれ。キーボーディスト/トラックメーカー/プロデューサー。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。国内外のアーティストのライブやレコーディング、コンピレーションに多数参加するほか、自身名義の最新アルバム「Ghost Notes」が好評発売中。
HP:Kan Sano公式
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