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大人も知らない、製粉所ってどんなとこ?『金沢製粉株式会社』工場へ

突然ですが!パン、うどん、ラーメン、パスタ、ケーキ。毎日のように口にしている食品の、材料に使われている小麦粉がどんな風に作られているのか、考えたことありますか?

 

大人でも知らない、製粉の世界。

「ぼーっと生きてんじゃねーよ!」と5歳児に叱られる前に見てみたい。ということで今回は、あの有名な「頭脳パン」の原料、頭脳粉を生み出し、現在は頭脳粉を日本で唯一製造しているメーカーであり、日本海側随一の製粉所『金沢製粉 株式会社』の工場を訪れた。

 

小麦先生こと、寺田社長に質問!

 

「小麦粉ってどうやって作っているの?」

そんな疑問を解き明かすべく、金沢市米泉町にある『金沢製粉 株式会社』へ。寺田社長があたたかく迎えてくれた。

 

6代目社長、寺田 匡さん。

 

「そもそも製粉所というのは、原料となる小麦を工場内で小麦粉、薄力粉、強力粉などそれぞれの用途に合わせた使いやすい製品に加工するところです。金沢製粉の商品は、ほとんどが業務用に販売しているものなので、一般の方はなかなかなじみがないかと思います」と寺田社長。

 

金沢製粉の製品は、街のベーカリーやラーメン店、レストランで出される料理や学校給食などで使われていて、私たちは知らず知らずのうちに口にしているもの。

そんな、街の食を支える縁の下の力持ち、金沢製粉の工場では、1時間に6トンもの小麦粉が作られているというので、早速工場内部を見せてもらった。

 

小麦を砕く、それが製粉!

 

アメリカ、カナダ、オーストラリアほか、北海道、石川県、福井県と様々な産地で収穫された小麦は「サイロ」と呼ばれる貯蔵庫へと運ばれる。

 

こちらが敷地内にあるサイロ。港からトラックで運ばれた小麦は、一度この巨大な貯蔵庫へ入る。

 

草や石など混入しているものを取り除いて小麦を磨いた後、加工しやすくするため水を加えたら、いよいよ製粉スタート。

 

まずは「ロール機」と呼ばれる小麦の粒を細かく砕くためのマシンに入り、目の細かいものから粗いものまで数段階に分けて砕いていく。

 

内部に2つのローラーが付いていて、その間を小麦が通り抜けるときに砕かれる。いわば現代の石臼。なんとなくガンダムのザクIIっぽいビジュアル。

 

ロールを通過した小麦は、まだまだ粗粒。

 

ロールで砕いた小麦は、大きさがばらばら。

そのため「シフター」と呼ばれる箱型のマシンへと移し、ふるいにかけていく。

 

グアングアンと大きな音を立てて左右に揺れる「シフター」。これが巨大ふるい器か!ちなみに写真はブレてるのではなく、揺れているのだ。

 

箱の中は、上から順に何層もの網が目の粗い順に並んでいて、小麦粉を振り分けていくそう。

 

小麦表面の硬い部分「外皮」とその内側「胚乳」に分けられる。小麦粉になるのは「胚乳」で、外皮はいわゆるブラン、ふすまと呼ばれる。

 

「ロール=砕く」「シフター=ふるう」の工程を、何度も何度も繰り返すことで、粒がだんだんと細かくなり、粉になっていく。

 

設備はおよそ40年前からスイス・ビューラー社のものを使い、工場内は完全エア輸送。サイロからパッケージされるまでの間、小麦粉はいっさい人の手に触れられることなく、密閉したパイプのなかを空気輸送で移動する。

 

いたることろに張り巡らされたパイプの中を、ピュンピュンと粉が走る!

 

できあがった小麦粉は「上がり粉」と呼ばれ、サイロに貯蔵。

それぞれの特徴や用途に合わせて数種類をブレンドし、製品となる。

 

「上がり粉」のサイロ。小麦の種類によって色相や灰分、たんぱく質量が異なるため、最適な小麦粉になるようブレンド。

 

小麦粉をサンプリングして品質チェック。味、色、香りを調べさまざまな検査を通過する。

 

最後は、包装機にかけ25kgの業務用袋にパッキング。

50袋をひとまとまりにパレットに積まれ、倉庫へと運ばれる。

 

ようやく小麦粉をたどる旅も終了か。

 

小麦粉をエイジング。

 

倉庫には、完成した製品が次々と運び込まれる。

すぐに出荷かと思いきや、倉庫内で3〜4週間ほど寝かせて熟成させるのだそう。

 

「小麦粉もエイジングが必要なんですよ。粉にすると熱がかかっているので、その熱を落ち着かせる時間をとります。そのほうが、ベーカリーや製麺所などお客様の手に届いた時に使いやすいものになります」と寺田社長はいう。

 

倉庫には一面小麦粉の山!みえているこの範囲の量で、3週間〜1ヶ月分というからびっくり。

 

超ロングセラーという超高級パン用粉「ローランド」。「シーザー」「アレキサンダー」と特徴的なネーミングセンスが光る。聞けば、ヨーロッパの中世の騎士の名前を用いているそうだ。

 

恥ずかしながら「巨大な石臼のようなものを回しているんじゃないか」というのが、見学する前の筆者の予想。工場は想像よりも近代的に衛生管理された世界だった。

 

金沢製粉株式会社

石川県金沢市米泉町7-54

TEL.076-241-3141

営業時間/9:30〜17:00

定休日/日曜日、祝日、第2、4、5土曜日

工場見学/一般見学は不可

駐車場/40台まで可

 

※この情報は取材時のものです。

 

(取材・文/森内幸子、撮影/吉田章仁)

 

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