2020年ぶっちゃけどうだった?〈石川県〉飲食業界ギリギリトーク!
目次
多くの業種に多大な影響をおこしたコロナ禍2020年。
なかでも大打撃を受けた飲食業界ってぶっちゃけどうだったの?ということで、顔を出さない約束で普段聞けない内情や暴露話などいろいろ聞いてみちゃいました。
奥右:レストラン経営(以下レストラン)
奥左:バー経営(以下バー)
手前右:チェーン店勤務(以下チェーン)
手前左:カフェ勤務(以下カフェ)
2020年コロナ禍どうだった?
レストラン:コロナが日本でガッときたのって3月くらいだっけ?で、3月中旬くらいにアメリカがとんでもないことになった。
バー:その頃アメリカでインフルエンザが流行してたけど、あとから考えるとコロナやったんじゃないんかって言ってたね。
チェーン:日本では3月入ってくらいからイベント中止だのなんだのとか。そして、ゴールデンウィークくらいに休業に入ったよね。
カフェ:その頃、なんかエセ医療とかのうさんくさい情報がよく回ってきませんでした?
バー:あったあった。軽石が効くとか、お湯を飲めとかね。
レストラン:次亜塩素酸水の発生装置とかもあったけど、結局あれってどうだったんだろうね。
バー:あったね。首からかけてるタイプもあった。気化させて吸い込むみたいなやつ。あんなの直接吸い込んだら大丈夫か心配になったよ。
カフェ:知り合いからいろんなのが回ってきたけど、何を信じたらいいのカオスでしたね。しかもみんな善意で教えてくれてるから「それウソらしいよ」とも言えないし。
テイクアウトどうだった?
レストラン:夜営業だけだった店が、ゴールデンウィークあたりみんなランチ営業始めたね。
バー:そうだね。昼のみに切り替えたり。
チェーン:テイクアウトとかデリバリーとかドライブスルーだとかいろいろやってたけど、焼け石に水なお店も多かったんじゃないかな。原価度外視みたいなお店も多かったし。マーケットとしては荒れ放題な印象だった。
カフェ:ユーザーとしては、有名店が安いランチ出してくれたりして嬉しかったですけどね。
レストラン:それはあるけど、反面とんでもない弁当もたくさん出てきてたよね。ほかほかご飯の横に刺身があったり、生卵入れてたりとかね。
バー:サルモネラ危ないヤツだね。それはアウト。
カフェ:スイーツをテイクアウトで売ってたお店があったけど、多分菓子製造免許なんて取ってないんだろうなって思って見てました。
チェーン:みんな、自分の領域以外は案外無知だからね。
バー:グレーゾーンじゃなくて、完全ブラックだからね。
チェーン:「そこはちゃんとしようよ」って人と「そんなこと言ってられんしやるぞ」って人と、同じ飲食業界でも断裂はあったよ。しかも後者が重鎮だと誰も何も言えないし。
カフェ:夜系のお店はみんな必死だったからね。私たちはカフェで昼がメインだったからダメージは思ったほどじゃなかった。テイクアウトも早めに取り組んだし、その頃はテイクアウトを応援してくれる人やサイトも多かったから、本当にありがたみを感じましたね。
現場の人たちはどうだった?
バー:普段夜働いてるから、コロナになってからは普通の人と同じ生活ができたよ。朝に家族揃って朝食を食べ、家族が出かけたらペットに餌をやり、夕方までやることがないみたいな。定年退職した人みたいな気持ちだったね。でも3日で飽きるの(笑)。
チェーン:ウチでは5月くらいはみんなナーバスになってて、昼のパート従業員が「怖いから働きたくない」って言ってて、逆に夜に入ってくれる学生バイトは、実家にも帰れないしこれからどうなるか分からないから働けるうちに働きたいっていう人が多くて、シフトの調整が非常にやりづらかったですね。昼は働きたい人がいなくて、夜はたくさんいるみたいな。
カフェ:ウチもそうでした。その頃はマスクも手に入りづらくなってたので「手持ちのマスクが切れたのでシフト入れません」とか。
レストラン:ウチはお客さん来ないしやることないから、2〜3日に一回店行って、大掃除だけしてた。今日は換気扇、とか今日は冷蔵庫の中身を全部出して拭いてみたり。でもそのうち掃除もするところがなくなってきた。今年だけでもう冷蔵庫だけで何回掃除したんだろう。おかげでピカピカになったけど(笑)。やることはないけどスタッフをクビにはできないから、掃除させるしかないんだよね。キレイになったから良いんだけど。
カフェ:知り合いの経営者なんてSNSで「もう潰れそう」とかグチばっか言ってた。そんなこと発信してる店に行きたいかっていう話ですよ。生々しすぎる。スタッフのモチベーションもダダ下がり。
チェーン:飲食店は悲壮感出したらダメだよね。
レストラン:それはお客さんに甘えすぎてるよね。お客さんも行かなきゃいけないのかな?って義務感が出ちゃうし楽しくない。
雇用関係はどうだった?
