煩悩バンザイ!石川県がもっと
楽しくなるウェブマガジン「ボンノ」

石川音盤探訪 #07|六可レコード(岡田諭)

次世代に残したい名盤を求めて、北陸の小さなレコード店やディスクショップを巡る【石川音盤探訪】。

 

久しぶりの連載となる今回は、小松市龍助町にオープンした『六可レコード』を訪れました。

古道具と共にレコードのある暮らしを提案

 

『六可レコード』が位置するのは、伝統的なこまつ町家が立ち並ぶ「北國とおり町」。今年4月にオープンした新しいお店ですが、元々は美容室だったというレトロな建物がそのまま生かされ、まるで以前からあったかのような落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

 

ちなみにこちらは小松市細工町にある古道具屋「六可」のレコード部門としての運営となります。

 

 

こちらはオーナーの岡田諭さん。20代の頃は竪町ストリートのアパレルショップで働き、退職後は父の剛志さんが経営する「六可」を手伝うことに。古物の買取でレコードを選別する中で、アルバイトで貯めたお金のほとんどをレコードに注ぎ込んでいた学生時代の熱い記憶が蘇り、今回のオープンに至ったそうです。

 

 

 

「このあたりは雑貨屋やカフェなども多いので、買い物や食事ついでにチラッと覗いて行かれる方も多いですね。そんな感じでレコードを触ったことがない若い世代の方も、気軽に立ち寄ってもらえたらと思っています」と岡田さん。

 

実際、お店ではレコードだけでなくアンティーク雑貨や古道具などもディスプレイ。メロウなBGMとゆるやかな空気が流れる小箱で、古き良き物に囲まれながらのんびりとレコードをディグる。都会のレコードショップとはまた一味違った魅力を感じます。

 

米屋で使われていた大きな枡を加工し、レコードラックとして使用。レコードと古道具の親和性の高さを改めて感じる。

 

数こそ多くはないが、古道具として仕入れたレコードプレイヤーも販売している。

 

60〜80年代の歌謡曲をはじめ、ジャズ、ロック、ヒップホップなど、常時1,000枚前後のレコードを取り扱い。今後はレコードに馴染みのない若者に向けたワークショップの開催なども視野に入れながら、幅広い形態のレコードショップを目指していくそうです。

 

そんな岡田さんがセレクトするお気に入りのレコードとは、一体どんなものなのでしょうか?

岡田諭さんが選ぶ「古き良きジャパニーズレコード」

Phew/Phew

 

1970年代に伝説のパンクバンド「Aunt Sally」でデビュー以降、現在も第一線で活躍し続けている“Phew “。1981年に発表された初のソロアルバムでは、日本のニューウェイブやパンクシーンの女王と呼ばれるに相応しい、圧倒的な存在感を堪能することができる。

岡田さん

今まであまり触れてこなかったジャンルなのですが、買取をきっかけに聴きはじめて一気にハマりました。まさに日本産ポストパンク、クラウトロックの名盤。 ミニマルかつアヴァンギャルドな内容で、聴けば聴くほどに病みつきになります。

下田逸郎/銀の魚(シルバーフィッシュ)

 

70年代初頭に「東京キッド・ブラザーズ」の音楽を手がけていた下田逸郎が、安井かずみ、高中正義と共に作り上げたミュージカル仕立てのアルバム。村上ポンタを筆頭に、高橋幸宏、後藤次利、今井裕、ティン・パン・アレーなど、豪華な参加メンバー陣も見逃せない。

岡田さん

初めての買付時にジャケットに引かれて仕入れたレコード。じつは下田逸郎さんの事を詳しく知らなくて、ジャケの雰囲気からてっきり洋楽だと思って買い付けたんです。いざ聴いてみるとこれがまた良くて。全編通して聞くとまるでミュージカルのような仕上がり。フォーク、ロック、シティポップ、ファンクと変化しながらも、しっかりと芯が感じられる作品となっています。

佐井好子/萬華鏡

 

夢野久作や谷崎潤一郎から影響を受けたという、孤高のシンガーソングライター・佐井好子のデビュー作。ブルージーな彼女の楽曲を、巨匠・大野雄二のプログレッシヴなサウンドが包み込み、デビュー作にして高い完成度を見せている。

岡田さん

下田逸郎さんきっかけでフォークに興味が芽生え、この作品で完全にフォークにハマりました。昔っからルパン三世のサントラが好きだったので、編曲が大野雄二さんという時点で聴く前から期待しかありませんでしたね!ブルージーかつダークな楽曲が和楽器の存在によって奥行きを増し、さらにはリズム隊もソウル、ジャズファンクを感じるアプローチがあったりと、グルーブを感じずにはいられない名作です!

 

以上、岡田さんがセレクトする「古き良きジャパニーズレコード」でした!

 

 


 

六可レコード

住所:石川県小松市龍助町 47-2 [地図]
TEL:090-9446-6694
営業時間:11:00〜19:00
定休日:火曜日
駐車場:2台
Instagram:@rokka_records

 

撮影:林 賢一郎

RECOMMEND ARTICLEおすすめの記事

WHAT’S NEW新着記事