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音のない世界の体験|DJ TOSHIKIのオトノイロ #24

「聴こえる」と「聴こえない」の垣根をエンターテインメントで結びたい!スポーツDJとして活躍するDJ TOSHIKIが、聴覚障害者への理解を深め、インクルーシブな社会実現を目指します。

 

“世の中を分断しているたくさんのものを、出会いと対話によってつなぎ、ダイバーシティを体験するミュージアム”

 

東京都内にある「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』」にて現在開催されている、「ダイアログ・イン・サイレンス」へ行ってきました。

 

 

ダイアログ・イン・サイレンスとは、音や声を使わずに、言葉の壁を超えた対話を楽しむエンターテイメントで、体験がスタートしてからは声を出すこと、音を出すことは一切禁止されます。私が参加したグループでは8人の参加者がおり、スタッフのアテンドでコンテンツ体験が進んでいきます。

 

ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書きませんが、部屋がいくつかに分かれていて、各部屋ごとに課題が用意されています。その課題をスタッフの説明を受けながら行っていくのですが、音声は一切禁止なのでスタッフの説明もジェスチャーのみ。しかも、参加者はほとんどの方が初対面です。最初はどうしても恥ずかしかったり、遠慮したりするのですが、音声無しなので遠慮していると何にもコミュニケーションが取れず、次の部屋にもなかなか進めません。中には参加者と協力して行う課題もあるので、ジェスチャーや表情を使って意思疎通を図ります。

コンテンツ体験は1時間くらいだったと思いますが、全ての体験が終わる頃には、開始時には感じなかった参加者の皆さんとスタッフの方との団結力を感じていました。初めて会う方と協力して行うイベントはよくありますが、それとはまた少し違う団結力。音声を使えずお互いの表情や動きを見る必要があるので、それぞれの顔や目を見ている時間がとても長く、なおかつ自然と表情が豊かになるので、すぐに親近感が湧いたように思えました。

 

 

体験の最後に参加者のあいだで感想を話す時間があるのですが、印象的だったのは「誰が聞こえる人なのか、聞こえない人なのか分からなかった」という感想。実はスタッフの方の他にも参加者の一人に聞こえない方がいたのです。

 

音のない状況では聞こえる・聞こえない関係なく同じ条件で過ごしているので、聴覚に障がいがある人と聞こえる人の間に”言葉の壁”がなくなり、ジェスチャーや表情で自然にコミュニケーションが取れます。聞こえる人にとっては”音”がある事でさまざまな情報が入り、顔を合わせていなくてもコミュニケーションが取れますが、聞こえない人は自ら情報を拾いにいったり、お互いの顔を合わせないと会話が難しい場合が多いです。

 

今回の体験は”音”のない世界ではどのような事で困るのか?また、コミュニケーションをとるにはどうすればよいか?ということを実体験をもとに知ることができました。そして、コミュニケーションの本質として、お互いの顔を合わせて会話をすること、相手の伝えたいことを知ろうとする姿勢が大切だということを教わりました。

「ダイアログ・イン・サイレンス」は、3月16日までの期間限定となっていますが、今後もし機会があれば皆さんもぜひ体験してみて欲しいです。

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