アウフグース奉納にととのい守り。サウナー神主のsauna愛が熱すぎる!
みなさんサウナ入ってますか!?
しっかり汗をかいて夏バテしにくい身体を作るためにも、冷房病の原因である自律神経の乱れを整えるためにも、夏のサウナは効果的!体調管理が難しいこの季節だからこそ、サウナを上手に活用して健康維持に努めたいものです。
そこで今回は、サウナーの間で密かに話題を集めている「水天宮祭(すいてんぐうさい)」に注目。今週末の開催に向けて着々と準備が進む、金沢駅前の『安江八幡宮』を訪ねてみました。
水と子供を守護する金沢の神社
『安江八幡宮』は、江戸時代から鎮座する金沢五社のひとつ。加賀八幡起上り発祥の神社としても知られ、県内唯一となる水天宮(※)が祀られています。また、藩政期には神社のある此花町(旧鍛冶町)の界隈に多くの刀鍛冶が暮らし、境内では刀鍛冶の肝である水火の伝授(刀剣製作時の火と水の加減のこと)が行なわれていたそうです。
サウナに欠かせない“水”と“火”と密接な関係にあった神社が、今こうしてサウナーに注目されている。これは偶然なのか、はたまた必然なのか。興味は深まるばかりです。
※水の守護神。安産や水難よけの神様として知られている。
こちらは「水天宮祭」の催事を企画する厚見行正さん。普段は宮司を補佐する禰宜(ねぎ)として、お参りに来た人の対応やご祈祷、本殿や境内の掃除などを行なっているのですが、じつは全国各地のサウナ施設を巡り歩くほど根っからのサウナ好き。周りからはサウナー神主なんて呼ばれているんです。
サウナーに人気の水天宮祭とは?
※サウナ室の中で、白樺などの枝葉を束ねたヴィヒタに蒸気をまとわせ、身体を優しく叩いたり、ゆっくりと押し撫でるリラクゼーションのこと。
ところで厚見さんはいつからサウナに通うようになったんですか?
厚見さん
じつは学生の頃にスウェーデンに留学をしていた時期がありまして、寝泊まりしていた寮にサウナが設置されていたんです。
そうなんですか。
厚見さん
それこそ頻繁に入っていたのですが、当時は今みたいにハマった感覚はなくて、現地の学生とのコミュニケーションツールのひとつとして捉えていました。
ハマったのはいつ頃ですか?
厚見さん
きっかけは4年前。仕事でエストニアに訪れたときに、現地の方から「フィンランドに良いサウナができた」という話を聞いて、面白そうだったので船で3時間かけて行ってみたんです。
フィンランドといえば発祥の地と言われる国。サウナーの憧れですね。
厚見さん
そのサウナが本当に素晴らしくて。ヘルシンキの街中にあるのですが、目の前にはバルト海が広がっていて。サウナから上がった水着姿の人たちが次々と海に飛び込んでいくんです。
衝撃的ですね!
季節は11月で気温は2〜3度。私も最初は「自分にはまだ早い」なんて思いながら遠目に見てたんですけど、ここで入らないのはもったいないと思い始めて…。
ま、まさか!
厚見さん
はい。飛び込んじゃいました(笑)。
天然の水風呂!気持ち良さそうだけど、相当冷たいですよね。
厚見さん
そうですね。めちゃくちゃ冷たかったですけど、上がったときの爽快感は格別でした。その後に現地の人たちと暖炉を囲んで座るんですけど、これがまた気持ち良くて。今思えば「ととのう」の初体験だったのかもしれません。
厚見さんが衝撃を受けたフィンランド・ヘルシンキのサウナ施設「Loÿly(ロウリュ)」。外観がオシャレ!
それで日本に帰ってからもサウナに通うようになったと。
厚見さん
はい。当時は「サ道」というドラマも放送されたり、サウナブームに火が付き始めた頃で、ネットを調べたら色んな情報が載っているんですよ。それからしばらくはサウナに入るために北海道に行ったり、気になる施設は所構わず足を運んでいましたね。
どこが一番良かったですか?
