夏こそ食べたい!甘辛たれがクセになる『山下鮮魚 山力』の色付け
「色付け」とは、竹串に刺して焼いた白身魚やイカなどに、醤油と砂糖で煮詰めた甘辛のタレを絡めた石川県の伝統食。まだ冷蔵庫がなかった頃、生物が傷みやすい夏の時期に魚を美味しく食べさせようと発明されたもので、金沢や白山市内のスーパーではお馴染みの品です。
冷めても美味しい、焼きたてはもっと美味しい
もくもくと立ち上る煙と香ばしい匂いに誘われて、やってきたのは白山市鶴来町にある『山下鮮魚 山力』。ここは夏の味覚である色付けを一年中食べることができる貴重なお店。しかも夏場は隣の小屋、冬場は魚屋の軒先でライブ感満載の実演販売というおまけつき。地元の常連さんから出張客や観光客まで訪れる人が後を絶たず、なかにはごはんと漬物を持参してくる猛者もいるんだとか。
ホッケ、サバ、ホタテなど季節ごとの魚介が食べられる。
今、まさに魚を焼こうとする瞬間を眺めていると「あんたらどこから来たんや」と威勢の良い声。店の中から現れたのは、店主の山下力男さん。御歳70歳ながら毎朝5時に起きて中央市場で仕入れをする現役バリバリの大ベテランです。地元の魚屋で修行した後、1974年に独立開業。その当時から色付けを販売し、鶴来の人々の食卓を支えてきました。
店主の山下力男さん。
山下さんのこだわりは秘伝のタレにあり。当然のごとくレシピは教えてくれませんでしたが、お客さんと自分自身が納得するまで追求した味を40年間ブレることなく守り続けてきたのが自慢とのこと。取材班が食べたのはホッケ(400円)。これが冷めても美味しく、しっかりとした味付けでごはんにも酒にも合いそうな感じ。国産の炭で素焼きをした魚にタレをくぐらせ、さらに焼くことで香ばしさも増しています。
この日は山下さんのお兄さんが焼き場を担当。
甘辛のタレが病みつきになる。1本400円〜。
対面式で魚を売る、昔ながらの魚屋
昔ながらの対面スタイルで魚を売る山下さん。新鮮さを保つためガラスケースで保存された鮮魚は、お客さんの要望で切り身にも三枚おろしにもしてくれます。旬の魚をどう調理すれば美味しいか、そんなアドバイスが聞けるのも対面式の魚屋ならでは。ちなみに閉店時間は魚屋としては遅めの夜8時。しかも正月以外は年中無休。きっとお客さんのことを思ってなんだろうけど、その理由を聞いても「寝とったらもったいねえ」と答えるのが山下さんらしいですね。
鮮魚以外にも刺身や惣菜を販売する。
取材当日はカニの解禁日。
これだけ看板があれば見逃す心配はなさそう。
山下鮮魚 山力
住所:石川県白山市道法寺町ヘ16-3 [地図]
TEL:076-272-2341
営業時間:8:00~20:00
定休日:無休
駐車場:15台
※こちらは2019年に公開された記事を再編集したものになります。
撮影:林 賢一郎