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手作りの惣菜で「魚」の魅力を伝える。おさかなゆきちゃんに突撃取材!

石川県が誇る、地の食材といえば「魚」

 

煮てよし、焼いてよし、生でよし。どんな調理方法でも美味しく食べられるだけでなく、ヘルシーで栄養価も高いという最強の食材です。

 

ところが農林水産省が公表した2021年度版の水産白書によると、一人当たりの魚介類の年間消費量は、20年前と比べて3割近く減少しているとのこと。たしかに筆者の食生活を省みても、スーパーでパックの刺身を買うことはあっても、自宅で魚を煮たり焼いたりすることは皆無。だってだって、キッチンが汚れるし、下ごしらえも面倒じゃないですか。価格も年々高騰しているし…。

 

魚をもっと手軽に!もっと身近に!

そんな日本人の「魚離れ」に待ったをかけるべく、魚の布教活動に力を注いでいるのがこちらの公文ゆきさん。ワークショップや料理教室の開催など、漁業者と消費者の橋渡しをするエバンジェリスト(伝道師)として魚の美味しさを伝えながら、昨年11月には自身がプロデュースする『おさかなゆきちゃん』を西金沢にオープン。スーパーの水産部門で働いた経験や人脈を生かし、各地で仕入れた旬の魚介を使った惣菜や弁当などを販売しています。

おじゃましま〜す

公文さん

どうぞ、どうぞ

わっ、いい匂い。なにを作ってるんですか?

公文さん

真子の煮つけです。ちょうど今が(12月取材)真鱈の産卵期で、市場にもたくさん出回ってるんですよ

真子煮ですか、もちもちっとして美味しいんですよね〜

公文さん

石川の味ということで、お客さんからも好評なんです

仕入れはどこでしてるんですか?

中央市場です。以前は能登の方にも行ってたんですけど、仕込みとか店番とか、お店が終わった後は買い出しもあるので、なかなか時間がとれなくって

中央市場が始まるのって朝の4時とかですよね。一体、いつ寝てるんですか?

う〜ん、最近はちょっと寝不足気味かも。でも、市場でお魚を選んでいるときが一番楽しいんです

そうなんですね

このお魚はどうすれば美味しく食べられるか、これは常連さんが好きそうなお魚だなとか、そんなことを考えながら市場を歩いているだけで幸せな気分になるんです

唐揚げですね、美味しそう!

公文さん

これはムシガレイといって、石川県ではスガレイって呼ばれているお魚です

僕は普段あまり家で魚を料理しないので、こういう惣菜を買える店が近くにあると助かります

公文さん

お魚を食べたくても、どう調理したらいいか分からないという方は結構多くて。こうして季節ごとのお魚の魅力や美味しい食べ方を伝えながら、漁師さんとお客さんをつなげていけたらと思っています

提供する惣菜は、刺身、炊き込みごはん、揚げ物、煮物、サラダなど。数百円から。より魚本来の美味しさが伝わるよう、シンプルな調理と味付けにこだわっている。

 

そのまま食卓に並べられるようにと、持ち込んだお皿に刺身を盛り付けてくれる。

 

 

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スーパーの売り場でリアルに感じた日本人の魚離れ

中学生の頃はイルカの調教師を目指していたという公文さん。短大時代にスキューバダイビングの資金調達のため地元スーパーにアルバイトとして入社。水産部門に配属されたのをきっかけに「魚」の魅力を知ることになります。

公文さん

それまで魚をさばいたことすらなかったのに、初めてさばいたアジが定価で売れたんです。それが本当にうれしくて。もっと上手になりたいと思って、それからお魚のことを勉強するようになりました

公文さんはスーパーに勤務するかたわらで、ワークショップや料理教室も開催してましたよね。なにか理由があったんですか?

公文さん

自分が「これいいなぁ」と思ったお魚でも、お客さんが手に取ってくれないことが多くて。どうしてかなと考えてみると、購入するときの判断基準があまりにも少ないと感じたんです

たしかに僕たち消費者はどうしても価格とかコスパで選んでしまいがちです

公文さん

ですよね。でも、それはお客さんが悪いのではなくて、提供する側が魅力を伝えきれていないだけであって。私たちが季節ごとの旬の魚や美味しい食べ方をしっかり伝えれば、きっと皆さんの食生活はもっと豊かになるはずなんですよ

なるほど〜。だからワークショップでも、スーパーに置いてある魚を、家にある調味料と器具で作れる、身近な料理にこだわっていたんですね

公文さん

そうなんです。美味しい食べ方を知っても、家で料理できないんじゃ意味ないですからね!

 

魚の普及活動の一環として、自慢の魚料理をフルコースにしてふるまう「おさかな会」を開催していた公文さん。一昨年秋には漁業の魅力向上を後押しする水産庁所轄の「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」のメンバーにも県内で初選出されました。

公文さん

これからはMSCなどの国際規格を受けたお魚を中心に、環境に配慮した漁を行なっている漁師さんからも、積極的にお魚を取り寄せたいと思っています

MSCってなんですか?

公文さん

世界の水産資源を守るために発足された持続可能な漁業に対する認証制度のことです

ふむふむ

公文さん

それとは別に、日本にはマリン・エコラベル・ジャパン(MEL)という、水産資源の持続的利用、環境や生態系の保全に配慮した管理を積極的に行っている漁業・養殖の生産者と、そのような生産者からの水産物を加工・流通している事業者を認証する水産エコラベルもあって、2019年には国際基準に認定されました。石川県の巻き網船「輪島丸」が水揚げした天然ブリにもこのマークがついているんですよ

そうなんですか

公文さん

スーパーでは生産者の顔が見える野菜は置いてあっても、お魚ってほとんどないじゃないですか。私のお店ではそうしたお魚の背景もしっかり伝えていきたいと思ってます!

自宅で簡単に取り入れられる調理の仕方として公文さんが教えてくれたのは、サクの状態で買ってきた魚をキッチンペーパーにくるんでドリップを吸い取ること。これをするだけでも臭みが取れて、より美味しく食べられるのだそう。

 

公文さんの大切な仕事道具。前職時代に出場した技術コンクールで贈呈された包丁を今でも大切に使っている。

 

数百円の惣菜の中にも、これだけの想いが込められているんだ。そう感心する一方で、自分の食生活を見直すべきと自省した今回の取材。たまには家で魚でも焼いてみようかと、鯖の切り身が入った袋をぶら下げ、帰路につく筆者なのでした。

 

おさかなエバンジェリストとして、活動の場を広げていくことを目標にかかげる公文さん。彼女のあふれる魚愛が、日本人の魚離れを解決する糸口になるのかもしれません。

 

 

おさかなゆきちゃん
住所/石川県金沢市西金沢4-193
営業時間/11:00〜20:00(日曜は〜19:00)
定休日/火曜、水曜、木曜日
駐車場/3台
※こちらの情報は取材時点のものです。

 

 

(取材・文/BONNO編集部、撮影/林 賢一郎)

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