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ふわしゅわの不思議な食感。『たまご食堂』のスフレオムライス

オムライスとひとえに言っても、ライスを卵で包んだ元祖系と半熟のオムレツを乗せるふわとろ系、ケチャップライスと炊き込みご飯、トマトケチャップとデミグラスソースなどバリエーションが豊富。「この店のオムライスは何系だろう」なんて想像しながら注文するのも、意外と楽しかったりする。

 

金沢市額新保にある洋食店『たまご食堂』

 

能登どりの卵を使った、卵料理専門店。

「色んな種類のオムライスを食べてみたい」という人は、金沢市額新保にある洋食店『たまご食堂』がおすすめ。ここでは10種類以上のオムライスのほか、ミートローフやエッグベネディクトなど、様々な種類の卵料理を食べることができる。オムライス専門店なら県内にいくつもあるけど、卵料理専門店というのは初めてかもしれない。

 

プロデュースしているのは野々市市にある洋食店〈JOHNかりおすとろ〉。そう、映画〈ルパン三世 カリオストロの城〉で、ルパンと次元が取り合ったミートボールパスタで有名なあの店である。

 

オムライスだけで10種類以上。季節のメニューも。

 

シェフを務めるのは吉本篤司さん。少年時代に長野県の白馬のホテルで食べた洋食の味と、コックスタイルで厨房に立つシェフの姿に憧れて、高校卒業後に白馬のホテルに就職。フレンチを中心に和食などのジャンルにも挑戦した後、地元石川県にUターン。白馬のホテルにいた頃の同僚だった〈JOHNかりおすとろ〉の柴田シェフに誘われる形で『たまご食堂』の立ち上げに参画した。

 

シェフの吉本篤司さん。

 

なぜ、卵料理専門店を開くことになったのか。それは柴田シェフが、奥能登の自然で育てられた〈能登どり〉の卵の美味しさに惚れ込んだから。「コクがあるけど、クセのない味。黄身はもちろん白身も濃厚だから色々な調理法で使えます。食材として魅力的なんですよ」と吉本シェフ。2018年の夏、柴田シェフが長年温めていた構想に、吉本シェフが培ってきたフレンチのエッセンスを加える形で『たまご食堂』が誕生した。

 

お店が誕生するきっかけとなった〈能登どり〉の卵。

 

牛ホホ肉のシチューオムライスも絶品。

吉本さんの代表作のひとつが、ふわとろの口どけを実現した〈スフレオムライス〉。メレンゲをふわふわになるまで泡立てることで、オーブンで焼いたあとも溶けるような食感が残されているのが特徴。その斬新な見た目と不思議な食感で、子どもから大人まで幅広く人気を集めている。

 

オーブンで軽く焼いてライスに乗せたら完成。

 

スフレオムライス1,230円。

 

仕上げのケチャップをあえてかけないのもポイント。それによってより卵の風味が生き、濃厚な味が楽しめる。スフレの下にはイタリアン系のトマトソース。野菜の旨味が凝縮したしっかりめの味付けで、卵との相性もバツグンだ。

 

ふわしゅわな口どけがクセになる。

 

もうひとつのおすすめは〈牛ホホ肉のシチューオムライス〉。プレーンオムレツと自家製のシチューが組み合わさった洋食ならではの味。熟練の技で仕上げられたオムレツの焼き具合も見事だ。ちなみに卵には、生クリームなどの余計なものは一切入れないのがこだわり。白身が濃厚なので、卵だけでも十分に柔らかく仕上がるんだとか。

 

できるだけ手を早く動かすのがコツ。

 

炊き込みケチャップライスとトマトソース。

 

オムレツを乗せるまで神業のようなスピード。

 

ケチャップライスは炊き込み派。牛ホホ肉の出汁やブイヨンなどを入れて炊くことで、米粒に味が染み込んで、味のバラツキも少なくなるそう。隠し味はバター。卵のコクに負けないようライスにも、ちょっとだけコクを加えている。

 

ソースはデミグラス。ミルポワや赤ワインなどに一日漬け込み、とろ火で3時間煮込んだ牛ホホ肉のシチューと、半熟のオムレツ、ケチャップライスが三位一体になった味わいは、まさに洋食の王様といった風格さえ漂っている。

 

自家製の牛ホホ肉のシチューをかけて出来上がり。

 

牛ホホ肉のシチューオムライス1,410円。

 

カットすると濃厚な卵がトロっと流れる。

 

『たまご食堂』では、チキンライスを薄焼き卵で包んだ昔ながらのオムライスなど、万人が楽しめるオムライスも用意。ふわとろ系から元祖系まで、すべてのオムライスを制覇してみてはいかがでしょう。

 

 

洋食 たまご食堂
石川県金沢市額新保2-251
TEL.076-205-6878
営業時間/11:30~14:30(L.O.)、18:00〜
定休日/火曜日
席数/カウンター6席、テーブル22席
駐車場/20台(共用)
※こちらの情報は取材時のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

 

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