【名物誕生秘話】秘伝のソースがクセになる『New狸』のヤキメシ
スパイシーなしょう油の香りが食欲をそそる『New狸』のヤキメシ。金沢っ子の間では「黒い焼き飯」や「ブラックチャーハン」なんて愛称で呼ばれています。
黒褐色に輝く見た目に反して、どこか懐かしく、優しい味わい。秘伝のソースを柱に味のバランスが計算し尽くされていて、最初から最後までずっと美味しいんです。
ヤキメシ850円
伝説の洋食店「狸茶屋」の系譜
金沢市小立野にある『New狸』は、1967年創業の老舗洋食店。親子三代で切り盛りするアットホームな雰囲気で、昼夜を問わずたくさんのお客さんで賑わっています。
ルーツとなるのは、かつて片町にあった伝説的な洋食店「狸茶屋」。現在、石川県で活躍する数多くの料理人が修行をし、三島由紀夫の小説にも登場するほど有名なお店でした。ここで働いていた矢田紀彦さんが、のれん分けという形で独立したのが『New 狸』です。
オープンキッチンの広々とした空間。ピカピカに磨かれた厨房は一流店の証。
入り口近くに置かれた狸の置物が目印。
メニューはハヤシライスやタンシチューなどの洋食が中心。魚と肉の2品のおかずが日替わりで楽しめる「たぬき定食」も人気があります。
そんな中で同店の看板メニューとなっているのが、冒頭でも紹介したヤキメシ。矢田さんが独立するさい「狸という名前にちなんだメニューをお店の看板にしたい」と、狸色に仕上げた焼き飯を考案したそうです。
椎茸、チャーシュー、卵をサッと炒めて、ごはんを投入。秘伝のしょう油だれで風味を付け、仕上げにネギを入れる。
肉の旨味が溶け込んだソースが絶品
味の決め手となるのは、香辛料やだしを煮出したしょう油に、焼き豚の仕込みダレを合わせた秘伝のソース。肉の旨味が溶け込んだこのソースが麦飯と絡み合って、極上の味わいとなります。
仕上がりはパラパラというよりはしっとり系。口に入れた瞬間、しょう油の香ばしさと甘味が広がって、いつのまにか完食してしまうほど、ついつい手が伸びてしまいます。
麦飯にソースが染み込んだ、しっとりとした味わい。
「ビールとの相性も抜群なんですよ」と二代目の佳弘さん。テイクアウトもできるので、ヤキメシをお供に自宅でゆっくり晩酌するのもありかも。
セットで付いてくるブイヨンベースの中華風スープもこれまた美味。
クセになるほど美味しい『New 狸』のヤキメシ。令和の時代にも受け継ぎたい、金沢が誇る自慢の味です。
あなたの街の名物を紹介してみませんか?石川県民に愛され続けているメニューの情報提供お待ちしています。
New 狸
石川県金沢市小立野3-27-12
TEL.076-262-6658
営業時間/11:00~14:30、17:00〜20:45(L.O.)
定休日/火曜、第3月曜日
席数/カウンター16席、テーブル14席
駐車場/7台
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)
※こちらの記事は、2019年9月に掲載した記事を特集として再掲載したものです。