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昔ながらのストレート製法にこだわる『パンブラザーズアベ』の食パンはやっぱり旨かった

金沢の裏原、せせらぎ通り。地元民ならパンをこねる機械じかけの人形に見覚えはあるはず。そう、夜はちょっと怖かったりするアレのこと。

 

創業は1953年。日本で初めてテレビが放送された年に『パンブラザーズアベ』は誕生した。現在、お店を切り盛りするのは阿部広幸さんと英男さんの兄弟。「なぜ、ブラザーズ?」という疑問もここで解決。信頼するスタッフと共に、創業者である父の教えを大切に守りながら、昔ながらの製法でパンを作り続けている。

 

せせらぎ通りの入り口。

 

たまに動いたりする。

いや、シンプルに生地が旨い。身が詰まっとんじゃ!

100種類以上あるパンの中でも、イチオシなのがストレート製法で作られる食パン。「ミキシングから窯入れまで2時間30分。シンプルな製法だけに天候の影響を受けやすく、温度や湿度の管理がとても難しい。毎日の焼き上がりに差が出ないよう、父親には厳しく仕込まれましたね」と広幸さん。

 

口に入れた瞬間にダイレクトに伝わる小麦の風味。水分をたっぷり含んだ生地はふわりとほどける食感で、飲み物がなくても食べられるほど。最近の高級食パンブームを尻目に、60年以上も変わらない製法でこのクオリティの食パンを提供し続けるなんて、ちょっとカッコいいかも。

 

特食パン1本1,050円。

遊び心あふれるネーミングも阿部さんの真骨頂。

ライ麦、粗挽大豆、オートミール、ひまわりの種、小麦、亜麻仁。6種類の素材が入ったグーテンモルゲンも人気。使用する窯はドイツ製の「Wellker」。遠赤外線の力でもっちりと。ボリュームのあるパンでも表面を焦がさず、中までしっかりと火を通すことができるんだとか。

 

食べる直前にちょっと温めると、ざくざくとした食感と香ばしさがアップ。ちなみにグーテンモルゲンはドイツ語で「おはよう」という意味。チキンカツをはさんだ「漢気パン」など、遊び心を忘れない阿部さんらしいネーミングだ。

 

グーテンモルゲン スライス162円。

 

サンドイッチは10種類以上。

ジブリの世界にありそうな艶やかなアップルパイ。

忘れちゃいけないのがアップルパイ。一番人気だけあって、外からでもガラス越しに見えるよう絶妙な場所に置かれている。焼き色はしっかり艶やかに。ジブリの世界を彷彿とさせるこのビジュアルに誘われて、一体どれだけの人が店の中へと呼び込まれたのか…。もちろん味も保証付。赤ワインとシナモンで煮込んだリンゴの素朴な甘さ。さっくりとしたパイの食感もたまらない。食後のチョイスは間違いなくコレだ。

 

一番人気のアップルパイ198円。

 

昔ながらの製法を守るだけなく、時代の流れにも柔軟に対応する『パンブラザーズアベ』。60年以上にわたって愛される理由は、阿部さんの「うちのパンは自分たちだけのものじゃないから」という言葉に集約されている気がする。

 

 

パンブラザーズアベ
石川県金沢市片町2-8-15
TEL.076-221-5560
営業時間/8:30~20:30(日祝は9:30〜19:30)
定休日/無休
駐車場/近隣にコインパーキングあり

※こちらの情報は取材時のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

 

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