2022.10.09

大正浪漫の風が吹く、レトロ喫茶「金魚庵」で懐かしグルメに舌鼓

ここ数年、「鬼滅の刃」の大ヒットによって、大正時代ブームが続いています。金沢の街中にも大正着物姿で練り歩く観光客が増え、最近では石川県立美術館で大正浪漫を代表する竹久夢二の企画展も開催されました。

ちなみに大正浪漫とは「大正時代の個人の解放や新しい時代への理想に満ちた風潮と和洋折衷の先進的な文化に対し、明治末まで文学・美術界で流行していたロマン主義を拡大してかぶせた、甘美で抒情的でロマンチックであるという憧れ（wikipedia）」のこと。イマイチ分からないという人は、YouTubeでYOASOBIのPV「大正浪漫」を見ると、イメージが掴めるかもしれません。

今回はそんな大正浪漫をテーマにした、金沢東山の喫茶店を訪ねてみました。

テーマは「大正時代への時間旅行」

ひがし茶屋街のちょっと外れ、高木糀商店や山乃尾などがある東山１丁目を歩いていると、お目当ての『金魚庵』に到着しました。築100年以上となる金沢町家。臙脂色に染め上げられた木虫籠や金魚型の行燈が、古都金沢ならではの情緒を演出しています。

この喫茶店を運営するのは、古物と博物の奇妙な雑貨店「シュレディンガーの猫」。細部の作り込みや演出力に定評のあるシュレ猫のプロデュースとなれば、期待せずにはいられません。

扉をあけると雰囲気は一転。目の前には和洋折衷の世界が広がります。床一面に赤じゅうたんが敷き詰められ、照明器具やソファなどの調度品は大正浪漫を彷彿とさせるものばかり。大正時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ってしまいます。

入り口近くの木棚には大正時代の新聞がディスプレイ。

ランプやキャビネットなどの中には、実際に明治・大正時代に作られたものもいくつかある。

クラシックやシャンソンが流れる蓄音機。かすれつつも温かみのある音色が心地よい。

「一番伝えたいと思ったのが和洋折衷の素晴らしさ。大正時代は西洋文化が民衆に受け入れられ始めた頃で、街には和と洋が融合した建物やお店がたくさんありました。まさに文明開花の音がする、人々がつねにわくわくしていた時代。そんな雰囲気を感じられるお店にしたかったんです」

そう話すのはオーナーの土屋勝弘さん。そしてそんな思いが通じたのか、おじいちゃんおばあちゃん世代の来店がとても多いそうです。

実際にお店で使われているアンティーク調の電話。電子音ではないベルの音が懐かしかった。

「ライスカレーとホットケーキは大正時代のレシピを再現したもの。とくにご年配の方から〈懐かしい味だね〉と好評をいただいています。その一方で、若い世代の方は〈こんな時代があったんだ〉と、それはまた違った好奇の目線で楽しんでくださる。それぞれ捉え方は違っても、世代を超えて楽しんでいただけるのがうれしいです」と女将の土屋美幸さん。

メニュー表には気になるものがずらり。色々と迷ったあげく、今回は新登場の「大正レシピのハットケーキ」と、インスタ映え抜群と評判の「ハイカラポンチ」を注文してみました。

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