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品数ランチ⑰|能美市岩内町「四季の遊 道草」道草ランチ

品数8品以上を縛りにした、よくばりランチを紹介する〈いしかわ品数ランチ〉。

今回は能美市岩内町にある『四季の遊 道草』の道草ランチを紹介します。

 

炭の入ったモルタル壁でスタイリッシュな佇まい。

モダンでクールな和食店に隠された熱き地元愛

1980年に廃線となった旧北陸鉄道能美線沿線。その軌道跡地はヘルスロードとして整備され、春には桜が咲き誇る散歩道として地域でも愛されています。

 

そのヘルスロード沿いに2018年、グレーの外観と白の暖簾が印象的な和食店が誕生しました。

店名の“道草”は、訪れる人が気軽に立ち寄れるようにとの想いでつけられたもので、自然豊かな散歩道の風景にぴたりとハマります。

 

 

店に入ると目に飛び込んでくるのは店舗裏の緑を切り取ったカウンターの窓。椅子のカラーとも絶妙にマッチしています。

 

カウンターの他にもおこもり感のあるテーブル席や、間仕切りができる個室があり、幅広いシーンで利用できるようになっています。

 

設計は能美市に事務所を構える「WE建築計画」。

建築士の西出さんは「道草」の店主・中村雄人さんの同級生です。

故郷での開業の夢を形にした中村さんは、大切な店舗設計をこの町と自身のことを良く知る西出さんに託しました。

 

 

 

漆喰やモルタルで表現されたモノクロのシンプルな空間ですが、建材のテクスチャーや照明の当て方など細部に工夫がなされていて、それが全体の洗練された雰囲気を作り出しています。

 

建築に関して「ほとんどおまかせしました」と話す中村さん。

昔からの友人で信頼のおける存在に任せたからこそ出来上がったお店ということですね。

 

 

そんな中村さんですが設計時にリクエストしたというものがひとつあります。

厨房に立つと見える、壁一面の焼酎瓶の収納棚。焼酎居酒屋に勤めていたこともあるほど無類の焼酎好きだという中村さんがセレクトしたものが並びます。

ここに並んでいるものは全て芋焼酎ですが、ほかにもたくさんの種類があるそうで、飲みやすいものから好みが分かれる重ためのものまで幅広いリクエストに応えてくれるとのこと。

 

夜は同じ能美市の九谷焼窯元「虚空蔵窯」の器を使い、コースや一品を楽しめます。

焼酎片手に素敵な器でしっぽりと美味しい和食・・・夜にもぜひ伺いたいですね!

まるで小さな懐石コース。仕事が光る和食御膳

道草ランチ 2,200円

 

ランチの中で多くの人が注文する「道草ランチ」。

能登から加賀まで県内の季節の食材をたっぷりと使用した華やかな品々が並びます。

 

このほか、贅沢な天重の御膳や道草ランチをグレードアップさせた特上ランチなども選ぶことができますよ。

 

それでは早速「道草ランチ」の品数を数えてみましょう。

 

 

本日の品数は、16品でした。

 

なんと前々回、史上最大数をたたき出した「Pappy」のランチを越えてくる品数!

それでは、この日のメニューを詳しくご説明します。

 

    1. 茶碗蒸し
    2. サラダ
    3. 白子豆腐
    4. 粟蒸し
    5. 能登鰤と生サーモンのお造り
    6. 能登のもずく酢
    7. 天ぷら(金時草、海老、加賀レンコン)
    8. 金沢春菊とズワイガニのお浸し
    9. 玉子焼き
    10. 秋鮭の南蛮漬け
    11. 加賀麩(金時草麩ともみじ麩)
    12. 炙りチーズ
    13. 栗の蜜煮焼き
    14. 大根の壺漬け
    15. ご飯
    16. 岩海苔の味噌汁

 

という内容でした。

 

日によって内容は変わりますが、本日は魚と野菜を中心としたメニュー。

市場で働く親戚のつながりで、山間の町に店を構えながらも新鮮な魚を提供できるといいます。

 

日本料理の基本調理である五法(生、煮、焼、蒸、揚)が全て使われ、小さな先付から始まり、煮物、焼物・・・と全てを食べ終えたときにはコース料理を食した後のように感じられる大満足の御膳でした。

 

 

一見胡麻豆腐かな?という見た目ですが、れっきとした魚料理、白子豆腐です。

旬の鱈の白子を使って、裏ごししながらつくります。ギュッと濃縮された白子はクリーミーな味わいがより感じられ、とろっとした舌触りがなんとも言えません。

 

 

食物繊維やポリフェノールが豊富な雑穀の中でも、鉄分を多く含む「粟」を使った蒸し物。粟にももち米のように「もち粟」というものがあり、粟のプチプチ感と粘り気のあるもっちり感、どちらもが楽しめます。上にのせたクルミと合わせて、食感がおもしろい一品でした。

 

 

プレートの中で筆者が気になった「玉子焼き」。正直最初は“これ、なんだろう?”と思っていたのですが、中村さんの口から一番耳馴染みがあるメニュー名が告げられたので驚きました。そのくらい艶があり美しかったのです。寿司屋などでよく見かけるカステラ玉子をアレンジし、魚のすり身の代わりにパルミジャーノレッジャーノと生クリームで仕立てた和風キッシュのような玉子焼き。とてもしっとりして和食に合う上品な味わいでした!

 

 

そして、上記には16品と書きましたが、それに加えて食後にはドリンクとアイスもセットになっています。この日は栗アイス。美味しい食事の後は素敵な空間でデザートを食べながらゆっくりできるというのも嬉しいですね。

 

ちなみにこちらも含めると実質18品。

この品数を超えるランチはなかなかないかもしれません。

 

能美で生まれ育ち、地元の旅館で長年修業を積み、この地に自身の店を開いた中村さん。

加賀野菜などもなるべく能美市で採れたものを使うといいます。食材や器、店づくりなど様々な部分において地元への意識を感じ、そのように問うと

「なんでしょうね、シンプルにここ(能美)が好きだし、ここのものが美味しいと思うんですよね」とこの町への想いを話してくれました。

 

以上、洗練された空間で丁寧に作られた和食を楽しめる『四季の遊 道草』のランチのご紹介でした。

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四季の遊 道草

石川県能美市岩内町ル38-3

TEL. 0761-66-1315

営業時間/11:30~14:00(L.O.13:30)、18:00~23:00(L.O.22:00)

定休日/月曜日(日曜はランチのみ営業)

席数/34席

駐車場/12台

 

※こちらの情報は取材時点のものです。

 

(取材・文/西川李央、撮影/林 賢一郎)

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