博物と古物の奇妙な雑貨店「シュレディンガーの猫」の世界観が独特すぎる
個性豊かな飲食店がひしめき合う「駅前別院通り商店街」。その一角にある雑居ビルの中に、なんとも奇妙で不思議な雑貨店があります。
以前、いちがみトモロヲさんのオフィスを訪れた時から気になっていたお店。一体どんな物が売られているのでしょうか。
シュレディンガーの猫
ハリポタの世界へようこそ
ガラス越しにもただならぬ雰囲気を感じるその店の名は『シュレディンガーの猫』。
シュレディンガーの猫というのは、オーストリアの物理学者、E=シュレーディンガーが考案した量子力学に関する思考実験。この実験が証明する「相反する出来事は同時に存在する」という説と同じく「現実と空想が同居するような物をセレクトしたい」という思いを込めて、そう名付けられたそうです。
勇気を出して扉を開けると、それまでの下町情緒あふれる商店街の雰囲気とは一転、ハリーポッターを彷彿とさせるファンタジーな世界。
ざっと見ても品揃えはゆうに1,000点を超えていそうです。
動物の骨格標本や剥製、魔術道具、ビスクドールなど、普段なかなか目にすることのないクセスゴな雑貨たち。ほかにも西洋アンティークやアクセサリーなどを取り揃えています。
海外ではインテリアとしても飾られる昆虫の標本。たしかにこうして見るとすごくキレイですね。
いくつか飾ってあった額縁入りの十字架が気になって、店主さんに尋ねてみると「これ、何でできていると思います?」と逆質問。
う〜ん、木の枝か植物に見えるけど、なんだろう?
なんと答えは、人間の髪の毛。
亡くなった人の形見として、フランスで作られたものだそうです。
数年前からアンティーク好きを中心に人気を集めているシーリングスタンプも充実。
シーリングスタンプとは、中世ヨーロッパの貴族が実際に使っていた、手紙に蝋封をするための道具のこと。ハリーポッターシリーズでホグワーツからハリーに手紙を送るときに使われていたアレです。
こちらは銀星堂のビスクドール。よく見るとお腹あたりが砂時計になっています。
なんともいえない表情に引き込まれそう…。
アクセサリーは動物をモチーフにしたものが中心。値段も手頃です。
ちなみに一番高かった商品はこちら。
アメリカのワイオミング州等に棲息すると言われる未確認動物「ジャッカロープ」の剥製です。値段は100,000円。
店内を物色していて気になったのがこの扉。
店主さんに尋ねてみると「どうぞ、良かったらのぞいてみてください」とのことなので、いざ、開けてみると…。
服やないかい!
なんて意地悪な店主さんだと、視線をやると「入れますよ」と、意味深なひとこと。
騙されついでに服をかき分けると、なんと新たな部屋が出現!
お見せできないのは残念ですが、こちらは「パブロフの犬」という会員制カフェで、満月の夜にはバーにもなるそうです。
これはなにで作られているのか、なんのために使うものなのか。そんな物欲という名の煩悩をくすぐる『シュレディンガーの猫』。
そういえばさっきから、ボンボン時計が微妙な間隔で鳴っているのは、どうしてだろう?
「時間の感覚を忘れて楽しんで欲しいので、あえてバラバラな時間にセットしているんです」
なるほど、まるで魔法をかけられたように没頭してしまったのは、そういうことだったんですね。
シュレディンガーの猫
石川県金沢市本町1-8-18
営業時間/10:00~19:00
定休日/第2・4水曜、第1・3土曜、日曜日
駐車場/近隣にコインパーキングあり
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)