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寄席てアゲようクレインに!|MOcA Diary カレーってからいですか #06

金沢・石引商店街のカレーマスター・モカさんが、カレーを仕込むかたわらでお送りするエンタメ系ゆるコラム。今回のテーマは「落語」です。

 

白山市で働く友人から「クレイン(白山市鶴来総合文化会館)で寄席(よせ)のイベントをやるのだが、普段寄席や落語に縁のない人や若い人に周知させるにはどうしたらよいか?」という相談を受けたので、まだ落語にハマって3年弱の僕ですが、この連載の場をお借りして知ってる限りの魅力をお伝えしたいと思います。寄席や落語を代表してるわけじゃなく、個人的な解釈なのでご了承ください。

★江戸から続く笑いのエンタメSHOW!

寄席(よせ)は江戸時代から民衆に親しまれている、落語を中心としたエンターテイメントライブです。落語以外にも漫才、漫談、コント、マジック、曲芸、音曲など様々なジャンルの芸を堪能して、ライブの最後は「真打」と呼ばれる一流の人気落語家がメインアクトで登場します。知れば知るほど奥は深い世界だけど、予備知識ゼロでも大いに笑って見入って楽しめて、晴れやかな気分で帰れます。この世知辛い世の中だからこそ、笑うということは大切な時間です!

★お客さんのイマジネーションが主役!

何を今更ですが、落語は落語家さんがひとりで老若男女問わず登場人物全員を演じています。その面白さは映画やドラマと違い、それをお客さんが脳内で映像化しなきゃいけないので、笑いのバトンはお客さんのイマジネーションにゆだねられます。逆にいえば、その話芸でいつの間にかお客さんを噺(はなし)の世界の中に連れていって、あたかもその場に居合わせているようにイリュージョンさせるのが落語家の腕の見せどころ。背景もセットもなく話芸のみ、使っても扇子と手拭いという制限も、逆手に取ればお客さんのイマジネーションをあやつれば落語家は動物にも幽霊にもなれるし空も飛べる。こんな自由な芸はないです。そして名曲はいつ聞いても感動するように、長い年月を経て研磨された古典落語もオチを知っていても笑えるし、同じ名曲でも歌手や演奏者や編曲によって違うように、同じ噺(はなし)でも落語家によってアレンジや印象がガラリと変わります。そしてライブと同じく生体験が最高。その楽しみが分かればもう沼!

★Love Yourself〜ダメなところも愛おしい!

落語の登場人物は、頭の中が空っぽで呑気な「与太郎」、早とちりで粗忽者(おっちょこちょい)の「八五郎」、お酒が大好きで乱暴者な「熊五郎」、訛りのキツい田舎者で真面目だけどドン臭い「権助」など、社会不適応者ばかり出てきます。噺の内容も、頭が悪くてとんでもない失敗をしたり、働かずに楽しようとする貧乏人だったり、金に目がくらんだり、酒や女やギャンブルで身を崩したり、知ったかぶりをして後戻りできなくなったりと、ほとんどがダメ人間エピソード大全集。なのに落語を聞いていると、そんな登場人物たちがそれでも腐ることなく力強く生きていることが愛おしく感じます。人間の業、ありのままの姿は江戸時代だろうと令和であろうと変わりません。バカバカしい内容でも、人を差別したりバカにしたり、汚い言葉で罵ったりせず、人への優しい目線、義理と人情があります。

★寄席は笑いの最先端!

寄席といえば落語。落語といえば、長寿番組「笑点」を思い浮かべる若い方も多いと思いますし、笑点といえば〈大喜利〉ですね。大喜利は元々は寄席の全ての演目が終わった後に、その日の出演者が何人か登場してやるアンコール的な余興の総称のことでした。「パンとかけて新聞と解きます」「その心は?」「どちらも生地(記事)が命です。」というような言葉遊びの〈なぞかけ〉、お客さんからランダムに「人の名前」「品物」「場所」の3つのお題をもらって、そこから即興で落語を創作する〈三大噺〉、「落語の『ら』」「ラクしてお金を稼ぎたい」落語の『く』」「苦労をせずに稼ぎたい」「落語の『ご』」「五千円貸してください」…というように、お題の言葉の頭文字から文章を作る〈あいうえお作文〉、相手と会話をして、お互いの言葉と関係ない返事をしなければいけないルールで、釣られて会話を成立させた方が負けという〈無理問答〉など、大喜利は楽しいだけじゃなく研ぎ澄まされた発想力とアドリブ力を競うゲームなのです。その発想力を競技化させた人気番組が「IPPONグランプリ」なので、寄席・落語は時代を超越した常に最先端の笑いであるといえましょう。

★寄席用語は日常に溶け込んでいる!

