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本カレーGOLD|MOcA Diary カレーってからいですか #07

金沢・石引商店街のカレーマスター・モカさんが、カレーを仕込むかたわらでお送りするエンタメ系ゆるコラム。今回のテーマは「カレー本」です。

 

先日カレーイベントに出店して実感したのは、もはや「カレー=創作スパイスカレー」という認識が地方都市にも浸透しているな、ということです。

 

速水健朗先生が2011に上梓した「ラーメンと愛国」という書籍でも、ラーメンが中国をイメージした中華そばから日本独自の料理になり、頭にタオルを巻き黒いTシャツ・筆文字というスタイルになっていく歴史を分析していましたが、カレーもどんどん進化変化してきて、僕が作っているような鶏ガラと野菜と香辛料を長時間煮込んで裏ごしするデミグラスソースのようなレシピのカレーって、かなりオールドファションになってきたように思います。色鮮やかな創作スパイスカレーと違って、うちのカレーは茶色と白の二色でインスタ映えもしませんし……カレーってなんなのか。というわけでカレーについて書かれたおすすめ本を3冊紹介します!

カレーとはねこまんまである!

「汁かけめし快食学」遠藤哲夫(ちくま文庫/2004年)

 

 

「大衆食堂の詩人」と呼ばれるエンテツこと遠藤哲夫先生による汁かけめしLOVEを詰め込んだ名著。いわく「日本人はねこまんま(味噌汁かけごはん)が大好きである。」「日本は室町時代から汁かけめしを食べ続けていて、牛丼やカツ丼、親子丼、玉子丼、深川めしなどは汁かけめしが進化した譜系である」「日本でカレーライスが浸透したのは、カレーを汁かけめしの一種として自然に受け入れられたからで、カレーは皿もの汁かけめしである」。

 

そして「カレーライス伝来説」に異議を唱え「本場」「本格」「インドから」「イギリスから」「海軍が」とかごちゃごちゃ語るのは不毛、日本のカレーのルーツは家庭の台所とのことです。遠藤先生の文章は写真もなく文字だけなのにヨダレが出てお腹が鳴ってしまうプロフェッショナルな文章なので、フードライターやグルメインスタグラマーの方々にも読んでほしいです。

 

カレーとは思想である!

「アンソロジー カレーライス! ! 大盛り」杉田淳子 編(ちくま文庫/2018年)

 

池波正太郎、向田邦子、林真理子、安西水丸、寺山修司、五木寛之、よしもとばなな、町田康、伊集院静、井上靖、久住昌之、阿川佐和子…などなど、著名な作家大先生がカレーについて綴ったエッセイを44篇収録。カレーがまだカレーライスだった頃の思い出。

 

特に面白かったのはグルメとしても有名な伊丹十三先生のエッセイ『料理人は片付けながら仕事をする』というタイトルで、「今までに食べた最良のチキンカレーとピカピカに磨き上がった台所が同時にできあがった」という…。僕、忙しいと厨房ガチャガチャになるのでプロ失格!

 

カレーとは世界である!

「世界のカレー図鑑」(学研/2022年)

 

1979年の創刊以来、世界各地を紹介する旅行ガイドブックとして旅行者に愛されている「地球の歩き方」シリーズ編集部が、各国を知り尽くしたスペシャリストたちから世界のカレー情報を集めた究極のカレー本。インドやアジアはもちろんのこと、アフリカにもカリブ海にもアメリカにもメキシコにもブラジルにもヨーロッパにもオセアニアにも、ご当地カレーがあることを教えてくれます。

 

とはいっても、元々カレー発祥の地で本場であるインドでは「カレー」という料理が存在しないように、他の国も同様にカレーとは呼ばれてない料理をカレー認定してるんですが…まあそんなことは置いといて、この本が定義するカレーとはアメリカのフードライター、コリーン・テイラーセンの著作に書かれている「①多種の香辛料を使用した、米やパン、イモなどの主食と食べるおかずであること。②カレーパウダーを使った料理であること」という条件。さらに「①インド文化圏の国や地域(スリランカなど)、②インド系移民が移住し食文化として根付いている国や地域(シンガポールなど)、③インドの影響を受けて香辛料を使用する食文化が根付いた国や地域(タイなど)、④イギリス発祥のカレーパウダーを使用したカレー文化が浸透した国や地域(日本など)、⑤インドからの影響はなく独自のスパイス料理がある国や地域(メキシコなど)」というカテゴライズをされてあります。

 

レシピは掲載されてないけど、「料理名 レシピ」で検索したら必ずヒットするので現地に行かなくても近い味が再現できます!

 

 

Instagram:@mocurry
twitter:@MoCurry

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