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Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】第53回:断捨離は続く

金沢市出身のキーボーディスト/プロデューサー・Kan Sanoが綴るエッセイ。新世代のトラックメーカーとして支持されるアーティストの音楽的ライフを覗いてみよう!

 

片っ端から断捨離しまくっている。一昨年から少しずつ機材や服を人にあげたりはしていたが、一向に部屋が広くならないので思い切ってCDや本をダンボール12箱分ほど処分した。ようやく多少は広くなった気がする。

 

要る物と要らない物の線引きが難しい。当たり前だけど人はいずれ死ぬし、恐らくいま人生の折り返し地点まで来たであろう自分の今後について考えた時、物を所有することの無意味さや呆気なさを感じて何となく鬱々としてしまう。しかしそれでも物を集めることは相変わらず楽しい。自宅のLPレコードは止まることなく増え続けているし、最近は赤ブームなので表紙や装丁が好きな赤色の本を見つけるとつい買ってしまう。意識的に集めているわけでなく、いつの間にか集まってしまう。

 

「その集めた物たちがあなたなのよね」

 

昨年カウンセラーがそんな言葉をかけてくれた。確かにその通りで、所有してる物たちからその人の生き方や性格、好みや拘りが浮かび上がってくる。しかし、最終的にそれらの物は残ったまま中心にいる人だけがいなくなり抜け殻になってしまう。その事実が何とも言えない憂鬱な感覚にさせる。考えすぎなのだろうか。きっとこれからも物を集めては捨てて、また物を集めて…その繰り返しなのだろう。

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