七草がゆの季節だけど、フレンチの『七草』もいいよね
本日1月7日は人日の節句。その年の無病息災を願って、春の七草を入れたお粥を食べるのが日本古来の風習となっている。さて、金沢で”七草”といえばあのお店。和洋折衷スタイルの料理とホスピタリティあふれる接客に定評のある、フレンチレストラン『七草』を思い浮かべる人も多いはず。
金沢野町のアパホテル内にあるレストラン『七草』
質、量ともに文句なしのハーフコース
フレンチとはいっても敷居の高さを感じさせず、ランチタイムには定食メニューまで取り揃えてしまうのが『七草』のスタイル。「金沢の下町という土地柄、ご年配のお客様も多いんです」と、味付けはシンプルに。身近で親しみやすい料理を心がけているんだとか。
厨房を取り仕切るのはオーナーシェフの田中豊次さん。「質、量ともに満足できる料理をリーズナブルに」を信条としながら、モーニングタイムのビュッフェから、ランチ、ディナーまで、すべての料理をその手ひとつで生み出している。
貸切パーティにも対応できる広々とした空間。
オーナーシェフの田中豊次さん。
そんな『七草』で一二を争う人気メニューとなっているのが数量限定のハーフコース。アミューズ、サラダオードブル、スープ、パン、メインディッシュ、デザート、ドリンクがセットになって2,000円(税抜)。採算が取れているのか心配になるレベルの価格設定で、地元のグルメニスタを虜にしている。
アミューズは里芋のフラン。いわゆる洋風の茶碗蒸し。
サラダオードブル。ブリやカニなど日本人にも馴染みのある食材をフレンチに落とし込んでいる。
かぼちゃのスープ。軽い食感を生み出すため、牛乳を泡だてたヌーベを添えるのが定番。
もちろん味もお墨付き。フレンチでありながら味の複雑よりも、素材の持ち味を大切にした料理の数々は、どこか和食の美学も感じさせる。
ちなみに2,000円というリーズナブルな値段で提供できるのは、少数精鋭のチームを組むことで経費を抑えているのと、マダムの父が育てた自家栽培野菜を使っているのが大きな理由なのだそう。コース内容は季節によって変わるので、ご参考まで。
自家製のパン。小麦の香りを引き出すため、あまり練りすぎないのが七草流。
肉か魚が選べるメインディッシュ。写真は秋鮭のポーピエット。
デザートも手作り。アーモンドやココナッツが層になったパウンドケーキが美味。
マダムお手製のハーブティーに癒される
看板マダムとして、田中シェフを影で支えるのは奥様の美奈さん。『七草』を語る上では欠かすことができない存在だ。
「もともと趣味でハーブを育てていました。シェフがこの店をオープンするとなったときに、なにかの役に立たないかと思ってハーブコーディネーターの資格を取ったんです」
店名の由来もそこから。今ではホテルの庭先で何種類ものハーブを育て、料理に使うだけでなく、自らブレンドしたハーブティーをお客さんにふるまっている。
ハーブティーでゲストをもてなす奥様の美奈さん。
取材班のためにマダムが淹れてくれたのは、エルダーフラワー、ネトル、エキナセアをブレンドしたハーブティー。テーマは「インフルエンザを吹き飛ばせ!」。免疫力を高め、身体中の粘膜を浄化して呼吸器の軌道を清浄してくれることから、乾燥する季節にぴったりなんだとか。
「ハーブはお客様と私の間にあるコミュニケーションツールのようなもの。摘んだハーブをお客様のテーブルに置いておくことで、香りを楽しんでもらったり、話のネタにしてもらっています」。ハーブティーを作るときもお客さんの要望を聞いて、イチからブレンドしているそうだ。
ハーブティー450円。体調に合わせて淹れてくれる。
『七草』の営業は明日8日から。今の時期は新年会で立て込んでいるので、とくに週末は電話で確認するのがベストとのこと。ランチコースは予約必須なのでご注意あれ。
七草
ナナクサ
石川県金沢市野町2-4-22 アパホテル1F
TEL.076-280-7793
営業時間/6:30~10:00、11:30〜14:30(L.O.)※ディナータイムは完全予約制
定休日/月、火曜(モーニングは営業)
席数/カウンター5席、テーブル42席
駐車場/近隣にコインパーキングあり(ランチタイムはホテル駐車場を利用可)
※こちらの情報は取材時のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)