これぞ日本の伝統。福井の港町で、盆栽アートの魅力に触れる
盆栽といえば、草木を鉢に植えて枝ぶりや葉姿、幹の肌などを楽しむ大人の趣味。漫画「サザエさん」に登場する波平さんなど、一般的には「盆栽=年配者の嗜み」というイメージが強いのではないか。
ところが最近、盆栽にハマる若い男女が増えているそうで…。
「自然界に存在する大木や風景を凝縮して表現するのが、伝統的な盆栽の育て方。その一方で、世話がしやすくインテリアやアート感覚で楽しめるミニ盆栽も注目されています」
そう話すのは、福井県三国町で盆栽専門店『みくに園 三国湊店』を経営する下村禎勝さん。
風情漂うかぐら建ての町家を改装した空間には、現代のライフスタイルにもフィットする個性的かつ樹形の美しい盆栽がずらり。「多くの人に盆栽の世界に触れてもらいたい」という下村さんの長年の思いが実り、今では地元住民や観光客が日々訪れる人気スポットとなっている。
店主の下村さん。盆栽ブランド「ちょこぼん」や「RE:BON」をプロデュースするほか、ゲストハウス「詰所三國」の運営もしている。
中庭に面した和室はギャリースペースとして解放。
現代のライフスタイルに合わせた盆栽をプロデュース。
従来の盆栽のイメージを変える見せ方にこだわる一方で、生粋の盆栽ファンの心をくすぐる粋な演出も忘れない。正面のガラス戸を開けると目の前に広がるディスプレイは、季節感あふれる旬の盆栽を定期的に入れ替え。いつ訪れても新しい発見ができるような工夫が凝らされている。
数十万円クラスの本格的な盆栽はもちろん、初心者でも気軽に盆栽も豊富に取り揃えるのも特徴。なかでも下村さんがデザイナー、建築家、漆プランナーと共同で立ち上げた「ちょこぼん」は、室内環境で育てることを前提としているため盆栽としての難易度は低く、女性からも人気を集めている。
また、地元の伝統工芸である越前焼の作家とコラボした「Re:BON」もプロデュース。盆栽のための器や受け皿、さらには土までも開発している。
盆栽入門にぴったりの「ちょこぼん」。インテリアとしても現代の暮らしにマッチする。
自由に盆栽が作れるワークショップも開催中。
「盆栽を売って終わりではなく、そこから始まる付き合いも大切」と下村さん。育て方をしっかり説明し、手入れのアドバイスをできる限りするのもそのため。アフターフォローの手厚さも盆栽ファンから信頼される理由のひとつである。
子供から大人まで、好きな木と器を使って自由に盆栽を作ることができる盆栽ワークショップ(2,000円〜)も随時開催。
盆栽の伝統と文化を受け継ぐ下村さんは、町家を舞台にこれからも新しい盆栽のカタチを発信し続けていく。
秋になると紅葉するハゼ。初心者にもおすすめ。
一本の木に多彩な実が成るロウヤガキ。表情豊かでじつに楽しい。
懸崖造りと呼ばれる樹形に仕立てられた根上五葉松。
長い年月をかけて緻密に作り込まれたニオイカエデ。鉢合わせも見事な美しい仕上がり。
みくに園 三國湊店
ミクニエン ミクニミナトテン
福井県坂井市三国町南本町3-2-10
TEL.0776-50-2548
営業時間/9:00~18:00
定休日/水曜日
駐車場/2台
※この情報は取材時のものです。
※こちらの記事は、2018年7月末発行の『BonNo』vol.84を再編集したものです。