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カレー韓国密輸パーティー2023|MOcA Diary カレーってからいですか #08

金沢・石引商店街のカレーマスター・モカさんが、カレーを仕込むかたわらでお送りするエンタメ系ゆるコラム。今回のテーマは「韓国」です。

 

「光陰矢の如し」といいますが、歳を重ねるごとに身体が重くなるのとは相反して、月日の過ぎるスピードはどんどん早くなっていきますね…。8月の夏休みの韓国旅行のことを帰国後すぐこのコラムに書こうとしてたら、もう年も明けて年度末!9月の石引商店街の秋祭りの企画・運営でバタバタして、秋の出店イベントでバタバタして、年末でバタバタして、年明け早々にバタバタして、確定申告でバタバタして、もれなく4月もバタバタするので今のうちに書いておきます。

 

 

昨年の夏休みは韓国旅行をしてきました。海外に行くのは9年前のタイ以来。6年前にも台湾旅行するはずでしたがフライト数日前から高熱が続き、当日小松空港に向かう直前で肺炎と判明しドクターストップ。旅行用のスーツケースがそのまま入院用の荷物になるという悲しい再利用に…病院にパスポートは要りません。

 

韓国に行くきっかけとなったのは、ソウル・弘大で喫茶店「雨乃日珈琲店」を営む池多亜沙子さんと僕の妻が昨年から仲良くなったのがきっかけ。お互い同い年で、書家でもある池多さんの個展が金沢であれば行くし、池多さんも帰国した時はパートナーで同じく雨乃日珈琲店の清水さんと二人でJO-HOUSEに来てくれていて、お互い10年以上「知人」という感じだったんですが、距離が縮まるタイミングっていつ来るか分からないもんですね。

 

雨乃日珈琲店 日本語ブログ
ikeda asako

 

で、何しに韓国へ行ったのかといえば観光・グルメはもちろんのことですが、「韓国でJO-HOUSEのカレーを持ち込んで韓国の皆さんに食べてもらいながらDJパーティーをする」という無謀企画。それをJO-HOUSEにも来店されたこともあり、韓国インディーズ界隈の重要人物で日本人アーティストの韓国公演のアテンドを多く手がけるパク・ダハム君にDMでチラッと伝えたら「それ、きっとお客さん来ますよ!」と。速攻でカレーとDJをどちらも楽しめるイベントを企画して、あれよあれよと場所も抑えてポスターも制作、厨房の無い場所でカレーをスムーズに提供する方法を考案したりネットでの予約フォームまで作ってくれたりして、仕事が早すぎて逆にこっちがあたふた。

 

イベントが8月20日に決まったのが6月末。韓国人は鉄は熱々のうちに打つ「パリパリ文化(急げ急げ文化)」。半年先のことは決められない気質だそうで「あと2ヶ月しかない」のではなく「あと2ヶ月もある」という考え方は腰が重い僕には勉強になりました。あと、パク・ダハム君は日本の音楽イベントに参加した際に、会場でカレーを売ってる様子が羨ましくて韓国でもやってみたかったそうです。

 

 

しかし、イベントは決まってカレーの予約も驚くことにキャンセル待ちが出るくらいあったので早々に締め切ったものの、心配事は「韓国にカレーを持ち込めるのか?空港で没収されたらどうしよう?」という問題。ネットで調べたら韓国に持ち込み禁止なのは『動物、畜産物、肉類、ハム、ソーセージ、ジャーキーなどの肉加工品、鹿茸、骨など動物の生産物、卵、卵白、卵粉など、卵の加工品、牛乳、チーズ、バターなどの乳製品、生きている植物、果物、野菜、農産物、林産物、草花類、木材類、漢方薬、ナシ亜科(リンゴの木、ナシの木など)、ミカン科(ミカン、オレンジなど)、ブドウの木、マツの苗木類など、土、生きている病原菌および害虫(ペット用の昆虫を含む)』とのこと。

 

はい、肉NGね。生はもちろん煮ても焼いても燻製でもNG。ということは、肉を抜いたカレールウを持ち込んで、現地で肉を購入して仕込めればいいということか?他にもネットで色んな記事を調べてみたら、『パウチなど包装状態に関わらず、肉の具材がゴロゴロ入ったレトルトカレーは持ち込みできません。もちろん牛肉に限らず、豚肉、鶏肉もアウトです。肉類が入ったレトルトシチューなんかもダメです』。

 

やっぱカレーの中の肉もダメか…。ほかにも『市販のカレールーの原材料に記載されている「牛脂豚混合油」、ここがどうやらひっかかるかもしれない』『こくまろカレー、ジャワカレー、バーモンドカレー、ZEPPIN、フォン・ド・ヴォー、熟カレーは牛脂もしくは豚脂が含まれているので持ち込み不可』

 

え、鶏ガラとかダシや脂もダメなの?!