バー:使えないスタッフをコロナのせいにして辞めさせたりって話はよく聞いたよね。逆に使えるやつは手元に置いておきたいから、仕事なくても「飯食べにこい」ってタイムカード押させて絶対にやめさせないとか。二極化だった。
レストラン:一回辞めてもらって、スタッフは失業保険、店側は雇用調整の補助金もらっといて、あとから戻すってのもよく聞いた。結局戻さなかったみたいな話も聞いたけど。コロナ便乗で乱暴に切られた人は多いよね。
チェーン:できる人が辞めて他に移動したけど、入ってみたら求人の労働条件と全然違ってたりって話もよく聞くよね。いたしかたないのはわかるけど、計画性がない店も多い。
バー:そんな店は、コロナ関係なくあと半年で潰れるよ!(笑)
補助金関連はどうだった?
レストラン:今年よりも来年が怖いよ。このままいったら補助金も減るだろうし。中規模サイズの店が一番キツいと思う。
チェーン:飲食業界でいろんな情報交換をしてたんだけど、補助金、給付金、助成金の違いが分からない人が本当に多い。ひどい人は中身も読まないし。
カフェ:ウチのオーナーも面倒くさがってスタッフに読ませてましたね。
バー:「感染対策で空気清浄機とパーテーションとマスクを申請したけど、マスクが通らなかった!」って言ってる人もいて。マスクは消耗品だからダメなんだって!
レストラン:そうそう。ちゃんと中身も読んでないくせに「僕たちに死ねって言ってるんですか!」って言ってたりしてさ。
バー:逆に、普段SNSで行政批判なことばっか書いとる奴らが、補助金もらって一切国の悪口書かなくなったりね(笑)。
カフェ:一回は収まったかもしれないけど、あとから手続きが煩雑だなんだのとか言って結局文句言ってません?文句言う人って、なにやっても文句言いますよね。
レストラン:当然の権利だと思ってるからね。でも行政も、よくあの状況であのスピード感でしてくれたと思うけどね。感謝しかないよ。
チェーン:危機対応融資のお金で私用の車買ってる人がいたりね。分かってないのかバレないと思ってるのか分からないけど。
バー:持続可能給付金は、来年たぶん逮捕者が連発すると思うな。税務署はそのへんちゃんと把握してるからね。
レストラン:確定申告後は多いだろうね〜。
コロナ対策はどうだった?
チェーン:こないだ他の店にお客さんとして行ったときの話なんだけど、目の前に並んでたおじいちゃんが検温機に引っかかってて、ブブーブブーって鳴ってたのに、そのまま入店してましたね。体温37.4度くらいあったのに。
カフェ:え〜。それは怖い。結局のところ、検温機を設置しても、店側が全部見てられるわけじゃないですし。
バー:某飲食店の人が言ってたんだけど、入口にアルコール除菌置いとくと、ひどいときは毎日容器ごと盗まれるとかあったみたいよ。丸ごとなくなってるから追加で置くと、また数時間後に見に行くとまたない、みたいな。
チェーン:ボトルごと盗む話も聞くし、ボトルを開けて、持参したペットボトルに詰め替えて…っていうのも聞いたことある。
レストラン:パーテーションも、客目線で見るとどうなんだろうね。
バー:パーテーションやってる店って、だいたい拭いてないよね。本当はパーテーションやるなら全部アルコール除菌しないと意味ないよね、むしろ触れる可能性のある場所が増えるから危ない。
チェーン:コロナはただの風邪論の人が一定数いて、マスクで接客すると怒られたり。パーテーションをしても怒られ、逆にパーテーションをなくしても怒られ…。
バー:ガマンが効かなくなった人と、我慢に慣れてきた人が二極化したかもね。
ここだけのぶっちゃけ話、教えて!
