銭湯ファン必見!奇跡の復活を遂げた「松の湯」に行ってみた
いい湯だな、アハハン♪
こんにちは、銭湯大好きライターのヨシヲカです。朝晩めっきり寒くなって、お風呂が恋しくなるこの季節。自宅の風呂でのんびりもいいけど、銭湯で非日常的な開放感を味わうのも乙ですよね。
さて、ご存知の方も多いかと思いますが、銭湯ファンにうれしいニュースが飛び込んできました。
「せせらぎ通りの老舗銭湯『松の湯』が電撃復活!」
『松の湯』といえば、金沢のまちなかで70年以上にわたって親しまれてきた老舗の銭湯。ご主人の急逝で2年前に閉業を余儀なくされましたが、なんと11月26日(いい風呂の日)に、復活オープンするんです。
そこで今回は、どういった経緯で復活したのか、以前となにが変わったのか。その真相を確かめるため、新しくなった『松の湯』に突撃してみました。
今回『松の湯』復活プロジェクトを立ち上げたのは、金沢や京都の伝統的な町家を再生し、一棟貸し町家宿やデザイナーズ町家ホテルなど、数多くの宿泊施設を手がける「株式会社エイジェーインターブリッジ」。
「この地で紡がれてきた銭湯文化を受け継ぎながら、金沢の歴史文化に触れられる新たなコミュニティスペースを作りたい!」という、銭湯の一番風呂くらいアチチな想いで、新たに一般公衆浴場の営業許可を取得したそうです。
こちらが正面玄関。伝統的な町家の世界観を大切にする会社だけあって、スタイリッシュな雰囲気の中にも「和」の趣を感じます。二階部分を覆っている木製のファサードは、金沢町家の格子戸をイメージしているのでしょうか。界隈を取り囲む武家屋敷跡の景観にしっくり溶け込んでいます。
ちょっと寂れた町の銭湯の雰囲気も好きですが、観光地で訪れるならこれくらいオシャレな方が気軽に入れそうですね。
暖簾をくぐるとこの景色。以前の受付は昔ながらの番台式でしたが、時代に配慮したのかカウンター式へと切り替わっています。公衆浴場なので入浴料は大人460円。ワンコインで入ることができます。
左手に見えるのは小上がりの休憩スペース。壁には地元の職人さんの協力で作られた、オリジナルの九谷焼タイルが散りばめられています。天井が吹き抜けになっているので、すごく開放感がありますね。
こちらは番頭を務める神並大輝さん。不動産会社の社員として物件の仲介に携わった縁で、現場の運営を任されることになったとのこと。番頭になるために市内の銭湯で修行もしています。
それでは神並さんと一緒に、新しくなった『松の湯』の見所をチェックしてみましょう!
【広告】もっと楽しく、もっと気軽に、お店の宣伝・求人してみませんか?
新生「松の湯」潜入レポート!
まずは大浴場。タイルの雰囲気やレイアウトなど当時の名残を残しつつ、めちゃくちゃキレイになっています。窓が多くて、開放感があるのもいいですね。
ちなみに、お湯を沸かす燃料はガスでも重油でもなく「薪」。環境保全のため間伐材を使っているそうですが、薪ボイラーを使う銭湯は今の時代では珍しいですよね。薪で沸かすお湯は柔らかくて、芯まで温まるなんて説もありますが、果たしてどうなんでしょう?
そしてひときわ目を引くのが、男湯にある芸術的なタイル絵。なんと約100枚にもおよぶ九谷焼の陶板が使われています。
女湯の方は、曼荼羅模様が描かれていました。う〜ん、神秘的!
たっぷりと汗が流せるサウナも完備(別料金340円)。筆者の記憶が確かであれば、前と比べてちょっと広くなったような。それにしても無垢材の香りが気持ちイイ!
新しく増設されたのが、このインナーテラス。営業中はここにイスが置かれて、サウナ後の「ととのい」の場となります。外気浴で気分もリフレッシュ!
忘れてはいけないのがこの脱衣室。『松の湯』を訪れたことがある人は、きっとノスタルジーを感じることでしょう。そう、室内を彩るステンドガラスと床のタイルは当時のままなんです。かつての常連客をリスペクトした粋な計らいですね。
神並さん
建物の改修が始まったときから、この界隈を生活圏とするたくさんの方々から「いつからやるんや?」「楽しみにしとるよ」といった声をかけてもらっています。そういった方々の地域交流の場として、親しみを感じながら利用してもらえるとうれしいですね
そして、新生『松の湯』の新しい取り組みとなるのが二階にあるこちらの施設です。
銭湯の休憩室を兼ねた「カフェ&ワークラウンジ」として、コワーキングスペースやコインランドリー、今後はカフェなども併設予定。金沢旅行の合間にプチワーケーション、なんて使い方もできそうですね。
番頭の神並さんに今後の展望を聞いてみた
ここからは番頭の神並さんにちょこっとインタビュー。今後の展望などを語ってもらいました。
なぜ、番頭になろうと思ったんですか?
神並さん
エイジェーインターブリッジの新木代表から「金沢の文化を守るために銭湯を復活させて、地域交流できる仕組みを作りたい」という話を聞いて、自分もできることがあれば協力したいと思ったんです
番頭になるために市内の銭湯で修行もしたんですよね?
神並さん
そうですね。じつは同級生の実家が小坂町にある「ももの湯」で、そのお父さんに銭湯のいろはを教わりました
一番見て欲しいのはどの部分ですか?
神並さん
う〜ん…。たくさんあって迷うけど、やっぱり富士山が描かれた九谷焼のタイル絵ですね
最後に、新生『松の湯』の意気込みを聞かせてください!
神並さん
江戸から明治にかけて、関東や関西に銭湯文化を広めたのは石川県出身の銭湯経営者たち。そのことから石川県は日本の銭湯の礎とも言われています。そうした大切な歴史を受け継ぎながら、銭湯という日本文化の魅力を世界中に発信し、後世に伝えていきたいです
日本の銭湯文化と金沢の歴史、伝統を後世に残すため、二年越しに復活した『松の湯』。オープン前ということで、今回は残念ながら入浴することはできませんでしたが、近いうちにひとっ風呂浴びに行ってこようと思います!
【ライター募集】一緒にBONNOを盛り上げてくれる方を大募集します!
松の湯
住所/石川県金沢市長町1-5-56
営業時間/13:00〜24:00
定休日/水曜日
駐車場/4台(近隣にコインパーキングあり)
※こちらの情報は取材時点のものです。
(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)
神並さん
地元石川で活躍する職人さんと作り上げた自慢のタイル絵。お風呂に浸かりながら九谷焼の美しさに触れ、金沢の伝統文化への関心が深まる。そんなツールになることを期待しています