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まだまだ間に合う!奥能登国際芸術祭でフォトジェニックな作品を巡る旅

現在、開催中の「奥能登国際芸術祭2023」。開催地となる珠洲市内の10のエリアでは、11月12日まで全61点のアートを見ることができます。インスタレーションからパフォーミングアーツまで、どの作品も素晴らしい個性がありますが、今回はその中でも眼を見張るような美しさを誇るフォトジェニックな作品に注目してみました。

奥能登国際芸術祭2023の見どころ

第1回目の開催から常設されている奥能登国際芸術祭を代表する作品。No.23『Something Else is Possible/なにか他にできる』トビアス・レーベルガー〈ドイツ〉。

 

奥能登国際芸術祭は、石川県の珠洲市全域を舞台に3年周期で開催される国際芸術祭。2017年にスタートし、今回が第3回目となります。今回は14の国と地域から59のアーティストが参加。それぞれがさいはての地・珠洲の自然や歴史、伝統文化と向き合い、地域に根差した最先端の現代アートを市内全域に展示します。

 

芸術祭で展示される作品はデジタルマップでも確認できる(珠洲デジタル観光マップ

 

市政施行前の3町6村(西海、三崎、蛸島、正院、直、飯田、上戸、宝立、若山)を基本に、外浦一帯に広がっていた旧西海村を大谷と日置に分けた10のエリアで構成される珠洲市。奥能登国際芸術祭2023の会期中には市内各地で秋祭りも催されており、昼はアート、夜は祭りといった形で楽しむことができます。

 

奥能登国際芸術祭の作品を鑑賞するには、作品鑑賞パスポートもしくは個別鑑賞券(主に屋内作品を鑑賞する場合)が必要。すべてのコースに現地ガイドが登場し、芸術祭の情報や作品の制作秘話などが聞けるオフィシャルツアー(すずアートバス)もおすすめです。

 

 

奥能登国際芸術祭 2023 開催概要

会期:2023年9月23日(土)〜11月12日(日)※ 木曜休館
会場:石川県珠洲市全域
参加アーティスト:14の国と地域から59組
主催:奥能登国際芸術祭実行委員会
実行委員長:泉谷満寿裕(珠洲市長)
総合ディレクター:北川フラム

インスタ映え確実!フォトジェニックな作品7選

No.6『自身への扉』ファイグ・アフメッド〈アゼルバイジャン〉

 

ゴジラ岩でも知られる大谷町の寄揚の浜に佇む、煌びやかな鳥居。無数に取り付けられたスパンコールが風に揺られるたびに、極彩色の光を放ちます。「“門”に神聖さを感じ、日本の神道や禅の修行において“門”を通して比喩的に表現されていることにインスピレーションを得た」と語るのは、この作品を手がけたファイグ・アフメッドさん。干潮時は作品まで近づけますが、長靴を持参することをおすすめします。

 

No.44『祈りのかたち』嘉春佳〈日本〉

 

若山町の山間にある旧上黒丸小学校に展示されている、嘉春佳さんの「祈りのかたち」。地域の人々が使っていた衣服を畳んで重ね、教室の天井からはカップ型に加工した布が半球状に吊り下げられています。「古着は来ていた人の記憶や生活の痕跡を伝える媒介であり、古着からなる器は、この地に生きた人々の姿の象徴でもある」と嘉さん。幾何学的配置でありながら、人肌の温もりを感じる空間となっています。

 

No.8『太古の響き』アナ・ラウラ・アラエズ〈スペイン [バスク地方] 〉

 

大谷エリアに位置する景観豊かな笹波海岸。この地では過去に開催した奥能登国際芸術祭2020+で、珠洲の海岸に漂着する海洋プラスチックごみを題材とした作品が展示されました。今回は、スペインの作家アナ・ラウラ・アラエズさんが手がける「太古の響き」が設置されています。人類の知恵の木を表現したというこの作品から、人々はなにを感じとるのか。水平線に沈む夕陽とセットで鑑賞するのもおすすめです。

