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身体調律師・大政和寛インタビュー|免疫力を上げる「ボディチューニング」とは

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるいま、マスクよりも消毒よりも大切なのは「自分の免疫力を強化すること」と聞く。もっともだとは思うけど、免疫力なんてどうやってあげれば良いのと途方に暮れる。

 

そんなとき「まるで楽器を調律するように、身体が持っている力を引き出してくれる〈身体調律師〉が石川県に来るらしい」と小耳に挟んだ。

 

その方の名前は、大政和寛さん。ミュージシャンの顔を持ちながら、身体のバランスを整える〈身体調律師〉として、主に音楽家たちの身体のケア方法を伝える活動を伝え続けているアーティストだ。そんな大政さんに、3月末に開催されるワークショップの準備で石川県を訪れたタイミングでお会いすることができた。

 

大政和寛(おおまさ・かずひろ)
2003年ミニアルバム「STOP OVER」にてソロデビュー。2005年ヤマハへ移籍し、Lenoとしてアルバム「one day」をリリース。ミュージシャンとして活動するなかでパニック障害を発症し、それを克服するために天城流湯治法と出会い克服する。音を出すことと身体のバランスの関わりに注目し〈身体調律〉というメソッドを体系化。

 

――今日はお忙しいところありがとうございます。まずは、ボディチューニングとは何か教えていただいて良いですか?

 

はい、よろしくお願いします。人が生きていくと、必ず〈滞り〉というものができてくるんですね。その滞りを見つけ解消して、その人の持つ本来のポテンシャルを引き戻すというのがボディチューニングです。今は新型コロナウイルスの感染拡大が心配されていますが、身体を本来の状態に整えて、人間が持つ免疫力を取り戻すことができれば、過度に心配しすぎる必要はないと思います。

 

――滞っているとどんなことが起こるんですか?

 

原因不明だけどいつも体が重いなとか、なんか意味分からないけどだるいなとか、そういう状態がずっと続くんですよね。それを無視して生活し続けると、免疫力が下がって具体的な病気になって身体に現れてしまうんです。不定愁訴も三大成人病も、根本原因は滞りが原因であることがほとんどだと思います。現代人は、体が滞ってるということすら「こんなもんか」と思って気がつかない人も多いんですよ。体が重いのに、それに慣れてしまっているんです。そういう人めちゃくちゃ多いです。「年だから」とか。それは本当は違うんです。

 

――ボディチューニングは具体的にどうやってやるんですか?

 

滞りというのは、骨ぎわと筋肉の癒着なんです。これを手技を使って剥がしていきます。大まかに分けると整体になるのかもしれないですが、皆さんがイメージする整体って指で押していくイメージだと思うんですが、僕がやっているのは、手のエッジを使って剥がしていくというイメージなんですね。

 

――自分でもできるんですか?

 

普通の整体って通うじゃないですか。それとは全く別もので「自分の身体は自分で守る」というのがコンセプトで、セルフケアの方法をすべて教えています。ただ、効果がわからないとなかなか頑張って続けられないと思うので、最初の一回は僕が施術して「こんなに身体って軽くなるんだ」と実感していただいて、あとはご自宅でそれを再現してもらえたらと思います。

 

免疫力アップのためのセルフケア教えて!

大政さん

まず大切なのは、腸マッサージ。腸というのは、第二の脳とも言われる大切な臓器です。その腸のポテンシャルをいかに引き出すかというのが、免疫力アップ、健康アップになるためのキーになるんです。

 

 

これをやるだけでも身体が驚くほど軽くなるとのこと。

 

腸マッサージのやり方
① 中指と薬指の二本の指でおへその右2センチに添える。
② 同じ点にもう片方の手も添える。
③ ちょっと抵抗感があり少し痛いと感じるくらいまで指を入れる。
④ 自分の体に対して右回転に、半径5ミリくらいの円を描くようにマッサージ。30秒かけて一周まわるくらいの速さでゆっくり1分間行う。
⑤ 腰の左側の一番出っ張っているところから内側に5センチくらいのところに、同じように半径5ミリの小さな円を描くように1分間マッサージする。

 

指の形はこう。

 

大政さん

次に行うのは、ふくらはぎマッサージ。ふくらはぎは第二の心臓といわれるように、全身に血を巡らせるサポートをしているんですね。なので、第二の脳と第二の心臓をポテンシャルを引き出してあげれば、原因不明な体調不良はかなりなくなります。

 

スネの骨に沿って筋肉の癒着を剥がす。

 

ふくらはぎマッサージのやり方
① スネの真ん中にある脛骨の内側に、鉤爪にした親指でエッジを立てる。
② 脛骨のカーブに沿ってふくらはぎ側に向かって親指をスライドする。
③ カーブの谷が終わるところまできちんと剥がすのがポイント。

 

指の形はこう。

 

まずはその効果を実体験。

大政さん

まずは正しいやり方と、軽くなったという実感をしてもらうために、最初は僕が施術を行いますね!

