道具を制するものが雪かきを制す!日用品のプロが教える雪かき道具の選び方。
目次
今年の冬は雪が多い!それもそのはず、異常気象の原因とされるラニーニャ現象の影響で、平年よりも気温が低くなっているのだそうです。
筆者の自宅がある能美市の辰口地区は、県内の平野部ではわりと雪が積もる方。昨年もまあまあな積雪量でしたが、今年は一体どれだけ積もるのか。想像するだけで先が思いやられます…。
ちなみに年末の自宅周辺はこんな感じ。
そんでもって、ずっと前から気になっていたのが「雪かき道具」の効率的な使い方。いったい何を選んで、どう使えばいいのか。今回の記事では、そのあたりを調査してみたいと思います。
品揃え豊富な、あのお店に突撃!
というわけでやってきたのは、白山市横江町にある『コメリパワー白山店』。運営元である「コメリ」の本拠地は新潟県。雪国で生まれたホームセンターであれば、きっと雪かき道具も充実しているはず。
さっそく中へと入ってみましょう。
除雪コーナーは屋根付きの半屋外に設置。スノーダンプだけで5種類、スコップが10種類前後、そのほかにも雪はねや氷柱落としなど、雪深い地区の暮らしにも対応したさまざまな種類の道具が並べられています。
こちらは日用品に詳しい店次長の朝倉龍太さん。さっそく雪かき道具の選び方を聞いてみましょう!
朝倉さん
まずはこちらのスノーダンプ。最近はどの家庭にも置いてありますよね。
ウチにもあります!駐車場とかの広いスペースはこれがないと大変で。
朝倉さん
そうなんです。スノーダンプは広範囲を雪かきするときに欠かせない道具。使い方は積もった雪に突き刺してすくったら、そのまま押して運ぶだけ。固い雪の場合は、スコップで崩したものを乗せて運ぶことができます。
スノーダンプ 3,980円〜。シンプルで使いやすいと評判のオギハラ工業のスノーブル(写真中)など品揃えが充実。
金属製とプラスティック製がありますけど、どちらを選んだ方がいいですか?
朝倉さん
鉄製のものは固い雪でもガンガン使えますが、そのぶん重たいので体力を使います。たとえば白峰のような豪雪地帯では「み」と呼ばれる鉄製のダンプが主流ですが、平野部ではプラスティック製のものでも、使い方さえ間違えなければ十分です。
使い方と言いますと?
朝倉さん
よく壊れる原因となるのが、雪に突き刺すときに足で蹴ったりすること。これだと金具の部分が壊れるのでいけません。
うわぁ〜、よくやっちゃうなぁ。
朝倉さん
あくまで運ぶ目的の道具なので、固い雪を除雪するときはスコップを使いましょう!
ハンドラッセル 1,900円〜。
朝倉さん
こちらはブルドーザーのように雪を押して移動するラッセル。スノープッシャーとも呼ばれたりします。
見たことはあるんですけど、使ったことはないですね。
朝倉さん
降ったばかりの新雪や、スコップでバラバラにした雪を移動するのに便利なアイテム。小回りが効くので、スノーダンプが使えない場所などで活躍します。
右と左ではなにが違うんですか?
朝倉さん
左はプラスティック製、右はポリカ製になります。
ポリカってなんでしたっけ?
朝倉さん
ポリカーボネートという衝撃強度に優れた透明プラスチックの一種です。最近は、軽量かつ強度に優れたポリカ製の雪かき道具も充実してきているんですよ。
雪はね 1,480円。ジョンバや雪べらとも呼ばれる。
用途と場所によって道具を使い分ける!
この柄がちょっと長めの道具はなんですか?
朝倉さん
これは「雪はね」といって、おもに軽くて柔らかい新雪の除雪に使う道具です。雪の重さや投げる距離に応じてグリップの位置を替えることで、腰への負担がかかりにくい特徴があるんです。
なるほど〜。雪かきをすると必ずといっていいほど腰が痛くなりますもんね。
朝倉さん
そうそう。ちなみに雪かきするときは腕だけの力に頼るのではなく、体全体を使った方が効果的だそうですよ。
スノースコップ 1,280円〜。
スコップの選び方も教えてください!