バー:あ〜、ニュースにはならないけど、トラブルなんていっぱい聞いたよ。1回目の休業要請のときなんて繁華街がゴーストタウン化してたから、変な奴もいっぱい来てた。俺自身も街で怪しい黒づくめの奴何度か見たけど、あとから考えるとあの挙動不審は、絶対泥棒だったと思う。
レストラン:あの時期いろいろ聞いたよね、空き巣に入られたって話。
バー:そうそう。知り合いの店も閉店作業中にレジ金盗まれたとか。今どき監視カメラあるからバレるのに。
チェーン:事件っていえば、お皿が盗まれた事件もあったよね。
バー:なにそれ?知らない。
レストラン:野町のお店でしょ?某料理店で働いてた料理人が辞めて自分の店出したらしいんだけど、その人がもともといたお店から高価な器をたくさん盗んでたみたいでさ。
チェーン:そうそう。新聞にも載ってたよね。盗んだ器を自分ところで堂々と使ってお客さんに出してたみたいなんだけど、お客さんが写真撮ってSNSにアップしてて発覚したっていう(笑)。
カフェ:え?盗んだ皿でお客さんに出してたってこと?このSNSのご時世によくそんなことできますね。絶対バレるのに。
レストラン:そうなんだよ。警察も入って事件になって、執行猶予付きの判決も出たらしいんだけど、信じられないことに今も元気に営業してるみたい。
バー:やばいね、その人。
カフェ:それは引く!私その店行ったことありますけど、すごく低姿勢だったのに。美味しいお店だったんだけどな…。なんか残念です。
今年良かったことありました?
チェーン:店内飲食の売り上げはもちろん下がったけど、物販が調子良かったので意外と大丈夫でしたね。
カフェ:ウチも物販とテイクアウトが好調だったので、蓋を開けて見たら昨年とそんなに変わらなかったです。むしろ物販部門が強くなったから、コロナ後は伸びるんじゃないかな。
レストラン:会社によっては働きやすくなったとかあるんじゃない?労働時間が見直されたり。
カフェ:それは確かにありますね。無駄な残業はなくなったし、休みも取りやすくなった。
レストラン:ウチも事務仕事的なことは家でもOKっていう感じにしたよ。
カフェ:いろいろ働きやすくはなったんで、もうコロナ前の勤務体系には戻れないですね。
レストラン:あと、最近廃業する店が多いから、良い物件が空いたりすることも多いよね。
バー:うんうん。コロナ前に「あそこの場所に入りたいな〜つぶれりゃいいのにな〜」と思ってた良い条件の店が空いてきてる。
チェーン:空き物件はこの時期でも、良い場所ならサーっと埋まりますよね。
2021年に向けて思うこと。
レストラン:コロナ真っ只中のときはクラウドファンディングとかSNSでさんざんお客さんに助けてもらってたのに、秋にお店を再開してからもう大丈夫と思ったのか、とたんにサービスが雑になってきてたり、SNSの発信がなくなったりするお店がめちゃくちゃ多かった。感謝を完全に忘れてるよね。
カフェ:今第3波が来てるから、またSNSやりだすんじゃないですか?困った時だけ発信するってなんだかな〜。食事券買って応援のクラウドファンディングも、売り上げの前借りだから後々大丈夫?って思っちゃって。そこまでしなきゃだと行くまでに潰れてそうとか。
バー:コロナにだんだん慣れてきちゃってるのと一緒で、だんだんありがたさも薄くなってきてるんだろうね。
レストラン:逆に、コロナ関係なくずっと低姿勢で感謝感謝でやってるお店もあるわけ。そういうのって、見てるとすごい伝わってくるし、どうせ行くならそういうお店に行きたいって思うよね。うちもわざわざ来てくれるからには、食べて美味しいだけじゃ足りないって改めて気持ち引き締めた。
カフェ:本当そうですよね。今年はいろんなところからの応援と繋がりに助けられた一年でした。
チェーン:今年は改めて、義理と人情と地元の評判ってやっぱり大事なんだなと思った!
レストラン:お客さんは絶対そういうの伝わるからね。商売は本当に感謝を忘れたらダメ。いろんなことがあったけど、店も頑張ってるし、お客さんも助けてくれたし、行政もよくやってくれてると思うし。このありがたさを忘れたらイカンなと思うよね。
――顔出しなし、完全匿名だからこそ聞けた、飲食業界の本音トーク。
今だからこそ言いたいこと、今から頑張っていきたいことなど、忖度なしでギリギリトークをしてもらいました。
強い向かい風を受ける飲食業界。
苦しい状況が続くなか、2021年を生き抜くヒントを今日も探し続けています。
頑張れ!飲食店!
(対談:2020年12月某日)