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卵とお肉、主役はどっち?『福壱軒』のビフカツオムライス

ビフカツとオムライス。なんて贅沢な組み合わせだろう。まだ、薄焼き卵にケチャップがかけられたオムライスしか知らなかった少年時代に、この『福壱軒』のビフカツオムライスを目の前にしていたら…。恍惚とした表情を浮かべながら、がっつく姿が容易に想像できる。

 

白山市美川地区にある『福壱軒』

 

和洋中の経験値を生かしたオムライス

オーナーシェフの藤澤さんが料理の世界に飛び込んだのは24歳のとき。たらこパスタの生みの親として知られる老舗イタリアン「渋谷 壁の穴」で10年修行をした後、レストラン事業を幅広く手がける「際コーポレーション」に入社。イタリアン、中華、カフェ、とんかつなど、様々なジャンルの経験を生かし、2017年に地元石川で洋食ビストロ『福壱軒』をオープンした。

 

店主の藤澤正哉さん。

 

藤澤さんが作るオムライスはいわゆる”ふわとろ系”。しかし、オムレツの作り方は洋食屋のそれとはちょっと違う。

 

「中華炒めの要領で、油を多めに使って卵に火を通すのが僕のやり方。そうすることで香ばしくふわふわに仕上がるんです。これまで色んなジャンルの料理を経験したうえで、これがベストかなと。溶き卵の中には生クリームとチーズ2種、あとはバターをたっぷり入れて、風味とコクを加えています」

 

たっぷりの油と絡めながら炒めます。

 

半熟の状態でオンザライス。

 

ケチャップライスではなく、トマトの炊き込みピラフを使うのも特徴のひとつ。ホタテの出汁で炊くことで、米の一粒一粒に旨味が凝縮。トマトの酸味やスパイスも利いていて、ビフカツの脂をしつこく感じさせない。ボリューム満点でも飽きずに最後まで食べられるのは、このライスがあってこそな気がする。

 

あっさりとしながら旨味のある炊き込みピラフ。

 

ちなみにこの炊き込みピラフは大盛り無料。足りないときは別盛りでサービスもしてくれる。驚くことに、みそ汁とサラダもおかわり無料なんだそう。

 

「子どもの頃はうちが貧乏だったので、たまにしか外食に行けませんでした。せっかくの外食でも、お腹いっぱいにならないときは残念な気持ちになる。美味しさも大事だけど、とくに子どもたちにはお腹も心も満たされて、裕福な気持ちになってもらいたいんです」

 

ライスだけでも十分美味しい。

 

ギリギリ嚙み切れる肉厚にこだわり

もうひとつの主役であるビフカツに目を向けてみよう。

 

「赤身肉は塩麹に漬けて柔らかく、揚げるときは油とコンベクションの2段階でミディアムレアに仕上げています。こだわったのはカツの厚さ。物足りなさを感じない、ギリギリ嚙み切れる肉厚を意識しています」

 

食感を意識してパン粉は粗めに。

 

ミディアムレアでサックサク。

 

オムライスとビフカツ。このふたつの主役が一体となるために欠かせないのが、自家製のデミグラスソースだ。どこか懐かしく、親しみやすい味。くどすぎないので、味がぶつかることもない。

 

ビフカツオムライス1,380円。

 

昔ながらの先割れスプーンで召し上がれ。

 

オムライス系のメニューは、ほかにもハンバーグやエビフライなどが目白押し。それ以外にもとんかつやハンバーグ、ビフカツなどの定食メニューが充実しているので、飽きずに通うことができそうだ。

 

 

福壱軒
フクイチケン
石川県白山市鹿島町イ17-1
TEL.076-209-2108
営業時間/11:00~14:30(L.O.)、18:00〜21:00
定休日/不定休
席数/カウンター9席、テーブル12席、座敷24席
駐車場/7台
※こちらの情報は取材時のものです。

 

(取材・文/吉岡大輔、撮影/林 賢一郎)

 

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