【名物誕生秘話】全国の辛党が認めた『竹乃家』とろけるパイカの旨辛丼
地元で愛される名店の逸品が、どうやって生まれたのかを検証する【名物誕生秘話】。
今回は、全国の辛党も認める『竹乃家』の名物、とろけるパイカの旨辛丼を紹介します。
親子二代で営む、昔ながらの食堂
金沢市八日市出町にある『竹乃家』。昭和から続く昔ながらの食堂で、現在は親子二代で切り盛りしています。
メニューの数は80種以上。うどんや定食のほか、生かつ丼やローストポーク丼といった丼ものが豊富。これからの季節は、甘えび丼やいくら丼などの海鮮丼もおすすめです。
2代目の後岳範さん。今回紹介するパイカ丼の考案者でもある。
定番ものから創作系まで、豊富なメニューに定評。
辛さだけじゃない奥に秘めた旨さ!
そんな中でも、辛党から絶大な支持を集めるのが名物〈とろけるパイカの旨辛丼〉。
辛いものに目がない筆者の舌と胃袋を、これまで何度となく満たしてくれたキラーメニュー。2018年の〈北陸kara旨グランプリ〉で見事に優勝、京都で開催された〈KARA-1グランプリ〉では日本一にも輝きました。
〈墾田永年私財法〉や〈東海道中膝栗毛〉に匹敵する、語感の良さもポイントっす。
とろけるパイカの旨辛丼 980円
このメニューの主役にもなっている〈パイカ〉は、豚バラ軟骨の中でもとくに希少な部位のこと。いわゆる骨付き肉なんですが、これがじっくり煮込むと軟骨部分のコラーゲンがとろとろになって、めちゃくちゃ美味しくなります。
「骨周りの肉だけに旨味があって、唐辛子とも合うかなと思ったんです。KARA-1グランプリでは、この素材で勝負することにしました」と後さん。
秘伝のタレに一晩漬け込んだパイカをオーブンで焼き、人気の〈豚そぼろラー油飯〉にトッピング。さらに竹墨入りのポテトサラダと半熟卵を乗せて、完成となります。
パイカの漬け込み焼きはテイクアウトも可。あぁ、ビールが飲みたい!
ちなみにポテサラが入っているのは、マヨネーズの油によって口の中の辛さをリセットさせるため。合間につまむと、食べるたびに新しい辛さが押し寄せてきます。
ごはんまでしっかりと辛さが行き届いている。
一辺倒な辛さではなく、色んなタイプの辛さが楽しめるのもパイカ丼の特徴。
① ラー油で炒めたピリ辛のそぼろごはん
② パイカに使うハバネロ入りの自家製タレ
③ 竹の家特製のなんでもラー油
④ 底に敷かれた、きざみしょうが(後味すっきり)
といった感じで、4種類の辛さが複雑に絡み合っています。
とくに白山市で生産される剣崎なんばが入った〈なんでもラー油〉は絶品で、隠し味に柿の種を使ったコクのある辛さがクセになります。
竹乃家特製の食べるラー油。あまりの美味しさから熱烈な要望によって販売化された。
選べる辛さは、辛口、激辛、神辛の3段階。
さらに上の辛さを求める人には、キャロライナ・リーパーやトリニダード・スコーピオンといった、世界レベルの激辛唐辛子をお見舞いしてくれるので、自信のある人は(自己責任で)ぜひどうぞ!
あなたの街の名物を紹介してみませんか?
石川県民に愛され続けているメニューの情報提供お待ちしています。
竹乃家
タケノヤ
石川県金沢市八日市出町27-2
TEL. 076-249-5392
営業時間/11:00~15:00、17:00〜21:00
定休日/月曜、第3日曜日
席数/カウンター3席、テーブル6席、座敷18席
駐車場/7台
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)
※こちらの記事は、2020年11月に掲載した記事を特集として再掲載したものです。