イタリアを拠点に活動するヨガインストラクター・岩上綾子さんを導く不思議な縁

イタリアで自身のヨガ教室を主催する岩上綾子さん。現在はイタリアを拠点とし、日本でも金沢市や東京でヨガ講師の育成に力を注ぐなど、イタリアと日本を軽やかに行き来しながら、ヨガの素晴らしさを伝え続けている。

好きになったものに真っ直ぐになるのが、性分なのかもしれません。

綾子さんは英文科短期大学進学のために上京し、短大時代にオーストラリアに留学経験をするも、そのときはまだ、まさか自分が将来海外、それもイタリアに住むことになるとは予想もしていなかったという。短大卒業後、東京のアパレル会社で働いていた綾子さんは、仕事の楽しさに目覚め、ひとつの店舗を任されるようになるほどバリバリと働いていた。

岩上「顧客さんでヨガのインストラクター資格を取ったばかりの方がいらっしゃったんです。誰かに教えたいとのことだったので、お店終わりに教えに来ていただくことになったんです」。

偶然に出会ったヨガだったが、接客と立ち仕事で凝り固まっていた身体がスルスルとほどけていくのを感じ、次第にどっぷりとハマっていった。もっとヨガのことが知りたいと思った綾子さんは、すぐにアパレルの仕事を辞め、自分を見つめ直すために、ヨガを学びながら世界10カ国の旅に出たという。「次は本当に自分がしたいことをやりたい」そう思った綾子さんは、すぐにハワイのヨガインストラクター養成講座に申し込んだのだとか。

出典：Iinstagram（＠ayakoiwakami）

ヨガを行う綾子さん

偶然の出会いや人の縁で、イタリアに拠点を移すことに。

ハワイのインストラクター講座に行く直前、綾子さんはパリに住むいとこと、観光のためにイビザを訪れていた。そのとき、たまたま食事にいった店で隣に座ったイタリア人の男性と出会い、友人になった。

岩上「また会いたいねとは話していましたが、本当に日本まで会いに来るとは思いませんでした」。

そう話す綾子さんは当時、彼のまっすぐな情熱にだんだんと心惹かれていったという。そして彼と出会って半年後、綾子さんはイタリア移住を決意した。

とはいうものの、言葉の壁は思ったより高かった。移住したのは、イタリアのピエモンテ州にあるアルバという場所。白トリュフとブドウ畑で有名な、東京暮らしに慣れていた綾子さんにとっては「何もない」田舎だった。

岩上「周囲にお店がないこと、英語が通じないことがとても辛かったです。ただ、時間だけはたっぷりあったので、最初の2年間はひたすらイタリア語の勉強をしていました。そしてヨガをどうやってイタリアで仕事にしていくか、必死に考えました」。

そんなときに出会ったのが、イタリアでアシュタンガヨガの第一人者といわれるリノミエール氏だった。

岩上「たまたま先生のクラスに空きがあって、すぐにローマまで会いに行きました。先生のレッスンを受けて、こんなに気持ちの良いヨガがあるなんてと感動し、私もこんな風にヨガを伝える存在になりたいと強く思ったんです」。

そしてイタリアへ渡って2年が経った2016年、ついに綾子さんは自身の講座である「AUGMENT YOGA ACADEMY」を立ち上げた。

岩上「思い返してみると、縁や巡り会いによって導かれている人生です。いろんなことがつながっていくというか、流れに逆らわずに乗ったから現在があるということを、いまでも不思議に思います」。

と、綾子さんは今までの出会いに思いを馳せる。

出典：Iinstagram（＠ayakoiwakami）

毎年6月に訪れるイタリアのアックアラーニャにて。大自然の中でヨガをするのは格別。

綾子さんのHISTORY
2011 短大卒業後、2回の転職を経て都内の某アパレル会社に就職。
2012 顧客さんからヨガを教わることになり、だんだんとヨガに傾倒していく。
2014 イタリアピエモンテ州アルバに移住。
2016 自身の講座である「AUGMENT YOGA ACADEMY」を立ち上げる。

岩上綾子（いわかみあやこ）さん　1983年石川県金沢市生まれ。イタリア在住。インドでのリトリートを受けたのち、全米ヨガアライアンスを取得。その後インドでヨガとアーユルヴェーダについて勉強を重ね、2016年にイタリアで「AUGMENT YOGA ACADEMY」を立ち上げる。

※こちらの記事は、2018年12月末発行の『BonNo』vol.89を再編集したものです。