と大政さんが施術を行ってくださった。

 

まずは片足…イタタ、イタタ、めちゃくちゃ痛いです!!!!

 

大政さん

それは、滞ってるからですね!滞りが取れてくると普通のマッサージみたいな〈痛気持ちいい〉くらいになりますよ。

なんだか大政さん、ニコニコ嬉しそうである。

 

「痛いですか?分かりました〜」と言いつつ、手を緩めてくれない大政さん。

 

 

ここまでやってもらって立ち上がると、本当に驚くほど身体が軽い。比較のために片足だけやってもらったのだが、右と左で明らかに足の上がり方が違うのだ。

 

大政さん

変わるでしょう?こんなちょっとのことで身体って変わるんですよ。第二の脳である腸と第二の心臓であるふくらはぎ、この二箇所のポテンシャルを引き出してあげれば、原因不明な体調不良はかなりなくなるし、免疫力が高まりますよ。

 

関係ないのだが、大政さん、めちゃくちゃ良い声である。

 

大政さん

あとは呼吸を深くするために、鎖骨下から第五第六肋骨間までを緩めるというのが大事ですね。

 

鎖骨下マッサージのやり方
① 指をテープをつかむような形にする。
② ①の指を身体の中心の鎖骨下におき、マグロの中落ちをこそげ落とすようなイメージで、中心から身体の外側にスライドする。

 

テープをつかむような手。

 

大政さん

ちなみに右が詰まると不安を感じやすく、左が詰まると気持ちが落ち込みやすくなるんですよ。

筆者もやってもらったが、右側が悶絶級にめちゃくちゃ痛かった。

 

現代人の免疫力低下の原因は?

――現代人が不健康な理由はなんだと思いますか?

 

まずは一にも二にも咀嚼不足です。咀嚼が足りないと、胃腸が硬くなってしまうんです。理想を言うと、ひと口目はまず100回、ふた口目は50回噛んで欲しいです。食べ物がちゃんと唾液と混ざってくると、胃腸に負担がかからないんですよ。現代人は咀嚼不足の人が多いので、唾液が出なくなっちゃってるんです。そして、咀嚼と同様に、真水を一日1.5〜2リットルくらい飲むことも超大切です。

 

――食事内容はどんなことに気をつければ良いですか?

 

現代の食事はまず第一に食べ過ぎが問題です。食べ過ぎの弊害というのはエネルギーを消化に使いすぎてしまって、免疫力とか体の機能を上げるというところにエネルギーがいかなくなるんですよね。

あとは炭水化物のとりすぎで、現代人は糖分過多な人が多い。糖分を摂りすぎると、血管年齢が上がって詰まりやすい状態になってしまうんです。今は新型コロナウイルスが出現して免疫力を高めなきゃとなったときに、食べすぎているうえに食べている内容が糖質過多だと決定的に免疫力が落ちてしまうんです。

 

――何を食べたら良いんですか?

 

今の日本での三大栄養素の栄養基準は、炭水化物:タンパク質:脂質の比率が6:2:2という考え方をしているところが多いんです。逆に現在の欧米の栄養基準は2:4:4に変わっているといわれてるんですよね。まずは欧米的な比率に切り替えるというのはすごく効果的かなと思います。

 

――ちまたで糖質制限が流行ってますよね。

 

ごはんだけ減らすから、失敗する人が多いですよね。本当は糖質を減らした分、タンパク質と脂質を増やしてあげなくちゃいけないんです。肉魚卵を食べて、さらにお通じのために食物繊維を野菜とか海藻類できちんと増やしてあげる。糖質を制限する、というよりもGI値の低い食品を選択していくという考え方も大切です。それをやってれば気持ちよく痩せるし、体も軽くなっていくんですよね。石川県は海産物とか野菜とか魚とか美味しい食材がたくさんありますので、糖質制限はやりやすい場所だと思いますよ。昨日も能登に行ってきて、初めて名前を聞いたような海藻を食べてきましたよ。喉に詰まるくらいの超ネバネバの(笑)

 

 

現在はワークショップや個人セッションのために、3ヶ月から4ヶ月に一度のスパンで石川県に訪れているという大政さん。直接ワークショップを受けたいという方は、大政さんのホームページにスケジュールが掲載されているので、チェックしてみよう。

 

次回の大政さんの石川県での予定はこちら。

 

●ワークショップ

3月29日(日)13:30〜17:00

場所/小松市または金沢近辺

 

●セッション

3月30日(月)
3月31日(火)
4月2日(木)
4月3日(金)
4月7日(火)
4月8日(水)
※各日とも13:30、15:30、17:30、19:30からの開始
場所/石川県能美市泉台町
問い合わせ/moriplex@gmail.com

 

(取材・文/佐藤江美、撮影/吉田章仁)

 

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