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Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】第26回:ライブ的体力の話

Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】
新世代のトラックメーカーとして注目を集める金沢市出身アーティストKan Sanoの音楽的ライフをちょっと覗き見。

 

コロナ禍でライブの数が減って以来、体力が落ちてきている気がする。仕事は基本的に毎日自宅に引きこもって楽曲制作とSlackの返信、たまの移動はほぼ車なので、日常生活の中で体を動かす時間がまったくない。

 

10月に大分、熊本、福岡と3日間続く九州ツアーに出た。僕にとってライブのステージは思いっきり体を動かせる絶好の場所だ。ライブが1ヶ月以上空くと、調子を取り戻すのに少し苦労する。最近は配信も含めて比較的ライブは開催できている方だが、今回のように3日間連続で演奏するのは随分久しぶりのことだったので、体がもつか内心不安だった。

 

日目ががっつり2時間ワンマンだったので案の定すべてを出し切ってしまい、2日目は体もメンタルも予想以上に厳しい状態だった。バンドメンバーがおらずソロだったことが尚更つらかった。自分の調子が悪くてもバンドメンバーがいれば彼らの力に助けてもらえるし、自分の不調は多少誤魔化せる。精神的な意味でも、音楽的な意味でも、一緒に演奏するメンバーがそばにいることはステージに立つ時大きな支えになっている。

 

日目のライブ直後はメンタルの準備の不出来に久々にかなり落ち込んでしまった。ところが周囲の感想は意外に良く、主催の飯田さんは特に2曲演奏したアップライトピアノの弾き語りに感動していた様子だった。その2曲は僕自身も気持ちよく演奏できたしそれなりの手応えはあったが、考えてみればそれもアップライトピアノの力に助けられていたのかもしれない。

 

どん底の2日目を経た3日目は逆に気持ちも身体も楽になっていて、ピークを乗り越えた気がした。「ライブ的体力」がようやく少し戻ってきたことを実感した3日目だった。

 

「ライブ的体力」とは文字通りの体力だけでなく、メンタルの維持やコントロール、現場の空気や状況に反応していく瞬発力、対応力を含むものだ。これはライブを重ねていくことで徐々に身に付いていく、目には見えない筋肉のようなもので、ライブ活動を継続していないと次第に失われていってしまう。普段ほとんど人に会わず滅多に外出しない僕にとって、大勢の視線を浴びながら演奏やMCをするのはそれだけでも疲れるし非日常的行為だ。ひどい時は緊張性の頭痛に悩まされることもある。ライブ終演後の頭痛は以前からあったが、最近はライブ会場に向かう道中から頭痛が始まることも増えた。これもコロナ禍でライブの本数が減っていることと関係あるように思う。

 

ちなみに今回の九州ツアー中に頭痛はまったく無かった。頭痛がある時とない時の違いは未だによく分からない。自分でも予想ができないから、ツアーに出る時は頭痛薬を常備するようにしている。

 

一方でライブは緊張だけでなく快感も味合わせてくれる。ピアノを演奏することは楽しいしそれだけでも一定の快感があるが、聴衆から注目され視線を浴び、その人たちに向けて音で応えることにも大きな快感を覚える。ステージの上でしか味わえない快感、幸福感が確かにあって、これは他では味わえないものだ。たまに頭痛には悩まされるが、基本的にはライブに向いているミュージシャンなのだと思う。

 

 

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執筆者プロフィール

Kan Sano

石川県金沢市生まれ。キーボーディスト/トラックメイカー/プロデューサー 。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。FUJI ROCK FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、ジャイルス・ピーターソン主催 World Wide Festival(フランス)など世界中の大型フェスに出演。 2019年アルバム『Ghost Notes』をリリース。テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」への出演でも注目を集めている。

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