お肉大好きドイツ人がこよなく愛する肉料理を老舗ビアホールで堪能!
ベーコンを求めてソーセージを投げる。白ソーセージには正午の鐘を聞かせるな。ソーセージにはソーセージを。これ全部ドイツのことわざ。どんな小さな町でもドイツに行けば「メッツゲライ」と呼ばれるお肉屋さんがたくさんあって、それぞれの家庭が好みの肉屋を行きつけにするくらい、ドイツ人は本当によく肉を食べる。
金沢片町の裏通りにある『ぴるぜん』
昭和の時代から親しまれる老舗ビアホール
お肉大好きドイツ人がこよなく愛する肉料理。そんな一皿を求めてやってきたのは、1968年創業の老舗ビアホール『ぴるぜん』。重厚な味わいが特徴のドイツビールと、その美味しさを互いに引き立てる肉料理に定評がある、金沢きっての名店だ。
レンガ造りの建物に備え付けられた重厚な扉を開けると、老舗の名にふさわしいトラディショナルな空間が目の前に広がった。
ビアホールの臨場感を味わいたい人はカウンター席へ。
大人数のパーティーなら2階のテーブル席が最適。西洋甲冑が入口でお出迎え。
「創業から親子3代にわたって通ってくれるお客さんもいるお店。そうした歴史や伝統を受け継ぐためにも、オーソドックスで親しみやすい料理を提供し続けていきたい」。そう話すのは料理長の熊本朱峰さん。叔父さんが支配人だったこともあり、熊本さん自身も幼少期から家族と一緒に食事に訪れていたお店。そういった意味でも『ぴるぜん』には、人一倍の思い入れがあるそうだ。
料理長の熊本朱峰さん。
それでは熊本さんがおすすめする渾身の肉メニューを紹介しよう。
ドイツ料理はソーセージだけじゃない!
まずはドイツ人に最も好まれる肉料理「シュバイネハクセ」のご登場。
「塩漬けした骨付き豚すね肉を3〜4時間かけてボイルして、さらにオーブンで30分ほどローストしたのがシュバイネハクセ。同じく塩漬けした骨付き豚すね肉をボイルして作るアイスバインと双璧をなすドイツの定番料理です。低温でじっくりと焼き上げるので北京ダックのように皮がパリッとして、美味しいんですよ」と熊本さん。
シュバイネハクセ2,480円。
ドイツではこれを一人1個食べるのがスタンダードらしいけど、日本人の小さな胃袋だと2〜3人でのシェアが丁度のボリューム。塩加減が絶妙なのでそのまま食べるのが一番だけど、味にアクセントを加えたいときはマスタードをつけても。付け合わせの自家製ザワークラウトは箸休めにぴったり。ドイツでは肉料理の付け合せによく使われるキャベツの漬物で、日本人の感覚でいうと寿司とガリの関係に近いかもしれない。
コラーゲンたっぷりのジューシーなお肉ちゃん。
やっぱりドイツ料理といえばソーセージ。というわけで熊本さんがセレクトしてくれたのは、シュバインス、トスカーナ、チョリソーなどの5種類のソーセージが楽しめる盛り合わせ。本格ドイツ製法にこだわる名古屋北区のソーセージ工房「KOLN」に特注したものを取り寄せているそうだ。
ソーセージ5種盛り1,580円。
能登豚の骨付き肉を使ったスペアリブも絶品。ソースは日本人の味覚に合わせた醤油ベース。能登豚をグリルするときに出た肉汁をソースに加えることで、より一体感のある味に仕上がっている。シンプルに肉の味を堪能したい人にはミディアムレアで焼かれた赤身肉のステーキもおすすめだ。
能登豚のスペアリブ780円。
牛ハラミステーキ1,180円。
肉といえばビール、ビールといえば肉
ビアホールに来たからには、こってりとした肉料理とのペアリングにふさわしいビールにも触れないといけない。
「苦味とキレ、フルーティーさのバランスに優れたチェコビールの〈ピルスナー・ウルケル〉は、すっきりとした味わいで肉料理ともよく合います。ビールをグラスの縁まで注いでから泡を注ぎ入れるナドバクラット、先にきめ細かい泡を注いだ後にビールを注ぐハラディンカ、グラスの中に泡だけを注いだミルコの3通りの注ぎ方があります」
注ぐときに炭酸や泡の量を変えることで異なる味を生み出すのがピルスナー・ウルケルの面白いところ。「この料理にはこの注ぎ方が合うんだ」なんて、カッコつけてみたい。
ピルスナー・ウルケル(ナドバクラット)450ml 980円
そういえばドイツには「全てには終わりがある、ソーセージには終わりが2つある」なんていう、ギャグのようなことわざもあるそうで。というわけでこの記事もこれにて”終わり”。おあとがよろしいようで!
ぴるぜん
石川県金沢市片町1-9-20
TEL.076-221-0688
営業時間/17:00~24:00(L.O.23:00)
定休日/日曜日(1月31日〜1月2日は休業)
席数/カウンター22席、テーブル70席 ※全席喫煙可
駐車場/近隣にコインパーキングあり
※こちらの情報は取材時のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)