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【喫茶店の特等席】ノスタルジックな癒しの空間。愛しの『カフェ・ド・ティーエリー』

兼六園には7つの入場口があって、そのひとつ桜ヶ岡口(さくらがおかぐち)すぐそばに50年にわたって営業している喫茶店『カフェ・ド・ティーエリー』がある。

 

その佇まいは、愛らしくて昭和レトロ。

店の看板が控えめなのもあって、喫茶店と気づかない人も多い。

それでも、アーチ型の窓の奥に灯るランプが、通りがかった人の目を引いている。

 

モダンな外観。開業した1967年のつくりをそのまま残している。

 

通りから奥に入ると入り口が。店看板の書体もレトロ。

 

年代物のランプにソファー、カーテンと全てが昔のまま。

昭和喫茶ブームの趣を残す。

 

窓から兼六園を望める贅沢なロケーション。レトロなインテリアが配された店内は、居心地のよさを感じさせる。

 

現在は2代目店主、綿谷昭子さんが店に立つ。

「お店を始めたのは私の母で、当時は金沢大学のキャンパスもあったから、学生さんたちで賑わってたのよ。今でも学生や大学の先生もよくきてくださっています」

 

店主の綿谷昭子さん。73歳になるいまも、接客から調理までひとりで切り盛り。

 

『カフェ・ド・ティーエリー』といえば、季節のフルーツとアイスクリームとが高く積み重なったパフェが人気。

学生からの「もっと大きなパフェが食べたい」という声が、パフェ好きな綿谷さんの心に火をつけて、どんどんとサイズアップ。

最近では、パフェを目当てに訪れる観光客も増えている。

 

ネーミングがまた詩的。メニュー表は、地元作家の蔦健三さんによるもので、一つの作品のよう。

 

店の特等席に座ってひと息つくなら、外から心地よく風が吹き抜けていく窓際の一席。

街の喧騒から離れた、穏やかな時間が流れている。

 

バルコニーの向こうに揺れる木々を眺めながら、ただぼんやりとすごす。

 

いただいたのは、綿谷さんお特製の「焼きりんご」。

シナモンとお砂糖、ひとかけのバターと一緒に、りんごをオーブンでじっくり40分焼きあげた贅沢なデザート。

 

シナモンが香る焼きりんご。フォークの先で切れるほど、くったりと柔らかい。700円

 

「パフェも焼きりんごも調理して出すまでに時間がかかるから、いらした方にはお急ぎじゃないですか?と確認するの。時間がかかってもいいという方に、待っていただいています」と綿谷さん。

怖い顔をして店に入って来たお客さんが、帰る頃には穏やかな顔になっていると嬉しいという。

 

『カフェ・ド・ティーエリー』は、お客さんも店主ものんびり。

急ぎすぎた心を解きほぐしてくれる。

 

猫好きの綿谷さん。店内いたるところにお客さんから頂いたものという猫グッズが並ぶ。

 

蔦健三さん作の加賀獅子は、お店のシンボル的存在。

 

カフェ・ド・ティー・エリー

石川県金沢市兼六町2-44

TEL/076-263-1738

営業時間/12:00~18:00 ※全席禁煙

定休日/金曜日

駐車場/3台

※この情報は取材時のものです。

 

(取材・文/森内幸子、撮影/吉田章仁)

 

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