 

No.47『ボトルシップ』小山真徳〈日本〉

 

これまでも「漂着」をテーマにした作品を奥能登国際芸術祭で表現してきた小山真徳さん。今回の作品も海岸から流れ着いたマムシ入りの酒瓶や、野ざらしになった動物の骨などの漂着物が発想の元になっているそうです。全長7mにわたる丸木舟に無垢の木から彫り出した木像が3体。海岸ではなく山深い北山の棚田に作品を配置したのは、太古の昔はこの地も海の底だったのではないかと想像したからだと言います。丸木舟には水が張られ、水草や珠洲焼の中でメダカが遊んでいます。

 

No.28『La tienda Maeno』ソル・カレロ〈ベネズエラ/ドイツ〉

 

かつては祭りの着物(ドテラ)を取り扱っていた衣料店が、ベネズエラ出身でドイツを拠点とする作家のソル・カレロさんの手によって、「La tienda Maeno」というアート作品に変貌しています。衣料店の歴史からインスピレーションを得たというこの作品は、カラフルに彩られた店内外にて現実とフィクションを融合させ、今は営みを止めた空間の物語を再構成しています。

 

No.7『風と波』奥村浩之〈日本/メキシコ〉

 

金沢市出身でメキシコを拠点に活動する石彫作家の奥村浩之さんの作品も、外浦の海に突き出す鰐崎海岸で見ることができます。作家の石彫を特徴づける「割戻し」という技法でつくられた、うねる波のような造形は圧巻。「完全に造ったものではなく、石の形も残しながら僕の手も入って、 人と自然の中間にある造形物として観ていただけたら嬉しい」と奥村さん。青空と紺碧の海に映えるこの作品ですが、夕陽で橙色に染まる姿も格別です。

 

No.1『時を運ぶ船』塩田千春〈日本/ドイツ〉

 

最後に紹介するのは、塩田千春さんが手がける「時を運ぶ船」。塩田用の砂を運ぶために使われた砂取船を中心に据え、空間全体に絡み合う赤い毛糸を張り巡らせた作品です。第1回目から展示されている作品なのでご存じの方も多いかと思いますが、実際に目の前にして改めて独特の世界観と空間美に圧倒されてしまいます。

 

 

奥能登国際芸術祭2023では、珠洲市内で撮影した写真をInstagramに投稿すると、抽選で「珠洲のおみやげ」が当たるプラスすずも実施中。フォトジェニックな作品を写真に収めて、ぜひ投稿してみてはいかがでしょうか。

合間に立ち寄りたい注目スポット

No.3『潮騒レストラン』坂茂〈日本〉

 

日本海を見下ろす高台にある、かつての珠洲市立西部小学校が舞台となった「スズ・シアター・ミュージアム」。珠洲市の文化や歴史をアート的な視点で紹介する施設の敷地内には、新たに芸術祭の開催に合わせ「潮騒レストラン」がオープン。珠洲の里山里海で獲れる新鮮な食材を活かした料理を提供するほか、芸術祭公式グッズや鑑賞チケットなども販売されています。建築家の坂茂さんが設計した意匠にも注目!

 

道の駅すずなり

 

珠洲市のお土産を買って帰りたい方は「道の駅すずなり」がおすすめ。宿泊施設をはじめとする珠洲市の周辺情報も充実しているので、いざというときに役立つこと間違いなしです。車の移動中に地元グルメをつまみ食いしたい!なんて人にもおすすめ。作品鑑賞パスポートも販売しています。

 

回数を重ねるごとにパワーアップしている「奥能登国際芸術祭2023」。残り1ヶ月を切りましたが、皆さんもぜひ珠洲市まで足を運んで、芸術の秋を満喫してみてはいかがでしょうか。

 


 

奥能登国際芸術祭2023

住所:石川県珠洲市全域
TEL:0768-82-7720(奥能登国際芸術祭実行委員会事務局)
HP:https://oku-noto.jp/

 

写真提供:石川テレビ放送

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