
公私混同グルメ 〜金沢老舗ドレッシング編〜|MOcA Diary カレーってからいですか #14
毎日毎日お店のメニューの仕込み、本日のごはん、本日のカレー、自分の家のごはん、バイトのまかない。何が食べたいか、何の料理を作ろう、どんな食材を仕入れよう…と、20年以上そんな事ばっかり考えていたら、仕事とプライベートのボーダーがほぼ無くなってきました。
もちろん、ボーダーは無くとも仕事はプライドを持ってというか、ちゃんとやってるんですが。それと同時に外出着と仕事着とパジャマのボーダーも消えつつあります。オシャレして外出なんてワンシーズンに1回くらい、それ以外の日々は油とスパイスとハーブにまみれて生きているので、段々と汚れてもいい服装になってます。
いい意味で「仕事と遊び、趣味やライフワークが混ざっている人生」なんですが、仕事とプライベートの切り替えができないのも事実。そういうのを何と言う?公私混同?うーん、少しネガティブに聞こえるけどその通りです。私の生活は公私混同グルメ。自分の仕事に満足して没頭し、周囲の環境にも不満なく、落ち着いて生活している状態のことを「安居楽業(あんきょらくぎょう)」と言うそうですが、そこまでには達してない。やっぱり僕の座右の銘というか生き方は「公私混同」です。
そんなわけで今回は、最近の公私混同グルメを紹介します。原価の高騰で業務スーパーでも酒のやまやでも、オリーブオイルが倍くらいの値段になってドバドバ使えなくなりました。てことで美味しいオイルを自家製してみようと作ってみたのが「ネギ油」。サラダ油に生姜、ニンニク、長ネギをたっぷり入れて、ネギが茶色くなるまで煮込むだけで、オリーブオイル以上の万能オイルになります。
ラーメンや焼きそばなどに垂らしたら旨味がぐんと上がり、塩と胡椒と酢を混ぜたらドレッシングになり、カルパッチョや餃子のタレにも。ピザやパスタとか、いつもならオリーブオイルな料理にも合いますよ。大量に作ってペットボトルに入れたらお店で使用しているレモンサワーやハニーレモンソーダの原液とそっくりで、バイトが間違えてカクテルに入れたら大惨事になるのでドリンクカウンターから遠く離して保存しています。
桜が満開にる4月上旬に開催される恒例野外マルシェ「春ららら市 2025」には過去13年連続で出店していて、今年は初めて金沢市野町にある「今川酢造」さんと一緒なテントになりました。今川酢造は大正12年創業なので今年で102年の老舗。存在は知っていたのですが、初めて三代目社長の今川英雄さんとお話をしたら気さくなおじいちゃんで、商品について色々と聞いてたら「試しに一本持ってけ」と、今川のマルサン純米酢をいただきました。「店で使うなら卸値にしたげるよ」と言ってもらえたので、早速持ち帰り試飲してみたらびっくり。芳香な香りとキリッとした日本酒のような美味しさ!酢だけど。今川さんの純米酢は「静置発酵法」という今では日本でも数少ない製法で、一度お酒を造ってからお酢にするので大変な時間と手間ひまがかかるとのこと。この味を知ってしまったら市販のお酢に戻れなくなるので要注意です。
戻れなくなる調味料といえば、今川さんの純米酢を買ったのでせっかくなら「味醂(みりん)」も良いやつを買ってみようと、今年で創業400周年になる石引商店街のシンボル「福光屋」さんが製造している「福みりん」を今更ながら初購入。石川県産のもち米のみを原料にした蒸米と、契約栽培の酒造好適米「フクノハナ」のみを原料にした米麹を使用した本みりんで、こちらもみりんの概念が破壊される上質な日本酒のような、このまま飲めるキッチンドランカー注意報の美味さ。火にかけてアルコールを飛ばしている時の香りは、台所でお節料理の準備している香りを嗅ぎながらコタツに入っている時のような幸せな匂いです。いや〜徒歩30秒のところで売ってるのに知らなかった…。
そうなると、以前からJO-HOUSEで使用している醤油で、今川さんと同じく野町にある明治29年創業の老舗「中初商店」の無添加丸大豆本醸造醤油「天佑」と、今川酢造の「純米酢」、福光屋の「福みりん」が厨房に三役揃い踏み。そして自家製の「ネギ油」もある。ならば!よし!作ろう!ということで完成しました。野町・石引の調味料とJO-HOUSEのネギ油がコラボした『老舗ドレッシング』。ゆでたまご先生の「キン肉マン」に登場した6人の悪魔騎士が合体した最強超人「悪魔将軍」のような最強和風ドレッシングです。早速カツオのたたきと新玉ネギのスライスと大葉と一緒に食べたら脳が溶けました。これは売れる?ビジネスチャンス?!
というわけで、JO-HOUSEは割烹じゃないけど、これからはところどころで地酒ならぬ地調味料を使っていきます!