煩悩バンザイ!石川県がもっと
楽しくなるウェブマガジン「ボンノ」

金沢市の小学校、それは小さな金沢市|MOcA Diary カレーってからいですか #13

毎日お店をやっていると、ちょうどランチタイムの終わりくらいくらいの時間に、小学校低学年の子どもたちがわらわらと下校してきて店の前のアーケードを歩いていますが、日によってはみんな荷物が重そうで気の毒になります。

 

勉強道具に加えて、水筒、体操服、かっぽう着、お習字セット、ピアニカ、ノートパソコン…。まだ身体の小さな1〜2年生や女の子が、荷物が重すぎて道にへたり込んだり、ベンチで休憩したりしています。大人の身体に換算したら一斗缶20kgくらいの荷物を持って歩いてることに…。無理!二宮金次郎!

 

そういえばランドセルを体感90%軽くする革命的アイデア商品「さんぽセル」を開発した小学生がいましたね。

 

中身が空っぽでも重たいのがランドセル。6年間使うから頑丈なやつを、と言っても重いです。そしてかなりの高価。2024年度のランドセルの相場は平均59,138円で、65,000円以上が最も多く、次いで55,000〜64,999円が購入されているそうで。高級ブランドや高品質な素材、デザインを選ぶと、10万円以上するものもあります…。大人のバッグに換算したらエルメスのバーキン!?無理!セレブ!

 

我が子が小学校に入学するときに、妻が学校に電話して「ランドセルじゃなきゃダメなんですか?」と抗議ではなく純粋に問い合わせたら、「ランドセルじゃなきゃダメっていう決まりは無いんですけど、過去にランドセル以外で通学した生徒の前例がないんです…」という回答。

 

別にどーしてもランドセルが嫌だという訳じゃないし、我が子だけ違うってのも気の毒だったので、結局ランドセルを購入しました。

 

僕の生まれ育った鳥取県米子市の小学生は、ほぼ全員「ランドナップ」というランドセル型のナップサックを背負っています。今から約60年前、米子市内で学用品を販売する雑貨店「エビスヤ」の先代店主・有地金哉さんが、高度成長期の好景気によるランドセルの高騰化で「ランドセルが高くて買えない貧困家庭でも買えるかばんを」という米子市からの要請を受けて、5年の歳月をかけて改良を重ね、ランドナップを完成させました。革製のランドセルの約半分の660gという軽さと、ランドセルの平均価格の約10分の1というリーズナブルな価格で、ランドナップは鳥取県西部の小学校で定着しました。有地社長最高!

 

また、同じような製品で、京都府や滋賀県など関西地方の一部地域では「ランリュック」、北海道小樽市では「ナップランド」、島根県出雲市平田町では「ランバッグ」という名前で定着しています。

 

富山県立山町はアウトドアブランドの「モンベル」とコラボをした、通学用バックパック「わんパック」を開発。『新たに学校教材となったパソコンやタブレットなど、すべてのものをオールインワンで収納できます。従来の皮革製ランドセルに比べて非常に軽量で、水にも強く、子どもでも扱いやすい工夫を凝らし、高い耐久性を備えています。この「わんパック」は、立山町内の公立小学校に令和5年(2023年)度以降に入学する全児童へ、立山町からプレゼントされます』とのこと。プレゼント!立山町最高!

 

 

そんな「ランドナップ」のお古を、小学校卒業で要らなくなった鳥取の姪っ子からもらったので、我が子(10歳)に使ってもらおうとお願いしたら、全校生徒の中で自分だけランドセルじゃなくなることは了承した上で「先生の許可がでたらいいよ」と言ってくれたので、妻が先生に掛け合って許可をもらい、遂に石川県初のランドナップデビュー!(調べてないけど)。これからランドセルを購入予定の親御さん、そんな子供にとって重くて大人にとって高い入れ物より、ぜひランドナップをお勧めします。

 

さあ、あとは金沢市の小学校の「標準服」を変えたいなあ…。

 

※以下は以前に書いたコラムより引用

 

