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デフリンピックと日本の未来|DJ TOSHIKIのオトノイロ #20

「聴こえる」と「聴こえない」の垣根をエンターテインメントで結びたい!スポーツDJとして活躍するDJ TOSHIKIが、聴覚障害者への理解を深め、インクルーシブな社会実現を目指します。

 

1924年の初開催から約100年の歴史を持つ、耳が聞こえないアスリートのためのオリンピック「デフリンピック」が、2025年に日本で初めて開催されることが決まりました。

 

パラリンピックに聴覚障害者の競技がないことを知らない(気づいていない)方、パラリンピックは知っているけどデフリンピックは知らないという方もきっと多いのではないでしょうか?実際にまだまだ日本で認知されていないこともあり、来年の日本開催に向けて様々なイベントや取り組みが行われ初めています。

 

 

先日、デフリンピックのPRとして期間限定で原宿にオープンしたコンセプトカフェ「みるカフェ」に行ってきました。 平日だったにも関わらず、多くの人で賑わっている店内。手話で会話しているお客さんも多く、やはり結構話題になっているようです。

 

名前からも想像がつくように「みるカフェ」では、音声などの言語を文字に変え「見える化」する技術を活用したコンテンツや、音を振動で感じることができるコンテンツなどが体験できるようになっています。

 

 

重低音を体感できるネックレス型振動デバイス「Hapbeat」を、今回初めて体験してみました。

  

タブレットに映し出されている映像に合わせて、首からかけたデバイスが振動するという仕組み。卓球のピンポンの音や観客の歓声の音に合わせて振動しています。振動は結構強め。細かい振動も感じるので、スポーツ観戦との相性が良いと感じました。

 

デフリンピックでも会場の歓声に合わせて振動するとよりその場の臨場感が感じられるかもしれません。

 

 

次は、以前から一度体験したかった「UCDisplay」を紹介します。

 

「UCDisplay」とは、マイクに音声を吹き込むと透明のディスプレイ上に、LINE(ライン)の吹き出しのように双方の言葉が表示されるシステム。キーボード入力も出来るので、耳が聞こえない方と聞こえる方が視覚的にコミュニケーションを取ることができます。外国語にも対応しているので、違う言語同士でも会話することが可能です。

 

ある程度はっきりと話さないと誤変換もありますが、会話の内容は伝わると思います。実際に使ってみた感想としては、透明なディスプレイに会話の内容が表示されるので、ディスプレイ越しではありますがお互いの顔を見ながら会話できるのがすごく良いと思いました。音声認識アプリはたくさんありますが、画面に表示される文字を見てしまいがちなので、コミュニケーションとしてはやや軽薄。一方で「UCDisplay」ならお互いの表情を見ながらディスプレイの文字も見れるので、より相手の気持ちも感じ取ることができそうです。

 

 

最後に紹介するのが、手話と音声をリアルタイムでテキストに変換するシステム「SureTalk」。

 

画面を通して、手話を使う方と手話が出来ない方が会話できるサービスです。AIと動作認識の技術を活用し、手話の動きを認識して文字に変換することができます。 現段階では、手話はゆっくり確実に表現しないと認識は難しく、日常的に使う手話の速さでは変換が出来ないかもしれませんが、認識技術がより進んでいけば、いつか病院の診察や教育現場でも使用される日が来るかもしれません。

 

 

その他にも、自分の活動でも使用している振動デバイス「Ontenna」や、振動を送り合う遠隔触覚コミュニーケーションシステム「FEEL TECH」など、テクノロジーをつかった様々なコンテンツが体験できるようになっていました。

 

今回「みるカフェ」に行ってみて、テクノロジーの進化でこれまで不可能だったことが出来る可能性を感じました。「聞こえない・聞こえにくい」ということがどういうことなのか、いろんな方が知る機会が少しずつ増えている気がします。またそれと同時に、テクノロジーはあくまで聞こえない方と聞こえる方をつなぐ”きっかけ”であるべきだとも感じました。

 

2025年のデフリンピックを共生社会の理解促進を目的のひとつとした大会にするためには、日本中の人たちが「聞こえない」ということに関心を持ち、理解し、交流することが必要で、聞こえない方が本当に楽しめる大会にしていくことが重要だと思っています。そのためにも、デフリンピックに出場する選手たちがもっと取り上げられたり、活躍できるバックアップを国全体でしていく必要があると思います。

 

選手にとってはオリンピックやパラリンピックと同じように、待ちに待った念願の日本大会だと思います。日本の選手たちが活躍することで、デフリンピックを機に社会が変わっていくことを期待しています。

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