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【工場見学レポート】創業101年の老舗。北陸唯一のビスケットメーカー 北陸製菓の工場に潜入

ハードビスケットにシガーフライにビーバー。

北陸生まれの素朴なお菓子は、石川県民にとってはどれもおなじみ。

食べ出すと手が止まらなくなるものばかり。

 

最近ではNBAウィザーズの八村塁選手がチームメイトに「白えびビーバー」を紹介したことでも話題になったのが記憶に新しいところ。

 

今回、工場見学レポートでは、昨年創業100周年を迎え、日本国内外からの注目がますます高まっている『北陸製菓 株式会社』の工場へと潜入した。

30年来のロングセラー、ハードビスケットができるまで

 

平成9年オープンの直売店「金沢彩匠」。種類豊富なお菓子が並ぶ。

 

やってきたのは、金沢市押野の直売店。

この店の裏側に工場がある。

直売店はのちほど巡ることにして、まずは工場へ。

 

工場内に入る前に工場作業服に着替えて、マスクを着用。

全身のホコリやチリをローラーで取り除き、手洗いをして工場内に入る準備をする。衛生管理が徹底されていて、これぞジャパン・クオリティ。意識の高さを感じた。

 

見学は、ビスケットの生地を作るところからスタート。

 

大型のミキサーが全部で6機。職人が生地の状態を見ながら、水分量や練り時間を調整している。

 

生地作りはこの大型のミキサーに小麦粉や油脂、砂糖などの材料を入れて、ベストな状態になるまで40分ほど練り上げていくそう。

 

ミキサーの中を覗くと、ジェラートのように滑らかな生地が。完成までもうしばらく。

 

ミキサーで練った生地は、次に伸ばしの工程へ。

ゆっくりとプレスすると、ながいながい一枚のシートになる。

 

生地の密度を均一にするため、機械で折り重ねながら伸ばす。そうすることで、あのパリッとした心地よい歯ごたえになるのだそう。

 

厚みが均一になったところでいよいよ型抜き。

この工程が圧巻だった。

 

大判の生地を金型で一気に型抜き。

 

整然と並んだ美しいビスケット生地。型抜きでできる端っこの部分は、ロールに巻かれてもう一度スタート地点へと運ばれる。

 

端の部分を再びプレスして生地に使用。無駄もなく、このほうが食感も複雑になってより美味しくなる。

 

ちょっと寄り道して、隣のレーンでは超ロングセラーのカンパンが作られていた。

 

表面に2つの針穴があるおなじみの形。次々とできあがる。

 

こうしてできた生地はいよいよ焼きの工程へ。

オーブンへと入っていく。

 

鉄板タイプのバンドオーブンは50年間現役という年代物。2機の間を歩くとかなりの熱を感じた。

 

こちらがそのオーブン。

家庭用やパン工場のオーブンとはまた違って、とにかく長い!

右側のオーブンは約55m。左側は約48mあるそう。

ハードビスケットとカンパンはゆっくりと焼かれ、オーブンのトンネルからこんがりとした良い焼き色で出てくる。

 

大行列をなすハードビスケット。

 

高温で焼かれきつね色のカンパン登場。あたりには焼きたての香ばしい香りが充満。

 

コンベアの上を移動しながら、粗熱を冷ましていく。

 

軽量して袋詰め。ここまでの長い旅を経て、私たちの手に届く。

ビーバーが突然、品薄状態に。

昨年、新たに就任した髙﨑憲親(たかさきのりちか)社長。

28歳の若きリーダーに、突如巻き起こった「八村フィーバー」について話を伺った。

 

日高昆布を混ぜてついた北陸産のもち米を冷やし固めた後、小さく切って油で揚げ、徳島鳴門の焼き塩で味付けしている揚げあられ、ビーバー。

 

髙﨑社長(以下髙﨑)「県外に住む北陸出身者のお客様から懐かしいというお声を多くいただいていましたので、親しんでくれているお客様にもっと気軽に手にしていただけるよう、プレーン味の全国販売を始めた矢先でした。まずは北陸から盛り上げていこうとPRを開始したのですが、NBAからいきなり人気に火がついたので、驚いています」

 

髙﨑憲親社長。大学を卒業後に入社し、2年間は工場に勤務。現場を経験したのち、経営に参加。昨年8代目社長に就任した。

 

1970年の発売から、ビーバーは他の企業で作られてきた。その後、事業停止のため2013年以降に製造はストップ。「復活してほしい」という声を受けて、北陸製菓で2014年5月に復活させたというストーリーがある。

プレーンのほか、2014年には白えびが、2018年にはのどぐろが登場。今年7月にはカレーの販売がスタート。

 

さらに代替わりを契機にホームページを一新。SNSで情報を発信したり、ビーバーの着ぐるみが登場したりと、北陸各地のスーパーを中心にキャンペーンをスタートしていた。その矢先に起こったのが八村フィーバー。

ネットニュースに取り上げられるやいなや、注文が殺到。各テレビ局でも多く取り上げられ、商品は品薄状態になった。

 

髙﨑「生産が追いつかず、お客様にはしばらくご迷惑をおかけしていますから、まずは1日でも早く出荷できるように整えていくこと。せっかく頂いた機会ですので良い展開ができるよう、これからが勝負です」

 

一度は姿を消し、復活を遂げたビーバーが、今度は海を越えてこれほど多くの人に愛されるお菓子になるとは、どれだけの人が想像できただろう。

県内在住のファンにとっては、スーパーやコンビニで手にしていたお菓子が、しばらくみられないのは寂しい限りだが、また戻ってくるのを楽しみに待ちたい。

 

ビーバーの着ぐるみが登場。名前の由来は、米菓子を二つ並べた形が、1970年開催の大阪万博でカナダ館のマスコットになっていたビーバー人形の前歯に似ていたことから。

 

直売店「金沢彩匠」では、地元北陸の食材を使用したお煎餅や、あられ、ビスケット100アイテム以上ある北陸製菓のお菓子を販売。ガラス越しに、工場の様子がチラリ。

 

店内では手焼きせんべいの体験も(500円)。金串におせんべいを挟んで窯の中へ。

 

北陸製菓 株式会社

ホクリクセイカ カブシキガイシャ

直売所金沢彩匠

石川県金沢市金沢市押野2-290-1

営業時間/10:00~18:00

定休日/水曜日

駐車場/10台

※この情報は取材時のものです。

 

(取材・文/森内幸子、撮影/林 賢一郎)

 

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