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大人になっても子供のままで生きづらい人|裕子の艶言葉 #69

酒が入れば心も開く。金沢屈指の名門クラブに在籍し、現在は木倉町でワインバーを経営する裕子さんの酸いも甘いも知り尽くした人生談義。酒席で老若男女の心の声に耳を傾けてきた夜の蝶ならではの言葉は、まるで美酒のごとく身体の奥まで沁みわたります。

 

子供の時、好きな事を思う存分できましたか?

 

やりたい事があっても親に止められたり、脅されたり、子供の手には負えない環境によって好きな事ができずに我慢していませんでしたか? 思い当たる節のある方は、もしかすると内面的には子供のまま、年齢だけ大人になってしまったのかもしれません。

 

子供の時に、変な髪型、奇妙な服装、思い切り服を汚す砂遊び、お行儀の悪い食べ方、他人や親から見てNGと思われる様な行為でも、その時に思う存分やり切る事ができれば、本人が満足して自然とそこから卒業できます。思い切り好きに、身を任せて卒業できて初めて、次の成長のステップに行けるのです。

 

それらのやりたい事を親や周りの大人に脅され、無理に抑圧され、やりたく無い事を我慢してやらされて来た人は、他人が許せなくなります。服を汚して砂遊びがしたかったのに抑制されて来た人は、服を汚して砂遊びをしている人を非難します。幼少期特有の自由な食べ方を拒絶されて来た人は、他人の食べ方がお行儀悪いと非難します。ルールに異常に厳しい親に躾られると、他人がルールを守っているか異常に厳しくなります。

 

本当は自分もやりたかったのに周りに脅されたり抑圧されて無理に守って来た事、それらを破って自由に生きている人が許せなくなるのです。好きな事を思う存分、満足するまでやり遂げた人には、本人の心の満足が得られます。心の満足が得られた人にこそ、本当の意味での他人への寛容な心が生まれます。

 

人間はそれぞれの年齢によって解決すべき段階的な課題があります。

 

幼少期には、ちゃんと抱きしめられたり甘やかされたりして、頼れる、安心できる場所があると知ること。幼児期には、人とのコミュニケーション能力を培うこと。青年期には、問題を自分で向き合い、考え、行動して、解決する力を養うこと。そしてそれらを通じて「自分を知る」こと。自分としっかりと向き合って自分を理解する事ができれば人生に満足ができ、他人にも自然と優しく寛容になれます。

 

その年齢的な段階の問題を解決しないまま、見て見ぬふりをして年齢だけ大人になってしまった人が、他人に異常に厳しく批判的で、他人の目を気にして「自分らしく」が理解できず、他人軸の評価を気にして迷子の様に生きてしまうのです。

 

幼少期にしっかりと愛され自分で考えて行動をして来た人達にとっては「なんでそんな事で怒っているの?」「なんでそんなに他人が気になるの?」と、理解ができずに不思議な気持ちになります。しかし、そんな生きづらさを経て大人になってからそれらを乗り越えた人は、逆にその人達の気持ちが分かる分、そうした“子供な大人”にも寛容になれる場合もあります。そういう方達はとても繊細で傷付きやすく、人の感情やストレスを感じられる優しい人達だから、気がつけるのです。

ただ、そういう方達の場合は他人から利用されたり搾取されない様に気をつける必要があります。他人の評価を気にするあまり、つい話を聞いて乗ってしまう事があります。そしてズルい人達はそういう優しくて繊細な人を見抜く力があります。「頼られる」と「利用される」は大きく異なります。

 

キチンと自分と向き合って自分の足を使って行動した人は、満足して幸せな人生を送れています。「星の流れが良いからイイことあるはず〜」「◯◯さんがこう言っていたから大丈夫!」と、誰かに依存し、責任を何かに任せて自分と向き合いもせずに逃げて過ごしている人には幸せは訪れにくいと思います。

 

このコラムの読者は30代以降の方が多いのですが「自分は年齢の段階の問題を解決せずに、子供のまま大人になってしまった…。もう満足する人生を送るには遅い…!」とは思わないでください。何歳であろうとも気がついた時、その時がチャンスです。青年期に気がついたならば大変に幸せなこと。中年期に気がついたならば、その時に課題と向き合い、本来の自分を知ることにより、老年期を満足する人生として送れます。

 

他人のせいにせず、組織のせいにせず、何かのせいにせず、自分を犠牲にせず、自分の満足の為に生きれます。自分が満足して生きている人は周りの人を幸せにできます。「周りの人に利用される」のでは無く「周りの人が幸せになる」のです。

 

妊婦の時に、有名な助産師さんに言われた言葉が印象的でした。

 

「ストレスが1番の大敵です。とにかくストレスをかけないで下さい。ワガママに生活して下さい。ワガママにはネガティブな印象がありますが、本来は『我がまま、我がのまま』で、自分らしくあると言うことです」

 

それにしても、あたしはずいぶんワガママに生活して来ました。この中年期に溢れ出す満足を、ワガママを許してくださってきた皆様にお返しする人生を送りたいです♡

 

艶小噺

そんなワガママをSankakuの相方あきさんに許してもらい、人生5度目のベルリンへやって来ました。今回の最大の目的は「フェーダーヴァイサー」という、この時期に現地でしか飲むことのできないワインの新酒を味わうこと。発酵途中の赤ちゃんワインなので、密閉すると破裂するので蓋を閉めることが出来ず、持ち運びが出来ないのです。

 

白ワインは、りんごの様な香りでかなり強い甘味。桃の香りも漂い、とてもとてもフルーティー。赤ワインは白ほどの甘味は無く、かと言って赤ワイン特有のタンニンは感じず、これまたフルーティー。イタリアの赤の発泡ワインのランブルスコの辛口にとても近く、かなりフードフレンドリー。いずれもアルコール度数4%から、発酵していく過程で11%ほどまで上がるそうな。3日間ほどかけてどちらも変化を楽しみました。

 

あくまでも、ソムリエとしてのお勉強ですので悪しからず!ワインや、ワインに合う食材も仕入れてきましたのでSankakuご来店の皆様、ぜひ飲みましょうね。

 

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