リアルタイムで電車の音を視覚化する「エキマトペ」|DJ TOSHIKIのオトノイロ #09
私たちが普段の生活するなかで、「音」から得ている情報はかなり多くの割合を占めています。
家のインターフォンや車のクラクション、エレベーター、駅など施設のアナウンスなど、何気なく生活していると気付かない「音」の情報はたくさんあります。
東京都のJR上野駅。
多くの人が利用する山手線・京浜東北線のホームに、6月15日から「エキマトぺ」という名前のディスプレイが設置されました。
この「エキマトぺ」は、聞こえない・聞こえにくい方が視覚的に情報を得られるよう、電車の発着音などの情報を文字や手話で伝えます。
ディスプレイには、場内アナウンスが視覚化されるだけでなく、人工知能(AI)が周囲の音を感知して電車の発着音「プルルルル~」や、電車がホームに入ってくるときの音「ガタンゴトン」など、いわゆる”オノマトペ” がリアルタイムでディスプレイに表示されるとのこと。
現在、実証実験中ときき、実際に上野駅へ見に行ってきました。
駅のホームに着くと、自販機の上に設置された可愛らしいデザインのディスプレイが目に入ってきます。その前には写真や動画を撮っている人、物珍しさに足を止める人がいて、みなさん気になる様子でエキマトぺに注目しています。
「間もなく~行きの電車が到着します」というアナウンスがホームに流れると、すぐにディスプレイに文字が表示され、同時に手話動画も流れます。
そして、電車がホームに入ると「ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン」。電車が到着してドアが開くと「プシューーー」といった”オノマトペ”が、音の雰囲気を感じさせるデザイン文字で表示されました。
最近では、車内にもモニターが設置されているので、次の停車駅や遅延情報を視覚でも知れるようになりましたが、それでも必要最低限な情報です。
エキマトぺのような遊び心があると、聞こえる方の注目も集め、聞こえない方にとって「何故これが必要なのか?」「どういう情報を必要としているのか?」また「どういう形で情報を得るのか?」ということを知ってもらう、ひとつのきっかけにもなると思います。
社会に必要で、なおかつオモシロイ
そういうものがこれからの社会に必要で、今後どんどん増えていくだろうと思います。
ちなみにこのエキマトぺは、川崎市のろう学校で「未来の通学」をテーマに開催されたワークショップ(2021年)をきっかけに、学生たちのアイデアから生まれたプロジェクトだそうです。
子供たちの「こんなものがあったらいいなぁ」という想いを一つ一つかたちにしていくことで、未来のインクルーシブな社会の実現に近づけると信じています。
「エキマトペ」ウェブサイトはこちら