【まとめ】異国情緒あふれる和洋折衷の建物がカッコイイ店3選
目次
幕末から明治にかけて日本各所で建築された擬洋風建築。
大工や左官職人が、慣れ親しんだ日本建築の構造技術を土台に使いながら、外観に洋風のデザインを取り入れることが多かったという。
当初は奇妙な建物として見られることも多かったそうだが、戦後を境に明治建築の再評価が進められていくにつれ、和風と洋風の融合を前提に設計された和洋折衷建築とともに高く評価されるようになった。
今回は、戦火を免れ、北陸でいまも実際に使われている洋風建築をご紹介。
茶屋街にも溶け込むモダンな『ORIENTAL BREWING 東山店』[金沢市]
かつては遊郭として栄え、今もなお伝統的な建築が立ち並ぶ金沢市東山。この地に居を構える『オリエンタルグルーイング 東山店』は、大正12年創業の老舗氷屋〈クラモト氷業〉の旧店舗を改装した、クラフトビールとナポリピザが自慢の店。外国人が集まる異国情緒あふれる店としても有名で、大きな窓からはその様子がうかがえる。内装はヴィンテージ感のある空間にファクトリーを併設したブルックリンスタイル。ラフに通える名店だ。
一見すると洋館に見えるが、これは改装中に外観を剥がしたときに現れたモダンなファサードを生かし、古い町家を現代的な看板建築風にアレンジしたものだそう。
厳密に鮮度管理されたフレッシュなクラフトビールが常時8種類。店の奥には醸造場も併設。
◯建物データ
築年数…築95年
用途…氷屋→ビアバー
内装…KIPS
ORIENTAL BREWING 東山店
オリエンタルブルーイング
住所:石川県金沢市東山3-2-22
TEL:076-255-6378
営業時間:11:00〜22:00
定休日:無休
席数:カウンター9席、テーブル12席 ※全席禁煙
駐車場:近隣にコインパーキングあり
※この情報は取材時のものです。
文化や美術、アートに触れる文化スペース『LETTER』[富山県・富山市]
大正時代に建てられた旧小杉郵便局を改修し、2016年にオープン。1階には古書やリトルプレスを販売する「ひらすま書房」と食のインスタレーションを展開する「風景と食設計室ホー」のオフィスがあり、2階にはデッサン教室やワークショップを開催する「アトリエセーベー」が入居。店主3人による文化スペース。近代建築の歴史を感じる建物内には、レトロな電話ボックスやライトなど、当時の面影が残されており、今も昔に負けない魅力を放っている。
「ひらすま書房」店内。一枚板の郵便局カウンターには、児童絵本が並ぶ。
◯建物データ
完成年…大正13年
用途…郵便局→文化施設
工法…モルタル造り
LETTER
レター
住所:富山県射水市戸破6360
TEL:0766-75-7131(LETTER)、080-4251-0424(ひらすま書房)
営業時間:12:00〜19:00
定休日:月曜、火曜日
駐車場:2台
和と洋の意匠を融合した擬洋風建築『恵美写真館』[福井県・鯖江市]
明治27年から続く老舗の写真館。旧店舗となる建物は木造寄棟造瓦葺の2階建。アーチ場の屋根に銅板を葺いた薬医門や軒周りの装飾など、和に洋の要素を取り入れた擬洋風建築となっており、外観に施された擬似大理石手法や鳳凰の漆喰模様には優れた左官技術がうかがえる。
1998年には国の登録有形文化財にも指定された。館内は見学自由。2階の旧スタジオには、これまで家業を支えてきた年代物のカメラが数多く収められている。
マニア垂涎のお宝がズラリと並べたれた旧スタジオ。資料館としての価値も高い。
◯建物データ
築年数…築114年
用途…写真館、資料室
工法…木造
恵美写真館
エミシャシンカン
住所:福井県鯖江市本町3-1-28
TEL:0778-51-0160
営業時間:9:00〜18:00(木曜日は14:00〜18:00、日曜日は9:00〜15:00)
定休日:無休
駐車場:1台
※この情報は取材時のものです。
※こちらの記事は、2018年11月末発行の『BonNo』vol.86に掲載されたものです。