Kan Sanoの音楽的ライフ【観ずる日々】第27回:2021年まとめ
新世代のトラックメーカーとして注目を集める金沢市出身アーティストKan Sanoの音楽的ライフをちょっと覗き見。
今年ももう12月。信じられない。月日の経過が毎年どんどん早くなっている。今年は特に早かった。コロナのせいなのか、年齢のせいなのか。たぶん両方なのだろう。
「2021年まとめ」というタイトルにしてみたものの、「まとめるほど対した活動もできていないのでは…」という思いに駆られるし、今年自分は何をできたのだろう、何を残せたのだろうと不安になる。それなりにライブはできたし作品も作れた。むしろ仕事はかなり充実していた年だったと思う。それでも、まだ足りていない感じがするし、やり残している気がして不安になる。焦る。これがコロナの影響なのか、そもそもコロナ前から毎年こういう感じだったのか、ちょっとよく分からない。
いま制作中のアルバムにも同じ類いの不安や焦りがある。考えてみればGhost NotesやSusannaの時もそうだった気がする。いくら作っても、手応えが感じられず、どんどん曲数が増えてしまう。ひとつ作り終えると、その不安、焦りは次の創作に向かっていくからエンドレスループで終わりがない。だからアルバム制作には〆切が絶対に必要なのだ。〆切がないと永遠に仕上げられない。
仕事の充実度に比べるとプライベートは相変わらず寂しい。自分は基本的に仕事が一番好きな人間なのだという結論に最近至った。そもそも一番の趣味だった音楽を仕事にしているわけで、他に趣味なんて結局は必要ないのだ。
僕のほぼ唯一の趣味と言えるのがレコード集め。昨年にも増して今年はレコードをかなり買った。
以前は100円縛り、1500円縛りでLPを買うことにこだわっていたが、近頃は以前ほど金額を気にせずに、新譜も含めて純粋にいま欲しいものをどんどん買うようになってきている。今年一番聞いたレコードはKhruangbinの「Mordechai」だ。秋以降ほぼ毎朝これを聴いている。
振り返ってみると、今年は春に「Natsume」をリリースできたのがとても良かった。「Natsume」はもともとバカリズムさんが脚本を手掛けるドラマ「住住」のために書いた曲だ。オファーが無ければこの曲は産まれてなかったかもしれない。リリース以降ライブでは必ず演奏しているし、新しい表現のステージに進み、幅を広げられた手応えを感じている。
antiquaのために作った新曲「image」や、あめやえいたろうのスイートダイヤモンドのために作った「Make It Better」もまだ正式にはリリースしていないが、とても気に入っている曲たちだ。
ぷにぷに電機さんやTRI4THとのコラボも自分の新しい扉を開いてくれたし今年の自分の活動の充実度をかなり上げてくれたと思う。
プロデュースさせて頂いたSKY-HIさん、kiki vivi lilyさんのMVも貼っておきます。どちらも思い入れ深い大好きな曲。
今年は他にもコラボで作った曲があるので、リリースが待ち遠しい。情報解禁前のこのソワソワ感は何度経験しても慣れないし、早く言いたくて仕方がない。
サンスターガムのCMに楽曲提供し、さらには出演までさせて頂いたこともとても良い経験になった。
今年は例年以上にリミックスをたくさん作った。
大塚愛、K:ream、Chromeo、CYNHN、Maika Loubte、Sen Morimoto…。サブスクのプレイリストにプロデュース&リミックス作をまとめてあるのでぜひチェックしてください。
◯Kan Sanoの音楽的ライフコラム【観ずる日々】
執筆者プロフィール
Kan Sano
石川県金沢市生まれ。キーボーディスト/トラックメイカー/プロデューサー 。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。FUJI ROCK FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、ジャイルス・ピーターソン主催 World Wide Festival(フランス)など世界中の大型フェスに出演。 2019年アルバム『Ghost Notes』をリリース。テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」への出演でも注目を集めている。