寄席用語は現代の一般生活でも広く浸透しています。今でもイベントなどで最後の出演者のことを「トリ」といいますが、当時の寄席は出演者全員分のギャラを最後の演者が一旦受け「取り」してみんなに分配していたことが由来。「色物」という言葉も現在では「イロモノ扱い」など悪い意味で使われていますが、寄席の看板やポスターに、落語家の名前は黒字、落語以外の演者の名前は朱色で書いていたことで落語家以外を「色物」と読んでいたことが由来です。他にもピンチの時に使う「後がない」というのも「次の出演者がまだ楽屋にいない、準備できていない」のが語源で、演目の終わりに「お後がよろしいようで」というのは「次の演者の準備が整いましたので、私は失礼します」という意味なんです。さらには急激に成長することを「化ける」、いちばん下っ端の演者を「前座」、芸のお題目を「ネタ」、ネタの最後のセリフを「オチ」という寄席用語も一般的に使われていますね。

★来年で100周年!

来年2024年2月25日で落語協会は創立100周年を迎えます。1923年の関東大震災で東京は壊滅。東京の落語界も壊滅してしまいました。数多くあった寄席小屋もほとんど震災で焼失。そんな大震災の中で、生き残った落語家有志が落語界の復興を目指し、設立されたのが落語協会です。震災前は方向性の違いなどで分裂を繰り返していた落語家たちが一致団結。絶望的な状況にある東京の人たちを落語の笑いで救おうと芸を磨きました。第二次世界大戦中には「戦意高揚を妨げる」ことを理由に五十三話の「禁演落語」の台本が本法寺の「はなし塚」に埋められたり、寄席の売り上げを軍に献納して、軍部・政府の命令で「国策落語」が作らされたりしました。最近でも新型コロナウィルス感染防止のために寄席が休席になって現場が無くなったりと波乱万丈の100年間。笑いは平和じゃなきゃできないし、苦しいときほど笑いを欲します。笑いのバトンが受け継がれてきた100年!

 

 

というわけで、寄席や落語に興味を持ったらまずYouTubeなどで検索したらキリがないほど傑作選が出てきますが、やっぱりオフラインで、ライブで、生で、同じ屋根の下で、お客さんと一緒にみてほしいです!あと、落語家の独演会はよくあるけど、東京でやっているような寄席をパッケージしたイベントは石川県ではあまりないので貴重な体験になります。それも前売りだったら2,000円!とくに25歳以下は1,000円というあり得ない値段なので是非!チラシは石引パブリックのリソグラフ印刷で作ってもらいました。

 

 

Z世代に見せたい!寄席のススメ!
落語協会寄席普及公演 クレイン寄席
令和5年6月18日(日)午後2時開演(午後1時15分開場)
会場:白山市鶴来総合文化会館クレイン(石川県白山市七原町77番地
チケット:全席自由 前売一般 2,000円 25歳以下 1,000円(当日券はそれぞれプラス500円)
クレイン寄席サイト

 

【出演】

★寄席ばやしの生演奏!
松尾あさ
寄席ばやしとは、寄席で演奏される、三味線や鉦(しょう)、太鼓等が加わった賑やかな音楽のことです。 寄席ばやしの演奏者「おはやしさん」は、出演者がステージである「高座」に上がるときに演奏する入場テーマともいえる「出囃子」や、曲芸や奇術、紙切りなどを演じるときの伴奏である「地囃子」などを演奏します。

 

