三途の川が見えるかも。死ぬほど辛いと評判の「死神カレー」を喰う
口から火を噴くような激辛カレーを、汗だくになりながら一心不乱にむさぼる。そんなカレーライフを生きがいとする北陸の激辛マニアが「ここはヤバイ」と口を揃えるのが、野々市市にある『大衆酒場Sembello』だ。
なにがあっても自己責任。「死神カレー」と名付けられたこのカレーの辛さは、制限時間内(男性10分、女性15分)に完食すれば6ヶ月分の半額クーポンを進呈するという、店側の自信からも窺い知ることができる。果たしてどれほど辛いのか。
激辛マニアを虜にする「死神カレー」を実際に食べてみた。
金沢工業大学のすぐ近く。学生からは定食が安くて美味い店としても知られている。
チャレンジャーはまず、誓約書にサインをする。
ちょっとその前に。「死神カレー」に挑戦するさいには、誓約書にサインをする決まりがある。誓約書の内容は以下の通りだ。
- 注文したことも食べたことも全ては自己責任であり、身体にいかなる異常が起きても貴店には一切責任がない事を認める。
- 同伴者が食した場合も、その同伴者の身体にいかなる異常が起きても貴店には一切責任がない事を認める。
- 18歳以上の健康体そのもので、怪我や病気をしていない辛いもの好きであり、この商品を注文する資格があると自身で判断し注文する。
- 辛すぎて食べられなくても一切文句はつけない。
- サインした名前は嘘偽りなく本名である。
- 繰り返し『大衆酒場Sembello』には一切責任がない事を認める。
これはもう、ガチである。
ちなみにこれまでの完食率は4割ほど。女性の成功者も結構いるそうだ。
この誓約書がまた、激辛マニアの闘争心に火をつける。
辛いだけじゃないコク旨な濃厚カレー。
それではいざ実食。激辛チョリソー、激辛チキン南蛮、地獄のからあげなどのトッピングをかきわけて、深茶色をしたカレーをスプーンにすくう。これでも辛さに耐性のある方。完食とはいかなくても、それなりには食べられるだろう。
そして、スプーンから口の中へ。ゆっくりと咀嚼する。ひと噛み、ふた噛み。
その瞬間!「ヒック」と、突然のしゃっくり。これがいつまで経っても止まらない。完全に横隔膜がイかれたようだ。身体にいかなる異常が起きても…。そんな誓約書の一文を思い出し、ゆっくりと水を飲みながらスプーンを置いた。
死神カレー1,500円。ライスにも唐辛子エキスを混ぜ合わせる徹底ぶり。
感心させられたのは、辛さの奥にしっかりと旨さが感じられたこと。ベースとなるのはパイカ(豚バラ軟骨)をとろとろになるまで煮込んだ自家製カレー。金沢カレーにも似たドロっとした濃厚な味わいが特徴で、これにスパイスと白山の名産「剣崎なんば」を加えることで、刺激的かつコクのある辛さが生まれている。
→剣崎なんばの記事も見てね!
からあげにはコチュジャンベースの地獄ソースと七味をたっぷりかける。
水を飲むのを我慢して、一気に平らげるべし。
ちなみに成功のコツは、水を飲まないこと。これは辛さの成分であるカプサイシンは脂溶性で、水には溶けにくい性質を持っているからで、水を飲むと辛さが口全体に広がってしまうからだそう。
また、店主の高田さんは「一番辛いのは激辛のタルタルソースと剣崎なんばの粉末をたっぷりかけたチキン南蛮。これをどのタイミングで平らげるかが成功のカギです」とも語ってくれた。
過去には無理をして食べ、その場でうずくまった人もいる「死神カレー」。完全に自己責任ではあるが、辛さに自信のある人はぜひ挑戦してみて欲しい。
大衆酒場Sembello 金沢工大前店
タイシュウサカバ センベロ カナザワコウダイマエテン
石川県野々市市高橋町14-43
TEL.076-294-7225
営業時間/18:00~24:00(金土祝前は〜翌1:00)
定休日/日曜、祝日
席数/カウンター2席、テーブル36席
駐車場/20台(共用)
※こちらの情報は取材時のものです。
(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)