朝倉さん
ポイントは材質と形状のふたつ。通常はこちら(写真上)のようなプラスティック製のもので構いませんが、固く締まった雪には鉄製のスコップがおすすめです。
気温の低い日の朝方は、雪がカチカチだったりしますもんね。
朝倉さん
そういったときは先の尖った剣先スコップがおすすめ。これがあればザクザクと氷化した雪も崩しやすく、効率的に雪かきができます。
鉄スコップ1,480円〜。角形や剣先型、アルミや鉄製など種類はさまざま。
そのほかにおすすめの雪かき道具はありますか?
朝倉さん
鉄製の穴あきスコップは女性の方に人気ですね。
ふむふむ。「30%軽量化」って書いてありますね。
朝倉さん
ただでさえ重い鉄製のスコップに雪の重さが加わると、女性は持ち上げるだけでも大変。穴を開けることで軽量化を図るだけでなく、雪がくっつきにくいという利点もあるんですよ。
筆者もこの冬に購入したコメリオリジナルの穴あきスチール角スコップ 1,980円。雪切れがよくて使いやすい!
朝倉さん
それとスノーダンプやスコップに使う「雪つかずスプレー」もおすすめです。
スプレーですか?
朝倉さん
道具に吹き付けることで雪がつきにくくなって、作業効率が大幅にアップするんですよ。
へ〜!便利ですね。
朝倉さん
防水や防サビ効果もあるので、雪かき道具が長持ちしやすいのもポイントですね。
雪つかず628円。ポリカーボネートにも使えるのはうれしい。
こちらは朝倉さんもおすすめする着脱式の車載用スノースコップ。万が一壊れても先端部だけ購入すればOK。
たくさん種類があるのは用途があるからこそ。ライフスタイルや住まいの環境を考えて、しっかり自分に合った雪かき道具を選びたいですね!
白峰版・雪かきのコツ
そしてもうひとつ。日本有数の豪雪地帯として知られる白山市白峰で暮らす「白峰観光協会」の山田浩太郎さんに、雪かきのコツを聞いてみました。
あくまで雪深い白峰でのことなので、街の雪かきに当てはまるかは状況次第。あくまで参考程度に聞いてくださいね!
白峰といえば雪だるま祭り。今年はどれくらい積もるんだろう(写真提供:白山市観光連盟)
こんにちは!さっそくですが雪かきはいつやるのがベストですか?
「雪がコボッと固まって取れるうちに。雨が降って水分を含んだり、雪を踏み固めて凍ってしまうと壊すのが大変なので、できるだけ早めに作業しましょう!」
雪かきで集めた雪はどこに捨てればいいんですか?
「白峰では流雪溝と呼ばれる、道路脇などに設置された溝に流します。積む場合は、所有者の了承を取った上で、田んぼや畑などの邪魔にならない場所へ。溶かす場合は車道以外の道に撒きましょう」
筋肉痛にならない雪かきの方法を教えてください!
「腕の力だけでなく全身を使うこと。み(スノーダンプ)を左右に振る場合は、バランスを意識ながら操作しましょう。自分の身長や用途にあった道具を使うと疲れにくいですよ」
ちなみにスノーダンプは石川県が発祥って知ってましたか? なんでも昭和の時代に旧吉野谷村で考案された鉄製スノッパーが、新潟県でプラスチック製のママダンプに生まれ変わり、世の中に広まったそうです。石川生まれのモノが全国で活躍しているのは、なんだか誇らしいですね〜。
さてさて、今日も雪がしんしん。そろそろ雪かきでも始めますかぁ。
コメリパワー白山店
石川県白山市横江町1414-1
TEL.076-274-8711
営業時間/本館9:00~20:00、資材館7:00〜20:00(日曜以外)
定休日/元旦のみ
駐車場/300台
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)
すごい量ですね〜。これって全部、雪かきの道具なんですか?
朝倉さん
はい、そうです。今年は皆さん大雪を警戒してか、わりと早い時期から売れ始めているんですよ。
これだけたくさん種類があると選ぶのが大変ですね…。
朝倉さん
雪かきといっても、作業内容はする場所や雪の状態によって変わります。まずは、どんな道具が必要かを考えてみましょう。