
TALKING HANDS 手話アートとは?|DJ TOSHIKIのオトノイロ #26
皆さんは手話に対してどんなイメージを持っていますか?
手話とは、手指の動き、体全体、表情などを用いて視覚的に意思や感情を表現する言語で、主に聴覚に障がいをもつ人(ろう者)のコミュニケーション手段として使われます。
イラストレーターの門秀彦(かどひでひこ)さんは、ろう者の両親をもつコーダであり、音声言語では伝えきれない思いを表現するために、幼少期から絵を描くようになったそうです。現在では、『TALKING HANDS』というコンセプトで、手話をモチーフとした作品を描いています。
門さんの作品は「手話アート」と呼ばれ、キットカットのパッケージやNHK Eテレのアニメーションやキャラクターデザインも手掛けています。
僕が初めて門さんの作品に触れたのは、日本初のサイニングストア「スターバックスコーヒー nonowa国立店」に行った時でした。
店内に入ってすぐにインパクトのある絵に目を惹かれますが、よく見ると手話をモチーフとした絵になっていて、とても印象的でした。スターバックスコーヒー nonowa店は、聴覚に障がいがあるスタッフも働いており、店内ではいろんなところで手話が見られます。門さんの手話アートもより店の雰囲気とマッチしているように感じました。
門さんが、とあるインタビューで、「父が若い頃は、街中で手話をしているとジロジロ見られたり嫌な思いをしたけど、今は若い子たちが手話アートのシャツ(門さんがデザインした)を着て街を歩いていることに感動していた」というお話をされていて、人によってはネガティブに捉えられることも、アートとして表現したことでポジティブなものに変わったという体験談がとても素敵だと思いました。
面白いものやかっこいいものをきっかけに、手話や聴覚障がいに興味を持ってもらうこと。そして、聞こえない人に伝えるために生まれたアイデアから、これまでなかった新しいものを生み出すこと。門さんの手話アートは、私たちNEIROの活動目的である、「スポーツやエンターテイメントを通した聴覚障がいの理解促進」にも参考になることがたくさんあります。
門さんが幼い頃に「両親に対して、言葉や手話ではうまく伝えられないから絵を描いていた」という話も共感しました。僕の娘も小さい頃に、よくハートや簡単な絵を描いてプレゼントしてくれていて、言葉ではない表現でもちゃんと気持ちが伝わってきたことを思い出しました。
声で話すことが出来なかったり、言葉が分からなくても、コミュニケーションや気持ちを伝える方法はたくさんあります。手話や表情、そして絵や文字、何かをプレゼントすることでも相手に気持ちを伝えることは出来ると思います。
「外国語は分からないから」とか、「耳が聞こえない人とどう接していいか分からないから」と接すること躊躇するのではなく、まずは “伝えようとする気持ち”が大切だと思います。
11月15日から日本で初めて耳が聞こえないアスリートの国際スポーツ大会『東京2025デフリンピック』が開催されます。
門さんは、東京2025デフリンピック応援アートにも携わっておられ、門さんのアートも大会をより盛り上げてくれています。デフリンピック東京大会や門さんのアートを通して、手話や聴覚障がいへの理解がさらに深まることを期待しています。
-門秀彦(kado hidehiko)-
profile:KADO4LIFE
Instagram :@kado_hidehiko