★NHK大河にも出演!
柳家小もん(やなぎや こもん)
1990年生まれ。2013年5月、師匠・柳家小里んの芸に惚れて入門。前座名・柳家小多け。2018年3月、二ツ目昇進 「柳家小もん」と改名。同年、雲田はるこの同名人気漫画をNHKがドラマ化した「昭和元禄落語心中」出演2019年、大河ドラマ「いだてん」第11・13話に出演。

 

 

★歴史ある太神楽曲芸の伝承者!
鏡味仙志郎・仙成(かがみ せんしろう・せんなり)
1000年以上前から神社を祭る式楽、舞楽をルーツとする太神楽(だいかぐら)は、江戸時代末期から寄席芸能として大衆に人気を博しました。和傘の上で鞠(まり)や升(ます)や茶碗を回したりと超絶テクをお客さんを笑わせながらやるという至難の芸を堪能してください。

 

 

★昭和歌謡マニアの実力派落語!
林家たけ平(はやしや たけへい)
1977年生まれ。2001年12月に林家こぶ平(正蔵)に入門。2005年5月に二ツ目昇進。2016年3月に真打昇進。古典落語を中心に滑稽噺や人情噺、怪談話まで幅広く演じ数々の演芸賞を受賞。昭和歌謡の知識を生かした著書に「よみがえる歌声 昭和歌謡黄金時代」がある。

 

 

★日本の伝統芸能「紙切り」の第一人者!
林家正楽(はやしや しょうらく)
芸歴55年、紙をハサミで切り観客のリクエストに応じて話芸を交えながら、1枚の紙から様々な絵柄を切り出す日本の伝統芸能「紙切り」の第一人者。ひょうひょうとした語りと共に鮮やかに紙を切り抜くその技はまさに名人芸。2000年9月、代々受け継がれてきた名跡・三代目林家正楽を襲名。襲名披露興行では紙切りで寄席史上初のトリをつとめた。2020年3月、紙切り芸としては史上初の芸術選奨文部科学大臣賞の大衆芸能部門を受賞。

 

 

★トリは落語界トップクラスの古典派の名人!
柳家三三(やなぎや さんざ)
師匠である人間国宝、故・柳家小三治の了見(イズム)を受け継ぐ落語界実力トップクラスの古典派の逸材。演芸評論家の巨匠・吉川潮氏も『近年の三三は、どんな噺でも80点から満点をつけられる。』『「推しの落語家は?」と聞かれると、こう答える。「三と一」。その心は、柳家三三と春風亭一之輔である。』と太鼓判を押している。若手落語家を対象にした賞はほぼ総獲り。2007年には映画「しゃべれどもしゃべれども」で落語家役で主演したTOKIO国分太一に落語を指導監修。2010年「情熱大陸」が密着。1日の休みもなく47日間で全国47都道府県をまわる落語ツアーを完遂。独演会はどこも盛況の人気落語家。

 

 

〈チケット取扱〉
白山市総合文化会館クレイン 076-273-8700
白山市松任学習センタープララ 076-274-5411
アピタ松任Tioプレイガイド 076-274-6711
石川県立音楽堂チケットボックス 076-232-8632
ローソンチケット (Lコード : 53480)
チケットぴあ (Pコード : 517-489)
イープラス

 

〈主催〉
一般財団法人白山市地域振興公社
白山市文化協会

 

〈共催〉
一般社団法人落語協会

 

〈後援〉
白山市、白山市教育委員会、北國新聞社

 

〈お問い合わせ〉
白山市鶴来総合文化会館クレイン
TEL 076-273-8700

※未就学児及び小学生のみでの入場はできません。

※25歳以下チケットは当日25歳以下の方が対象です。

※25歳以下チケットをお持ちのお客様は、ご入場の
際に年齢を確認できる確認書類をご提示いただく
場合がございますので必ずご持参ください。

※ご来場の際にはマスク着用、手指消毒、検温など
基本的感染対策にご協力ください。

 

★寄席ってどんなとこ?
https://www.youtube.com/shorts/_YdsK1NFN5I

 

★落語家さんってすごい!
https://www.youtube.com/shorts/59JRWmA8uuo

 

 

この連載のバックナンバー

 

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