自分が金沢で生まれ育ってないよそ者なので、子どもが小学生になるまで気づかなかったというか、気にしてなかったんですが、金沢市の小学校はほぼ全校制服で、厳密には制服ではなく「標準服」と呼ばれる黒い襟なしブレザーと黒いズボンorスカート、白いポロシャツ、黄色い帽子という装い。ちなみに遠足などの日は私服でも標準服でもどちらでもいいので「自由服」と呼ばれています。遠足なので動きやすい服装の方がいいんですが、滅多にない私服姿が披露できるということで汚したらいけない一張羅にドレスアップをして登校する女子たちもいるとか(笑)
「標準服」の定義は「学校などの組織において、所属者が着用することが望ましいとされる服装」という意味で、校則として着なければいけない「制服」とは違い、生徒に着用の強制はできません。本当ならあくまでも「お願いレベル」の服装。別に私服を着て登校してもいいんです。しかし標準服は金沢市内の54校の小学校のうち、51校が採用している共通の型の服なので、まぁ事実上の制服。親のエゴで無理矢理私服を着せて登校させても子どもが孤立してかわいそう、ってなります。金沢市で自由服(私服)の小学校は、伏見台小学校、富樫小学校、十一屋小学校の3校のみ。じゃぁこの3校はなぜ私服なのか?気になるので調べてみたら石川県の観光・生活情報が事細かくびっしり掲載されている「来まっし金沢」というサイトの中で、まさにそれに関する記述を発見しました。
金沢市の小学校が「標準服」導入を決めたのが1964年2月。ただし、十一屋小学校だけは自衛隊官舎や国家公務員官舎の他、大桑団地と平和町団地をかかえ、転勤族が多いため自由服のままにしたそうです。では伏見台小学校と冨樫小学校は?そこに登場するのが「金沢自由服の父」こと福浦正孝氏。福浦氏は伏見台小の校長に赴任した際に「子供たちは成長期でもあり、伸び伸び活動できる私服がいい」と考え、保護者アンケートを実施後、1996年度から標準服から自由服に切り替えた。続いて福浦氏は1998年度から校長として赴任した富樫小学高でも同じく自由服に切り替えました。
石川県七尾市は逆に2011年から全小学校が標準服になったのは、2009年11月の学習発表会で、標準服姿の中能登町児童に対し、七尾市内の生徒たちのミニスカートや、卑猥なデザインがプリントされたシャツなどのルーズな服装に市長が苦言を呈し、それに呼応するように教育長が各小学校に呼びかけた結果、全校標準服化になったそうです。伏見大小と冨樫小は福浦正孝校長の素晴らしい英断と理念がいまだに受け継がれているんですね。そして市長が怒るくらいの七尾市内の子供たちの卑猥なファッションというのも気になります。
全国の小学校では登校時に私服が75.7%、標準服20.4%、体操服が3.9%らしいので約8:2の割合で私服なのに対して、金沢では制服51校:私服3校、私服小学校は1割もないんですね。なぜそうなったかを検索してみたら「高度成長期や(前回の)東京オリンピックで子どもたちの服装が華美になって乱れてきたから標準服を導入しましょうと保護者からの要望(!)で昭和38年から検討されてきた」そうです。おそらく昭和38年頃の小学生の親たちは自分たちが小学生のときに第二次世界大戦を体験した(石川県には空襲はなかったですが)世代。高度成長期や東京オリンピックで豊かになる一方で戦争を知らない子どもたちの将来を案ずる親御さんも多かったのかもしれません』

 

〈追記〉
先日、金沢香林坊シネモンドで、話題のドキュメント映画『小学校~それは小さな社会~』を観てきました。この映画が撮影されたのが2021年。入学した小学1年生(と6年生)に密着していて、ちょうど我が子の入学のタイミングと一緒の同級生だったので、あの時の1年生って学校でどういう感じなんだろうという、参観日だけじゃ見れない擬似体験ができるかなと観てみたら、想像を遥かに超えて面白かった!大ヒットなのも納得。

 

事実は小説よりなんとやらと言いますが、先生たちも、子どもたちも「小学校」の中で一生懸命必死に生きているだけで、それに密着するだけで、特に大きな事件がなくともこんなに撮れ高があるんだなと。先生でも生徒でも登場人物の誰目線で見ても面白かったです。上映は終わってしまったけど配信があったら是非お勧めです。

 

映画『小学校~それは小さな社会~』公式サイト

映画『小学校~それは小さな社会~』予告編
映画『小学校~それは小さな社会~』山崎エマ監督インタビュー

WHAT’S NEW新着記事