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九谷焼の産地まで、自分好みのごはん茶碗を作りに行った話。

突然ですが、僕の家にはごはん茶碗がありません。

 

なぜかというと、家でを食べる習慣がなかったからです。炭水化物は外食で、という考え方でした。

 

でも、最近はコロナ禍で外食の機会が減って、家でも米を食べるようになりました。そんなときは、小さめのボウルによそったりするわけですが、どうも味気がなくて…。

 

というわけで、今回は茶碗づくりにチャレンジしてみたいと思います。

 

九谷セラミック・ラボラトリー

 

やってきたのは、小松市にある『九谷セラミック・ラボラトリー(通称:CERABO KUTANI)』。2019年にオープンした、ギャラリーや体験工房などを併設する九谷焼の複合型施設です。

 

建物の設計は、新国立競技場などをデザインした世界的建築家の隈研吾氏。木の表情や温かみが生かされた内外観には「和の大家」とも称される”らしさ”が表れています。

 

ギャラリースペースでは、九谷焼の製造工程が学べる常設展示や、新進気鋭の作家たちの作品を展示している。

サクッと気軽に陶芸体験。

茶碗づくり体験は、前もってウェブサイトで予約をしました。今回選んだのは、電動ろくろを使って好みの器が制作できる「ろくろ体験コース」。ほかにも手びねりや絵付けなどが体験できるそうです。料金は3,300円〜。そのほかに焼き上がった器の送料がかかります。

 

ちなみに空きがあれば予約なしでも体験可能だそうです。

 

3月30日まで、縁起の良い吉祥文様をテーマにした「セラボの宝づくし展」を開催中。

 

せっかくなので休みだった妻と一緒に、夫婦茶碗を作ることに。そこで前もって、いくつかテーマを決めておきました。

 

スタッキングできるように、なるべく形を揃える
・ごはん中盛りと納豆が入るくらいのサイズ
高台(底)は低めで、見た目をすっきりさせる

 

果たして、お望みどおりの茶碗を作ることができるのでしょうか。

 

体験工房の様子。

 

茶碗づくりをサポートしてくれる村松道浩さん。セラボクタニに常駐する九谷焼の作家さんです。

ヨシヲカ

先生よろしくお願いします!早速ですが、上手にろくろを挽くコツを教えてください。

村松さん

しっかり脇を締めて、手と体を固定することですね。電動ろくろは同心円で回っているので、身体が動いてしまうと形が崩れやすいんです。

ヨシヲカ

なるほど〜。ちょっと緊張しますね。

村松さん

心配しなくても大丈夫!電動ろくろの良さは、回転力を生かして滑らかな円や曲線が成形できること。コツさえ掴めば初心者でも簡単に器が作れます。

ヨシヲカ

ほかにポイントはありますか?

村松さん

焼き上げたときに15%ほど縮むので、それを見越したサイズに成形する必要があります。

両手を濡らして、いよいよ作業開始!

 

濡らした手で包み込むように練りながら土を締めていく。そうすることで土に含まれる粒子の密度が高くなり、割れにくい作品ができあがるそう。

 

体全体を使って粘土を垂直にビルドアップ。前屈みになって目の前に上げていくイメージで。使用するのは隣接する製土工場で製造した花坂陶石の磁器土。

九谷焼の美を伝えるこだわりの土。

ヨシヲカ

花坂陶石って、なんですか?

村松さん

九谷焼に欠かせない粘土の原料です。粒子が細かく、粘土にしたときのコシの強さが特徴で、ろくろ成型や型起こしに適しています。

ヨシヲカ

そうなんですか〜。

村松さん

鉄分がやや多く、焼くと青みがかかった白色になるのも花坂陶石ならでは。有田焼の天草陶石のような白さはありませんが、これはこれで九谷焼らしい独特の美しさがあります。

厚みを揃えるように意識をしながら成形。冷たい土の感触が気持ち良い。

 

失敗しそうなときは先生がばっちりフォローしてくれる。

 

十分なサイズまで縦方向に伸ばしたら、今度は横方向へ生地を広げていく。

 

満足のいく形に仕上がったら作業は終了。あとは切糸を使ってろくろ上の粘土から作品を切り離し、仕上げから窯入れまでを村松先生にゆだねます。

 

体験の時間は30〜40分ほど。

 

あっという間の出来事でしたが、陶芸の楽しさがなんとなく分かった気がします。今度は絵付けにも挑戦してみようかしら。

 

手づくりのものなので多少の誤差はご愛嬌。あとは完成を待つばかり。

 

窯入れを待つ器たち。仕上がるまでに2ヶ月ほどかかるそう。

 

そして、ついに待ちに待ったマイごはん茶碗が完成しました!

 

 

………

 

 

……

 

 

 

 

ジャーン!

 

ちょっと形は違うけど、これくらいは想定内(筆者撮影)

 

裏にはうちのニャンズたちを彫ってもらいました(筆者撮影)

 

サイズ感はバッチリ。形は微妙に違うけど、問題なくスタッキングできました。

九谷焼の産地で作った夫婦茶碗。これから大切に使っていきたいと思います。

 

 

九谷セラミック・ラボラトリー
石川県小松市若杉町ア91
TEL.0761-48-4235
営業時間/10:00~17:00
定休日/水曜日
駐車場/30台
※こちらの情報は取材時点のものです。

 

(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)

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