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脳が痺れるようなジャズとカレーを『Jazz Spot 穆然』

一見、何の因果関係もなさそうなカレーとジャズ。実は共通点がありました。

1月22日は「カレーの日」であるとともに「ジャズの日」でもあるらしいのです。

 

この2つ、相性のところはどうなのでしょう。

前田家、御典医の屋敷跡地に建つ『Jazz Spot 穆然』を訪ねることに。

 

すみません。カレーに合うジャズありますか?

ジャズはお洒落な音楽じゃない。

 

『Jazz Spot 穆然』は、隠れ家的なジャズ喫茶 & Barとして音楽好きが集まる店。1970年代のスピーカーを搭載したオーディオシステムとレコードコレクション、店主河嶋さんお手製のスパイスが効いたカレーが訪れる人の心を掴んで離さない。

 

レコードプレイヤーは、ヨーロッパの放送局で使われていたものを愛用。

 

「さっきの話だけど、最近ではジャズってお洒落な音楽だとか言われているんだけど、全然お洒落な音楽じゃなくてすごくハードなものもあるんだよね。ハードなジャズで絶対的にオススメの一枚があるから、それ紹介しても良いかな」。

ぜひ、お願いします!

 

店にあるレコードは全て河嶋さんのコレクション。どのくらいあるのか、枚数はもうわからないとのこと。

レコードとデジタルの違いは、美しさと綺麗さ。

 

河嶋さんがジャズを聴くようになったのは、15歳の頃。

「中学生のころは周りがロックばかり聴いていて、僕はそれに馴染めなかったんですよ。そんなときに、黒人のミュージシャンが汗をかきながらアコースティック楽器をものすごく激しく演奏しているジャズを聴いて。最初はわけがわからなかったけど、これはすごい!これを聞かなきゃいけない!と思ったんです。それからジャズ喫茶に行くようになった。昔のジャズ喫茶って、ほんとに修行しに行くみたいな感じがあって、コーヒーも高い。ともかく行ったら2〜3時間、長い時は半日くらい居るんです。ウェイトレスさんにコーヒーをオーダーしてもコーラが出てきたりしてね(笑)。レコードを大音量でかけていて口の動きで注文を読むもんだから、そんな調子。高校時代もそんなふうにジャズ喫茶ですごしていたから、なんとなく身に染みている音楽なのかな」。

 

河嶋さんご夫妻。「彼女はほんとうに働き者で、僕は働かされもの」なんて話も。素敵なご夫婦。

 

レコードの魅力は、同じ音源をデジタルとレコードで聴き比べてみても、レコードの方が音の美しさがあるところと話す河嶋さん。

「レコードは、音がホットなんです。音が綺麗かどうかでいえば、デジタルの方が綺麗です。でもホットなのは間違いなくレコード。綺麗と美しいは違って、例えば綺麗なグラスと美しいグラスがあったら、綺麗なグラスは磨かれているグラスのこと。美しいグラスというのは、汚れていても佇まいが美しい。そういう違いがありますよ」。

 

そのため『Jazz Spot 穆然』では、気候やスピーカーの調子を確認しながらアンプやイコライザーを調整。普通にしているとまったく気がつかないが、店内を見渡してみると、グラス棚の間に細い棒が渡してあったりします。これは、河嶋さんが周波数の微調整のため店に手を加えた痕跡。ストイックなまでに良い音を響かせる環境を追求されています。

 

最もダイレクトに臨場感のある演奏が聴けるのは、スピーカーを正面にしたカウンター席。なかでも奥から1、2、3番が特等席。

 

「ジャズとカレーは合いますか?」と尋ねると「どちらも混沌としていて、調和して美しいものになる。そういう意味では、2つは似ているのかも。どっちも人に媚びていないところが良いでしょ」と返答が。

 

ジャズもカレーも愛してやまない河嶋さんに、カレーに合うジャズを3つ選んでもらいました。

穆然の「カレーに合うジャズ」3選。

 

『Jazz Spot 穆然』のカレーは6種類。

どこにでもあるメニューでいて、この店のものが特別美味しいというものを一つ作りたいとの思いで作り始めたカレーは、野菜や肉、食材の自然な甘みや酸味を活かした自然派。今回は、そんな中でも一番スパイシーで尖りのある「旨辛穆然カレー」をセレクト。パンチのあるカレーに合うオススメのジャズとは!?

 

「旨辛穆然カレー」900円。ベースは「穆然カレー」で、仕上げにガラムマサラをバッと加えてよりスパイシーに仕上げたひと皿。ガツンと辛く、そして旨い。

ホワイトカバー/J・コルトレーンカルテット+E・ドルフィー

 

 

通称「ホワイトカバー」と呼ばれているレコードで、ジャケットにもレコードにも印刷はありません。ジャズ界を代表するサックスプレーヤー、ジョン・コルトレーンと、もっとも革新的な演奏家のひとりでマルチ・リード奏者、エリック・ドルフィーの1961年ストックホルムで行われたライブを録音しています。演奏が本当に最高で一番のオススメ。脳天が痺れますよ。

ラウンド・ミッドナイト/セロニアス・スフィア・モンク

 

 

アメリカのジャズ・ピアニスト、セロニアス・スフィア・モンク。「ジャズのプリースト-高僧」と呼ばれる孤高の人です。A面には「ラウンド・ミッドナイト」という名曲が入っています。これはスタジオでのリハーサルが収録されているのですが、リハーサルさえも音楽になってしまうというモンクのすごさが感じられます。

ローランド・カークの復活/ローランド・カーク

 

 

この人はともかく、どうしようもないくらいのど天才。盲目のプレイヤーなんですが、循環呼吸によって三本の管楽器を一度に吹くという驚異のアンサンブルを奏でる人。彼以外にもそういったプレイヤーがいますが、ローランド・カークのパワーとスピードはすごい。また、サイレンやウォッシュ・ボードを使った形にとらわれない奔放なスタイルも良い。それでいて演奏も素晴らしいです。

 

脳が痺れるようなジャズとカレーにヒリヒリしてほしいと選んでもらったレコード3選。カウンター席で聴くと、痺れはさらに倍増していきます。

 

 

Jazz Spot 穆然

ジャズスポット ボクネン

石川県金沢市尾山町6-22

TEL.076-263-4658

営業時間/火~金 12:00~14:00、月~金 17:00~24:00、土日祝 12~24:00

定休日/第3日曜、翌月曜、祝日の月曜日

席数/カウンター11席、テーブル15席

駐車場/近隣にコインパーキングあり

※この情報は取材時のものです。

 

(取材・文/森内幸子、撮影/林 賢一郎)

 

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