厚見さん
印象的だったのは奈良県にある「ume,sauna」。山添村という人里離れた山間にあるんですけど、自然に囲まれた本場フィンランドのサウナに似た雰囲気がありました。
おっちゃんたちと肩を並べて入る銭湯のサウナもいいけど、静かな場所でゆっくりと入るサウナも気持ち良いですよね。
厚見さん
あとは先日初めて出場したトライアスロンを完走した後に入った福岡県のサウナも良かったですね。環境や設備はもちろん大事だけど、やっぱりサウナの気持ち良さって、自分自身の体調やシチュエーションによって大きく関わってくると思うんです。
たしかに同じサウナでもその日の体調によって、ととのい方が違う気がします。
厚見さん
そうそう。だから私自身サウナに入るときのルーティンは明確に決めていないんです。
なるほど〜。
厚見さん
それこそ最初の頃は「最低3セット!何分だ!」って頑張っていたんですけど、いつからかその日の体調に合わせてセット数や入室する時間を決めた方がととのいやすいことに気づいて。最近は早ければ3〜4分で出ることもあります。
サウナにはどれくらいの頻度で通っているんですか?
厚見さん
これもルーティンと同じで、最初の頃は毎日のように行っていたんですが、最近は週に1回くらいが丁度いいと思うようになりました。
どうしてですか?
厚見さん
定期的にサウナに行ってると、自然と身体がととのいやすくなるんです。最近は2セットもすればいい感じ。あとは時間帯で使い分けたりもしていますね。
厚見さんの「ととのいスポット」3選
① 金城温泉元湯
住所:石川県金沢市赤土町ト100-2
TEL:076-268-2601
営業時間:6:00〜23:00(日曜は5:00〜)
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日休)
HP:https://kinjo-onsen.jp
厚見さん
なんと言っても経営するご夫婦の人柄の良さが魅力!家に帰ったようなアットホームな雰囲気で、銭湯やサウナに対する情熱もひしひしと伝わってきます。サウナ室の温度と湿度のバランスも絶妙。日替わりでハーブの香りが楽しめたり、水風呂が飲めるくらいキレイだったり、細かいところを挙げたらキリがないくらいお気に入りのサウナです。
② くろサウナ
住所:石川県金沢市湯涌荒屋町89-2 あたらしや内
TEL:076-235-1011
営業時間:8:30、10:30、12:30、14:30の4部制
定休日:不定休
HP:https://www.kurosauna.com
厚見さん
湯涌温泉「あたらしや」内に新しくオープンした、完全予約制のサウナです。一番の魅力はサウナーの意見を最大限に取り入れたホスピタリティ。水温の異なる水風呂が2つ用意されていて、冷たい水風呂に入った後にぬるめの水風呂に入ると、永遠に入っていたくなる心地良さが味わえます。
③ しあわせの湯
住所:石川県野々市市横宮町6-3
厚見さん
県内でも一二を争う人気を誇る高温サウナ。温度、湿度とも完璧です。サウナストーンの近くには薬草エキスが入った鍋が置かれていて、これがまた良い香り。夏場なんかは水風呂に入った後に冷凍サウナでさらにクールダウンするといい感じです。ここの温泉を掘る際には父がお祓いをしたという縁もあって、よく使わせてもらっています。
安江八幡宮で頒布されているサウナーに人気のととのい守り。身と心を整えるご利益があると言われている。
サウナー神主の厚見行正さんがプロデュースする安江八幡宮の「水天宮祭」は、8月6日の15時から開催!今年も暑く、熱く、サウナ愛にあふれた祭事になりそうです。
安江八幡宮
住所:石川県金沢市此花町11-27 [地図]
TEL:076-233-3688
営業時間:9:00〜16:00
定休日:なし
駐車場:15台
HP:https://www.yasue-hachimangu.or.jp
撮影:林 賢一郎
水天宮祭ってどんなお祭りなんですか?
厚見さん
安江八幡宮に古くから伝わる夏祭りです。昭和時代には境内に屋台が並んで、それはそれは多くの人で賑わったそうです。いつからかその光景が失われ、祭典だけが続いていましたが、街を元気にしたいという思いから宮司である父が数年前に復活させました。
サウナにも入れるんですよね?
厚見さん
そうなんです。昨年、境内にテントサウナを並べたら思いのほか好評で、今年もいくつか設置する予定なんです。もちろん水風呂もありますよ。
サウナにまつわる催しはほかにもありますか?
厚見さん
昨年と同様に北陸アウフグースチームによるアウフグース奉納も行われる予定です。
ア、アウフグース奉納…?
厚見さん
アウフグースは、サウナ室内に立ち昇る蒸気をタオルなどであおいでサウナ客に熱い風を送る儀式のことで、それを神様の前で披露するんです。
面白そうですね!
厚見さん
熱波師が神前で舞いながら奉納をする姿はとても神秘的。今年はウィスキング(※)体験も実施する予定なので、ぜひ楽しみにしていてください!