 

『検疫官に「レトルトカレーの中に牛肉が入っているのでだめですか?」と聞いてみました。すると意外なことに「レトルトカレーの中の具材ですよね。真空パックですし問題ないと思います」と』

 

あれ?真空パックならいいの?!

 

『仁川空港にある検疫所に問い合わせをしてみたところ、「滅菌、殺菌されているならカレールーは多分大丈夫」というなんとも曖昧な回答』

 

どっちなんだ?!

 

というわけで、スーツケースぱんぱんに詰めた肉なし冷凍真空パックのカレーを持って緊張しながら仁川空港へ向かったのですが、結果、あっさり通過しました。ひょっとしたら小さな子連れだから通過できて、僕一人だったら怪しまれて「これは何だ?」と没収されていたかもしれません。結果、カレーの韓国持ち込み可否は「状況と運」なんじゃないかなと。

 

『韓国にカレールー、レトルトカレーは持ち込める?検疫の実レポあり!』

『日本のお土産で人気のカレールー。韓国に持ち込めるのはどのカレー?』

『カレーのルーが韓国の持ち込み禁止食品の中にあるのはなぜ?』

 

 

韓国でのもう一つの目的が、「長谷川陽平さんのDJを現地で体験する」ということ。これもダハム君がブッキングしてくれました。長谷川陽平さんはまだK-POPが韓国で確立されてもない約30年前から韓国で音楽活動をされているソウル・サバイバー。ギタリスト兼プロデューサーとして参加したバンド「チャン・ギハと顔たち」は、2012年の第9回韓国大衆音楽賞で「今年のアルバム」「今年の音楽人」「最優秀ロックアルバム」「最優秀ロックソング」の4部門受賞をしていて、2005年には韓国で国民的人気の三兄弟バンド『サヌリム』に4人目のメンバーとして加入している偉人。詳しくは長谷川さんの著作「大韓ロック探訪記 (海を渡って、ギターを仕事にした男)」を読んでみてください。

 

『韓国に渡り〈ギターと音楽を仕事にした男の約20年〉を綴った「大韓ロック探訪記」 長谷川陽平× 大石始(ライター)対談』

 

現在長谷川さんは韓国でDJとしても多忙を極めていて「海外でも人気の高い日本のシティポップのレコードをこれから聞いてみたいけど、どれを買っていいのか分からない」という、韓国の若者のためのハングル語のディスクガイド本「TOKYO RECORD 100」も出版されています。この日の長谷さんのDJは80年代の韓国シンセポップでグイグイ責めて、中山美穂&WANDS「世界中の誰より」の韓国語カバー、最後はNewJeans「Ditto」。韓国のクラブで爆音NewJeansは死にました。ありがとうございました!

 

雨乃日珈琲店のブログにも書いてあったけど、『韓国に住む日本人の長谷川さんは、『世界中の誰よりきっと』の韓国語カバーをかけ(なぜそんなレコードが?)、韓国人のダハム君は、韓国人歌手が日本語で歌う変な歌謡曲をかけ、日本人のモカさんがK-POPをかければ、訪れていた韓国人の親子が輪になって踊ります。』字面だけで見ればかなりストレンジなイベントですが、ものすごく平和な愛と笑いと美味しい夜となりました。

 

 

何から何までお世話してくれたダハム君と雨乃日珈琲店夫妻、優しく対応してくれた会場のchannel1969の店長とスタッフ、DJしてくれたコバヤン、韓国まで来てくれた日本の友人たち、そして予約までしてカレーを食べに来てくれた50人くらいの韓国のみなさん、本当にありがとうございました。今年もやりたい!

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